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ブタの貯金箱の由来は「聞きまちがい」から?

♪~♪

ジャラジャラ!チャリンチャリーン!

(チャリン?)

ずいぶんとご機嫌だな。

何をしていた?

貯金箱にお金をインしてるんだよ。

この入れた時の硬貨同士が当たるサウンド。

あー溜まってってるって実感。

ある意味、至福の時だね。

(小さな幸せというやつだろうか)

そうか、まあ良かったな。

そのブタの貯金箱も腹がふくれて、きっと喜んでいると思うぞ。

ナイス!

ちょうど話のタネが出来たね。

へっ?タネ?

なんで「ブタの形」なのかって話ができるじゃない!

だってさ、色んな形の貯金箱がある中でコレだけなんか「浮いてる」って思ったことない?

一体どこから出てきたんだろうって。

あまりに普通にあるものだから、疑問すらもたなかったが。

貯金にまつわる言い伝えでもあるのかもしれないな。

いや、意外とそういうことでもないっぽい。

実はあるカンちがいから、ブタさん貯金箱が出来たって説があるらしいんだよね。

ブタの形になった理由は聞きまちがいから?

pink pig coin bank on brown wooden table
Photo by Braňo on Unsplash

15世紀頃イギリスの焼き物は※「Pygg」製で作られており、焼き物職人が貯金箱の製造を受注した際に、このPyggと豚のPigを聞きまちがえた影響で、ブタの貯金箱が出来たという。

※「Pygg」は、イギリスの古い英語で安価で粗い褐色粘土(赤土)を指しているとされている。これが「Pig」の発音に似ているとされ(見ての通りつづりも似ている)聞きちがいに結びついたと思われる。

サラッとWEBで調べただけでも、ほとんど同じor似た話が見られることから、割と有名な説のようである。

何も考えず説を鵜呑みにするなら、実にそれっぽく思えたものの……。

説から読み取るに、その焼きもの職人は「口頭」で注文を受け、それを聞きまちがったと考えるのが自然。

しかし筆者がもしその職人なら、言葉を聞いた時点で「なんで豚?」と尋ねるし、口頭で終わらせず紙に注文を書き留めるくらいはする(発注側が『紙に書いて』注文してきた場合であれば、なおさら聞きまちがいなんてことは起きなかったはず)

ここで「その時代のイギリスの一般人にメモ習慣なんてあったのかよ?」というセルフツッコミを入れてみる。

古代から※パピルスや羊の皮で作られた「用紙」の存在があったことから、字を書き留める手段はすでにあったと思われるし、まして説の時代は15世紀半ば頃。

※古代エジプトで作られた用紙、パピルス草の茎を加工して作られる。

またこの時代は世界史でも習う活版印刷技術がヨーロッパで普及しはじめた頃とも合致している。

ならばすでに――もしくはそろそろ筆記用具、ひいては筆記の文化や習慣はイギリスの町民階級にも普及していた可能性も充分で、こと注文を書き留めるくらいのことは充分あり得たはず。

もしその職人が紙もペンも買えない経済状況であっても、その辺の木板に、削った石を使ってメモるといった原始的な手段を用いても良いワケで。

つまり口頭での注文とメモの相互確認で、聞きちがいミスなどそもそも起きなかったようにも思える。

もっとも、当時の識字率や職人が注文を帳簿に控えるといった習慣の有無。

筆記用具や用紙が一般階級でも手が届くものだったか……など、様々な角度から調べてみないことには何ともいえないかもしれないが(その辺りの歴史背景にまで踏み込んでしまうと、えらい文量になりそう&時間もかかりそうなのでここではパスしている)。

……と、浅く考察染みた話にまで及んでしまったが、ここで一旦「書き留めなかったかどうか」の疑問は置いておいて。

最初の説を額面通り受け取ったとしても「粗い粘土で作った何かしらの焼き物でなく、単語の聞きまちがいで豚の貯金箱を作ってしまった」という不自然で曖昧な話なため、やはりどこか引っかかる説に思えてこないだろうか。

そもそもpyggの単語だけ聞き取って受注したならば、説にしたがうに「安価で粗い赤土粘土」を指しているということなので「貯金箱」を作ってくれとも言われていないはず。

ただ「pygg」が当時からも貯金箱を指していたというのなら、話は変わってくるが……。

「職人の聞き違い」は俗説?

