漢字で見ると、すごく強そうな虫をイメージしてしまう。でもクワガタやカブトといった、ムシキングの代表格のような昆虫ではない。
後々、書いているが「集団」ではある意味、強い虫とだけ。
調べるまで、まったく想像がつかなかったが、答えは次に。
由来は偉い人の不始末から
「蝗」の読み方は「イナゴ」である。そう、バッタに似たあの昆虫の事だ。
大昔の中国において、イナゴに作物を食い荒らされた責任は、その時の皇帝のせいにされたのが漢字の由来だ。「虫」の襲来を止められなかった「皇」帝のせいで「蝗」というワケだ。
……なんとなく、無理やりに感じたのは気のせいだろうか。皇帝「ワシのせいにされても……」
ホントはイナゴじゃなかったらしい
古来の中国で蝗が農作物を荒らした話だが、ホントのところ、荒らしたのは蝗ではなくバッタだったらしい。
調べによると、バッタを漢字で「飛蝗」と書くとか。正確には、大群で押し寄せて草を食い荒らすトノサマバッタのような「ワタリバッタ」という種類の虫を表した漢字だ。
また、大量発生したバッタによる農作物被害を「蝗害(こうがい)」と呼ぶ。これは「詩経(しきょう)」という中国の大昔の書物にも出てくる言葉だとか。
ほかの書物にも蝗害の記録が度々見られる事から、バッタには相当長く苦しめられたと考えられる(もはや、天災とも蝗災とも言われていた)。その辺りを考えると、中国においての蝗は、元々バッタを指していたのではないか。
やがて、漢字が日本に伝わった時に、蝗が「イナゴ」と読まれるようになった。……なんでだ? 間違って伝わっただろうか。
ただ、バッタとイナゴは見た目が似ている。そのため、漢字1文字に2匹の虫がドッキングする事もあるのかと思った。
また、イナゴは「稲子」とも書く。稲(作物)を食べ散らかす害虫として見るなら、こっちの方が読みもそのままで、もっともらしい漢字だと思うが。
なんだか、ややこしくなってきたな……。
要するに、作物を荒らす虫が、中国においては主にバッタで、日の本ではイナゴという事か。
そう、稲作文化の日本では、大昔からイナゴ被害に度々あっていたんだ。
カエデの言うように、こっちの蝗害はイナゴのせいで、蝗の読み方もバッタからイナゴへと、日本仕様に変化したのもあり得る話じゃないかな。
こっちじゃイナゴのせいだから、この字は今後イナゴにしようというワケか。
ちょっと乱暴だけど、由来なんて案外そんなものかも知れないね。
ただね……。日本でもトノサマバッタによる農作物被害は実際にあったんだよ。これは1880年、北海道の十勝での話で、なんと6年間も被害が続いたんだってさ。当時の人たちは相当困っていたようだよ。
なんと、バッタの被害にもあっていたとは!
こっちから食ってしまえ
この記事を作っていく最中、筆者の中でも害虫感が一気に強まったイナゴだが、実は食べられる!というよりも、昆虫食という分野において、イナゴは極めてメジャーな存在らしい。
とりわけ、アジア圏でのイナゴ食はそれほど珍しいものではなく、タイやミャンマーなどの国でも普通に食されているとか。
また、日本でも戦時中や終戦後の食糧難だった時代には、貴重なタンパク源として重宝されていたという。なお現在でも、佃煮や甘露煮にされ、地域の名産として販売されているのだ。
言ってしまえば、イナゴ食は害虫駆除と食糧確保どちらも併せ持った、すごく効率の良い食文化じゃないだろうか。もう、生活の知恵と言っても良いんじゃないかと。
筆者は未だにイナゴを食べた経験はないが、味は香ばしくエビの殻に似ているらしい。見た目さえクリアーすればイケない事はない……と思っている。
なお、割とメジャーな調理法の佃煮に関してだが、作るのになかなか手間がかかっているらしい。
まず下処理として、排泄物を出させた後に湯通し、それから炒って、味付けの段階を踏んでいる模様。ちなみに湯通し時に、そのままコオロギを鍋に放つとエライ事になるとか。
生命の危機を感じたイナゴたちが暴れ飛び、実にカオスな光景が繰り広げられる話だ。もっとも、向こうも生きているワケなので、仕方ない。
実際には、袋に入れたまま湯通しするとか(どんなニオイすんだろ)。虫が苦手な人に聞かせるには、申し訳ない話だ。
ボクも一応ネコだし、虫も食べられないワケじゃないけど、選べるなら普通にお肉とかお魚とかの方が良いな。
ちなみに、イナゴはたんぱく質のほかにも、カルシウムやミネラルが豊富な本当に優秀な食材みたい。あと、イナゴの旬は9月~10月の稲刈り時期、太って栄養も多いんだってさ。
イナゴは結構イケるぞ!
忍の里で育った時は、おやつ代わりだったんだ。いずれ採ってきて、料理したものをコチョン殿にも食べさせてやろう!
その頃には忘れててくれるとありがたいけど、カエデってホント色んなもの食べてるんだね(忍者ってそういうものなのかな……)。
了。
コメント