合間の一言
コチョン「猫みたいにのんびりする時間も大事、大事っ」
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おでん屋台The・CAT その六.五

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Oden stew with daikon, fish cake, and shiitake mushroom.
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Relation0 竹輪

(真っ暗いのこわい)

(寒いよ)

(誰か)

――おや、こんなところに。

さっきから聞こえてた声の主はアンタか。

それにしたって。

なんて情けない声だろうね。

どれ。

こっちきな。

……アンタ、よく見りゃ良いツラしてるね。

――。

(美味しい美味しい)

よっぽど腹すかしてたんだね。

(んまんま……)

そんなに美味いかい?

(コクコク)

……ふん。

よかったね。

ほらちくわ、もう1個食いな。

(んまんまんま……)

おやおや。

――。

(ね、おばあちゃん)

おツタさんって呼びな。

アンタのおばあちゃんじゃないよ、あたしゃ。

(やだ)

(ね、おばあちゃん)

……やれやれ。

なんだい?

(おばあちゃんっておでん屋さんなの?)

この屋台と鍋。

見りゃあ分かるだろう。

(ボクね、おばあちゃんの作った竹輪も)

(えっと、はんぺんもこんにゃくも、大根も!)

(えっとね、えっとね!ぜんぶ大好き!)

……そうかい。

(ボクもそれやってみたい)

下手な冗談いうんじゃないよ。

(ううん、ボク本気)

ま、ムリだろうね。

(どうして?)

だってアンタ、ネコじゃないか。

(でもボクね、おばあちゃんのおでん食べるとね)

(とってもあったかいの)

(ボクもあったかいの作って、誰かに食べてほしい!)

(んでね、みんなにあったかくなってほしいの)

…………。

なら、明日っからいつもより早めに起きてきな。

(教えてくれるの!?)

何度もいわすんじゃないよ。

――。

(わーい、おばあちゃんの手作りだ!)

あんたの身体に合わせて仕立てるの大変だったよ。

(ね、この割烹着と三角巾ってさ、おばあちゃんのと……)

そうだよ、あたしとおそろいさね。

(おばあちゃんとおそろい!)

あ、まちな!……今日は仕込みをやろうってのに。

うかれてどこかいっちまったよ。

まったく。

――。

……あんた、これ煮すぎだよ。

(へ?煮込めば美味しくなるんじゃないの?)

バカ。

火加減ってのはね、味や食感を大きく変えちまうんだよ。

それと、なんでも同時に鍋に入れりゃ良いってもんじゃない。

大根なんてもうぐしゃぐしゃだ。

商売にはならないね。

やりなおしな。

(えーっ、せっかく火をつけるとこから全部やったのに!)

おだまり。

文句なんざ、百年早い。

まだあるよ。

昆布も浸しすぎ、鰹節も入れっぱなしじゃないか。

前に教えたとおりの手合いで取り出すんだよ。

(ちぇーっ、ちょっとこまかすぎるって……)

なんかいったかい?

(なんでもありませーん)

――。

(だから!あの客、すっごいいやな色してたんだって!)

だからって歯ァむき出しに、シャーシャーいうのは。

あからさますぎやしないかい。

(だって。ほとんどの人はそうじゃないのに、色そのまんまなヤツで)

(おばあちゃんのおでんにケチつけた)

(こんなにおいしいのに)

(ってかあんなの客なんていいたくないよ)

……いいかい、来る客は選べないんだ。

今日来た客が満足しなかったなら、それがこのおでんの今日の姿。

(いってることわかんないよ)

今、分からなくっていい。

ま、あんたがおん出さなかったら、代わりに私がいってやったろうけど。

文句言うならよその店にいきやがれってんだ!

ってね。

(なーんだ、やっぱりおばあちゃんもそう思ってたんじゃん)

アレは味うんぬんよりも、虫の居所が悪かっただけさね。

ツラ見りゃあ大体分かる。

ただ、そういう手合いも来るってことも覚えておくといい。

さっきのはアンタにもいい経験になっただろうさ。

それよりも。

(??)

アンタは人の気持ちがツラじゃなくて、色で分かるのかい?

(全部は分からないけどね)

前から変わったネコだとは思っちゃいたけど。

そういうもんを持ってるとはね。

(おばあちゃんもボクを気持ち悪いって思う?)

まさか、たいしたもんだよ。

(捨てたりしない?)

するもんか。

まあアレだね。

こっぱずかしいから、色とやらで察しな。

(おばあちゃん大好きー!!)

おっと……まったくこの甘えたれは。

(えへへー)

ところで。

アンタの目から見てわたしはどういう色してんだい?

(おばあちゃんはね……とってもね)

うん?

(えへーおばあちゃん大好きー!!)

答えになってないね。

――。

(おばあちゃん!)

(いやだよ!)

(目を開けて……ねえ、お願いだから!)

(独りぼっちにしないでよ!)

(えーんえーん!!)

…………勝手にころすんじゃないよ。

まだ、大丈夫さ。

いいかい、あの屋台は。

必要なことは一通り仕込んだ。

なあに、アンタなら大丈夫。

…………。

――「あれ?」

「いつのまに寝ちゃってたんだろ」

「あっ」

「火かけっぱなし!」

「やば!」

――。

「セーフ」

「もうちょいでやりなおしになるとこだった」

「……なんか昨日のことみたいだったな」

「うーん!」

背伸び背伸びっと。

「にしても」

(勝手にころすんじゃないよ)

「……か」

「えへへっ」

次のお話。

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