「ききまちがい説」が正しいなら、すごくカンタンな話だったのにについて、もう少し調べてみたところ、カナダ銀行博物館(Bank of Canada Museum)のサイトの一コラムが目に留まった。

参考→Bank of canada museum https://www.bankofcanadamuseum.ca/2025/05/speculating-on-the-piggy-bank/ ※英語サイトだが、古代メソポタミア・ローマ時代の貯金箱の画像も記載されており、ギャラリーも兼ねた楽しい読み物になっている。

コラムには、15世紀頃のイギリスに※貯金箱の起源が見られたという説を裏付けるような話や、多くの貯金箱はピッグ(粗い粘土。恐らくは説にあったpygg=安価で粗い赤土と同一の素材)製で作られていたという話のほかにも。

※貯金箱として作られたものはそれよりも前の時代からあったため、ここでは豚型に限ったものを指していると解釈している。

古くから硬貨を入れるための穴が設けられ、割って中身を取り出す造りになっていたなど、貯金箱の成り立ちや造形の話にもふれられている。

また18世紀後半~19世紀前半あたりのヨーロッパでは、すでに豚型貯金箱が作られていたとも書かれている。

しかし一番気になったのは、補足のように書かれたある一節。

そこではイギリスの語源学者が「粗い粘土」を指す「pygg」という言語の記録を確認できていないと書かれている。

……えーっと、どういうこと?

当方ではGoogle翻訳を使用したことで上記の訳となったが、やや分かりづらかったので別な翻訳機能を使い、同文を訳してみたところ。

「『pygg』という語が粗い粘土を指して使われたという記録は確認できなかったという」……という風になった。

後者の方が日本語的に伝わりやすい訳となったが、どちらにしてもすぐには意味は読み取れず、少し間をおいて、筆者なりにかみ砕いた結果。

①専門の学者さんでも「pygg=粗い粘土」を指す意味単語を古い言語の中から見つけられなかった。

②ならば「pygg」を「pig」と聞きまちがえたことについて、それは元から「pygg」という言葉だったのか?本来はもっと別な単語で注文されたのではないか?

――のように、説の不確かさを示唆した内容になっているのでは?と推察した。

一方、※古英語(アングロ・サクソン語)には、粘土を指す語がほかにも存在していたというほか、古スコットランド語でpyggは土器製品そのものを指すという証拠がいくつもあったとも書かれている。

※現在の英語の起源となった言語の一つで、5世紀頃のゲルマン系民族が使用していた。

また言語の中には、豚を指す言葉と似た発音のものがあった可能性についてもふれているがそれについても「推測の域を出ず」と付け加えられている。

んで、結局どういうこと?

したがって「職人による聞きちがいでブタの貯金箱が出来た」説を鵜呑みにするわけにはいかず、むしろpiggという言語について疑問が呈された以上は、この説に対しては民間説・俗説とするのが妥当ではないかと勝手に思っている。

――と、たかだか一つの情報を手掛かりにそれっぽくつらつらと書いてしまったが、要するに。

ブタの貯金箱が生まれた経緯は、ざっくり調べたくらいでは判明せず、思うよりずっとミステリアスだということ。

もっとも当方では、たかだか一つのコラムを手掛かりに話の風呂敷を広げたに過ぎないため、もしほかに深い知識を持った方が考察や情報精査を行った場合、難なく説の真を突き止めることが出来るのかもしれない。

ちなみに先ほどのリンク先のコラムでは、粗い粘土製品の中には実際にブタのような形(丸っこい)のものもあったとしている。

たとえば19世紀頃のイギリス製の湯たんぽ(コラムでは画像も見られる)が「ピッグ」と呼ばれていたというユニークな話までがあった。

そのことを踏まえて、豚の貯金箱が出来た経緯については「実は単純な理由⦅ほかの容器に豚っぽい形のものがあって、そちらの影響を受けて豚型貯金箱が広まった?⦆」だったのかもという、もう1つの可能性にもふれている。

