
コチョン「いやー10月ともなると大分涼しいや。もうすっかり秋だね、秋。……おや?カエデー、何一人で考え込んでるの?」

カエデ「ん……色々と物思いにふけがちな季節になったことだし、短歌でも詠んでみようかと思ったんだ。……ちょうど一句出来たから、聞かせてやろうか?」

コチョン「(アンニュイになってるってことかなー珍しいこともあるもんだ)短歌って……んな風流なことやってたんだね。イイよ、聞かせて」

カエデ「道すがら 涼久しと(りょうひさしと) 思いはせ 芒間に映ゆ(すすきまにはゆ) 友とゆふかげ……『作・私』どうだ?」

コチョン「えーと……どういう意味?いかにも「ぽい」感じだけど訳してよ」

カエデ「すまん、確かに歌だけ詠まれても……という感じだな。友と野中を歩きながら秋の涼しさを感じていると、沈みゆく太陽が生い茂るススキと友の双方を照らし、出来た影を見て心が揺れた。そういう歌だ」

カエデ「そうか、あまり良くないか。私なりに上手くできたと思ったんだがな(友というのはコチョンどののことなんだがな)」

コチョン「なら、今度はボクが見本みせたるわ。アジサンマ 芋松茸に モンブラン ああ腹減った ああ腹鳴った……どうや?ボクの素直な気持ちが出ているし、めっちゃ情緒的な歌やろ?」

カエデ「なぜ急に関西弁?(と、いうより、これはむしろ要求の歌に聞こえるな)なら、私も返句させてもらうぞ。食欲の 思ひ汲み取り 財布見る 松茸ムリだが サンマであらば」

コチョン「お!そっちの方が面白いじゃん!あーでも残念、食べたかったなー松茸。ま、イイよ、サンマで手を打つよ!」

カエデ「やはり「メシ食わせろ」ということだったか。分かった。今日は秋らしく焼きサンマといくか」

コチョン「フーっ♪さっすがカエデ!話が早いぜ!サ・ン・マ♪サ・ン・マ♪」

カエデ「(近ごろは サンマも高いが 仕方なし サイフに問うも 中は寂しき……か)」