もしそうだとすれば話はシンプルになるが、結局、豚型貯金箱の由来や経緯について確かなことは分からずじまいだった。

……ダメじゃん。

と、自嘲して無責任に終わらせるだけではお話にならないので、次の見出しからはまた別な視点から見た豚の貯金箱の話を延々と書いていますが、経緯や真実について詳しいことは結局分からずじまいだったことは事前に付しておきます(単なる浅い考察のような文になっています)。

もしここをご覧の暇な方で、より詳しく見やすい読み物をお探しであれば、ここは遠慮なく閉じてください(それでもお付き合いいただけるのであれば嬉しいですが)。

謎が多いブタの貯金箱の起源

筆者どのからして、最初の説のまんまであったなら、もっと簡単に書けた話だったろうにな。

真実を探すのは思ったよりも難しいということか。

中途半端に歴史が古ーい物の話を掘り起こすからこうなるんだよね。

仕方ないよ、乗り掛かった舟だし(ボクが振った話だから途中でやめろなんていえないし)。

私も相づちくらいは打てるし、せっかくだから可能な限り話を深めていこうか。

お互い頑張りましょう!(何がって感じだけど)

ここで豚の貯金箱とはちょっぴり離れるんだけど、「貯金箱そのもの」はもっと昔からあったんだよね。

ブタの形状となる以前の入れ物があって当然だからな。

なんでも最古クラスの貯金箱は、紀元前2世紀頃にはもう作られていて、当時からも※貨幣を入れるようになっていたんだ。

ちゃんと容器っぽい形になってるやつとか、建物とか石像の形をしたやつなんかもあったんだよ。

しかもほとんどのものに硬貨(コイン)を入れるための穴が空けられているとこも今とおんなじだね。

※紀元前6~7世紀頃、小アジアのリュディア(今のトルコ西側)で、合金のエレクトラムを用いた貨幣が鋳造され、これがヨーロッパの最古のものと伝わっている。

やがてこの貨幣文化は古代ギリシャやペルシャ、さらに西アジアへと伝わった。

遅くとも紀元前6世紀あたりには西洋の硬貨ができ、紀元前2世紀にはそれを入れるための容器も存在していたと。

時代の流れは整然としているし、数千年前の古代から貯金の習慣があったということになるな。

※紀元前2000~3000年以上も前の四大文明(世界史でも習う黄河・メソポタミア・エジプト・インダス文明)の頃にはすでに器類が作られていた。

さらに1万6千年以上前の日本の縄文時代でも壷状土器が存在していることから、当時の人々の生活の様態に合わせて作られた、あらゆる形状の容器が古の時代から世界中にあったと推察できる。

硬貨の誕生とともに、それを入れるための容器も造られるのは自然な話である。

そう。

まだ今のような銀行システムもなかった大昔にもね。

「けっこう小銭たまってきたけど、なんか入れ物ないやろか……せや!お金入れる専用の容器でも作ったろ!」……ってな感じで。

そういうノリかどうかはさておき。

溜まりっぱなしでそのへんに置くより、何かしらの入れ物に納めておくのが自然だからな。

それっぽい名前の焼き物が発展して生まれた?

中世の西ヨーロッパでは「ピグ瓶・ピッグジャーっていう、焼き物の瓶や容器が作られてたって話もあるよ。

ピグってのは、多分さっきの「pygg」のことなんだろうけど(つまりpygg瓶ってことだね)

焼き物のほかに、瓦屋根とかの建材にも使われた歴史の古い素材なんだってね。

pyggがかならずしも焼き物の土を意味した言葉ではないということだったが。

だがそういう容器の存在もある以上、やはり同じ素材を元にあの形の貯金箱が出来たと思えてしまうな。

んで時代が進んで、貯金箱のことを「ピギーバンク」って呼ぶようになったんだって。

広い意味では貯金箱全体を指す英語なんだけど。

つまりピッグジャーが色んな用途、つまり貯金箱としても使われていたところから、そういう呼び名も派生してできたって流れなんだね。

参考 Federal reserve Bank of NewYork https://libertystreeteconomics.newyorkfed.org/2013/01/historical-echoes-the-origins-of-the-piggy-bank/

日本語訳でブタの銀行……ウィットに富んだネーミングだけど、もう豚の貯金箱そのものを思わせる呼称になってるとこがミソだよね。

ちなみにGoogle検索の日本語→英語翻訳だと、貯金箱→piggy bank(ピギーバンク)ってフツウに出てくるんだよ。

そういう言葉があるということは、当然あの形状の貯金箱が出来た後ということになるな。

それよりもさっきの聞き違い説があったのが15世紀、つまり中世。

ピグ瓶が作られていた頃と、ちょうど同時代くらいだよね。

やっぱりこの時代あたりにpygg製貯金箱→pig貯金箱になったって感じなのかもね。

ただの偶然とは思えない話だ。

だが情報が段々錯綜してきたな。

少々混乱してきたぞ。

いやー無理もないよ。

ちょっと調べただけでも、由来の情報が選別に困るほどたくさん出てきちゃってさ。

今回の話も複数のWebサイト(カナダやニューヨークの銀行や博物館のコラムとか)を見比べながら作ってるんだけどね。

とりあえずこれまでの一連の説については今のところボクも、まだ輪郭がもやもやした民間説って思ってるんだけど。

それより残念なのはさ。

残念なのは?

イギリスで使われた「最古の豚の貯金箱」の画像や情報でもあれば、もう少し話の筋が通ったと思うんだよね。

つまりその豚貯金箱を見つけられなかったんだな。

筆者どのが。

そうなのさ。

元々この説ってヨーロッパ(イギリス)からだから、大英博物館にヒントがあるんじゃないかと思って、博物館サイトを翻訳機能を駆使して探した……までは良かったんだけど。

肝心のものを見つけられなかったらしいんだよね(探し方や検索方法が悪いのかも)。

Webでは見られない(展示されていない)のか、それとも単純に見つけられなかったのかは分からないが。

あったとしても実物でしか見られないというのであれば、確認すること自体が難しいな。

そもそもこの話のみに旅費やれ日にちの都合やれ費やすのが、現実的にも厳しいだろうしな(もちろん筆者どのが)。

ただ調べる過程で、色んなタイプの豚貯金箱や、大昔の貯金箱も見られて、わりと楽しかったみたいだけど。

ろくにまとめきれてないのに、なに1人でWeb博物館ツアー楽しんでんだか。

ともあれ、ここまでの話を私なりに整理してみるぞ。

15世紀のヨーロッパでは豚の貯金箱が職人の聞きまちがいによって作られた。

これが当初の由来(説)だったな。

またその貯金箱と同一の素材で作られた容器(焼き物)類を指す言葉が、後の豚の貯金箱を指す言葉へと変化した。

つまり、関連性のありそうな二つの話が存在しているということになるな。

ピッグジャーの時代に、ヒアリングミスで豚の貯金箱が出来た。

そんでピギーバンクって言葉も広まって使われるようになった。

カンタンに捉えるなら、そういう解釈が一番分かりやすいよね。

偶然にしてはあまりにそれっぽいから、結びつけて考えることも自然だしな。

だが、15世紀よりもさらに古い時代に造られた「イギリスの豚貯金箱」が見当たらなかったこともあり、作られた経緯についてはまだ判明してはいない。

現状はそんなところか。

これを解き明かすにはもう考古学の領域になっちゃうよね。

ここではそんなところまで掘り下げられないけど、少なくともヨーロッパでは中世に豚の貯金箱が出来ていた可能性ありってとこだね。

「今」はそういう風に思ってていいよね(ここもリライトありきだから、今後また調べなおして追記修正するとは思うけど)

ほかの地域でもブタの貯金箱が出土している

実は1100年代のジャワ島で、イノシシ型の焼き物貯金箱がすでに作られてたみたいなんだ。

それに1292・93年から1478~1527年までにあったマジャパヒト王国(ジャワ島にあった国)ってところで、この形のものが使われていたって伝わってるね。

さっき「ほかの国の豚貯金箱も見られた」って書いてたけど、その貯金箱のことなんだよ。

この話のやつって。

ほかの地域でもあったのか?

異なるといえば、豚ではなくイノシシというところだが……

でも、ほぼ同じようなもんだよね。

んで、肝心の貯金箱が見られるサイトだけど、下にURLだけ貼らせてもらったよ。

行先はインドネシアの博物館のサイトね。

ページの真ん中らへんに載せてある画像の貯金箱が、13~15世紀頃の東ジャワで使われたものみたいだよ。

参考 Museum Nasional Indonesia https://www.museumnasional.or.id/4388/

さすがに古めかしく、時代を感じさせる様相だが。

まぎれもなくイノシシかブタの形だな。

特徴的なのは一旦割れたのを復元した形跡があるってとこだね。

色がちがう箇所は現代の素材を使って継いだんだろうね。

欠けた部分はまだ見つかっていないか、長い年月で完全に風土と一体化したかだな。

そもそも割れた状態で出土されたのなら、土中での経年劣化によって割れたのか、もしくは貯金箱だから元々誰かに割られたバラバラの状態で見つかったか。

考え方は広がっていくな。

こういうのが出てくる時点で、ボクはこう考えたよ。

最古の豚の貯金箱は、ヨーロッパで出来たとは限らないって。

ヨーロッパとアジアの二つの離れた土地で、それも似た形状のものがそれぞれ出てきたということだしな。

そう、そこが不思議だよね。

結局はどこが元祖なんだか。

もしかしたらまだ見つけていないだけで、ほかの国でも同じような貯金箱が出てきそうだけど。

だが現状ここで分かったことは、イギリスでは15世紀頃に、ジャワ島では少なくとも12世紀頃から使われていたんだろう?

ならば僅差でジャワの豚(イノシシ)貯金箱の方が古いものということになるな。

たとえばジャワ→ヨーロッパへと形状が伝わり、そちらでも広まった……そういう見方もありだろうか?

そう考えてもおかしくないけど、話の材料が少ないから何とも。

15世紀ならいわゆる大航海時代の歴史区分にもなるし、スペインとかがアジアに船でやってきて、あのデザインがヨーロッパに伝わっていったって風にも思えるけどね。

それにしてはちょっと時代が遅いような気がするし、やっぱりそれぞれで独自の豚貯金箱が出来たっていうのが自然かなー……

ブタの特徴から出来た縁起もの

遠く離れた地域でそれぞれの豚貯金箱があるってのはさ。

それは国をまたいでも「ブタ」って生き物自体が、お金や縁起にまつわる特別な見方をされていたんじゃないかって思うんだ。

見方とは?

ヨーロッパでもアジアでも豚さんは縁起動物ってことさ。

さっきの時代のジャワだと豊穣や富、ヨーロッパでも豊穣のほかに繁栄や幸運を象徴する動物らしいんだ。

肉も皮も骨、どこも捨てるところがない有難い動物っていうのが考え方の土台になったんじゃないかな。

身近なところ、ボクたちだってポークソテーや豚骨ラーメンを食べてるし、なんだったら豚皮の財布だってあるし。

昔から有難い存在なワケだよ。

それが貯金箱の話と関係あるのか?

いまいちピンとこないが。

それだけじゃなくって、ブタってさ一度に10匹くらい子供を産むんだよね。

これが子沢山、つまり子孫繁栄の動物って見方も出来るワケじゃない。

んで、貯金ってそもそもお金を貯めることじゃん?

もちろんそうだが、それがどうした?

つまり子供がたくさん増えるみたいにお金も……って考えと、豊かな実りに願かけて、富と幸運がいつまでも続きますように……ってね。

ちょっと俗っぽいけど、そういう人間の望みが豚の貯金箱に込められてる。

だからあの形になって重宝されるようになったんじゃないかな?

一理あるが、その望みとは「欲」ともいえるな。

だが、人間最低限の金がなくては暮らしていけないし、その金をたくさん持ちたいというのも無理はない。

ただそういう方向性で聞くと、ブタの貯金箱はなにやら人間の欲望の象徴にも思えてくるが……。

そんな見方しちゃったら、もう可愛く思えなくなっちゃうよ。

あ、ちなみにあのふっくらした見た目って、貯金箱になる前の似たような丸っこい形の容器が元になったって話もあるんだよ。

豚も同じような身体してるから、ちょうど今の形と結びついたって感じなんだね。

基本、割られる運命

さっきのジャワの貯金箱の話じゃないけど、焼き物の貯金箱ってさ。

パリーンって壊さないと中取り出せないんだよね。

今じゃ自由に開閉できるものや、機械仕掛けのものとかもあるから、そんな必要もないけど。

割る時にはややためらってしまうが、焼き物である以上仕方がないことかもな。

そう考えると後片付けの手間も昔からあったってことだよ。

お金は出せたけど、破片とかをかき集めて捨てる様子をイメージすると、なんとなくテンション下がるよね。

そういえばコチョンどののやつもそう(割るタイプ)だな。

そうだけど……レトロ感あってイイでしょ?

(でもこれもいずれ割っちゃうんだよなあ。自分でそういう話してたのに、つい忘れてたよ)

確かに今時そういうのを見ると風情が感じられるものな。

ふーん……。

(なーんか変な伏線貼られてるような……?)

まとめ

ブタの貯金箱が出来た経緯は、15世紀頃のイギリスで起こった「聞きまちがい説」が有名だが確証がない。なお紀元前から貯金用の容器自体はすでに存在していた。

中世アジアのジャワ島でも似た形状のものが使われていたことから、各地で独自の豚型容器が生まれた可能性がある。

なぜブタの形状になったか、正確な起源の話は当方で見つけられず、今もなお謎のままとなった。

ところでコチョンどの。

銭はけっこう貯まっているのか?

ご多分にもれず、その貯金箱もなかなかふくよかな見た目で、重さもそれなりにありそうだが。

でしょー。すっかり重たくなっちゃって、ネコのボクが運ぶのには一苦労だよ!

買い食いとか我慢して、小遣い貯めた甲斐があったからね(ご飯はカエデんとこ来れば食べれるし、食費がそもそもかからないってね……んふ)

少なくとも3~4万は余裕でいってるかな。

なぬ?小銭でか?

そうよ。

500円もわりと入れてるからそんくらいはね。

あ、ちょっぴりだけど、1000円とか5000円とか紙のおさつも折って入れてあるんだ!

(……ごきゅ……)

(なんか今、結構な唾のみサウンドが聞こえた気がすんだけど)

なあ、コチョンどの。

物は相談なんだが、その中から少しだけ都合してくれないか?

え?急に?(コレか!さっきの『ふーん……』は!)

ダメだよ、せっかく貯めたのに。

ホントにいざって時じゃないと……ほらさっきもいったけど後片付けの手間もあるしさ!

ねっ?

後片付けは私がやってやろう。

実をいうとだな、最近は少々金欠気味で日用品すら買うのがままならないんだ。

今のところは野山や畑のもので食いつないでいるが。

なら良いじゃん!

そのまま自給自足で!

なるほど、テコでも都合してくれる気はなさそうだな。

なら言い方を変えよう。

その貯金箱の中には私からの餞別やお年玉なども若干混じっているだろう?

それをしばし返してくれというだけだ。

いやそりゃ入ってるけど、そういうのってもう時効じゃ……

それにコチョンどの。

ほぼ毎日私が作ったものを食べているだろう?

その分の食費は浮いているのだと思うが。

いわば私のおかげでその貯金があるといっても過言ではないはずだぞ。

うん。

いや、そりゃまあ……

おっ!良いんだな!

いや、しつこく催促したようですまないな。

では、さっそくその貯金箱は私が割って……

あー!あー!

話のテンポが早過ぎだって!

それに別にボク了承したわけじゃ……

オチが長くなるし、ある程度はサッサと進めないとな。

さー割るぞー!!

やめてーーー!!!

了。

参考資料

「貨幣史年表 ~外国の貨幣」 MUFG https://www.bk.mufg.jp/currency_museum/exhibit/world/index.html 参照日2025/10/21 ※古代ギリシャ紀元前7世紀頃の見出しを参照

「Celengan」 Museum Nasional Indonesia https://www.museumnasional.or.id/4388 参照日2025/10/21

Bank of canada museum https://www.bankofcanadamuseum.ca/2025/05/speculating-on-the-piggy-bank/ 参照日2025/10/21

Federal reserve Bank of NewYork https://libertystreeteconomics.newyorkfed.org/2013/01/historical-echoes-the-origins-of-the-piggy-bank/ 参照日2025/10/21

なおこれらのサイトは、おもにGoogleブラウザの翻訳機能を使用して閲覧しております。

文は博物館や銀行のコラムや資料など公式の情報に基づいてはいますが、筆者が勝手に解釈している面も多々あることをご了承ください。

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