ネタバレがイヤな方は……
ここは筆者がプレイしたゲームのネタバレ多めのレビューだよ!
ネタバレはイヤだけどゲームには興味ありって人は、ここからこの先ネタバレ注意!までを読んで参考にしてね!
初プレイの楽しみを大事にしたい人は、そこまでなら安心して読めるよ!
それ以降の内容は、ネタバレが問題ない人向けだぞ!
ゲームをすでにプレイ済みの人は思い出を楽しみ、未プレイの人には雰囲気だけでもつかんで、実際にやってみたいと思ってもらえたなら嬉しいな!
情報もろもろ
発売日 | 2009年1月22日 |
発売元 | コーエー(現コーエーテクモゲームス) |
ジャンル | RPG |
プレイ環境 | PSP(DL版) |
おススメする人
以下のような要素が好きな方におススメ
- 正統派コマンドRPG
- フリーシナリオ
- 中世ファンタジー
- 登場種族が多彩(エルフやドワーフのほか、リルビーなど固有種族も登場)
- マルチエンディング
- しゃべらない主人公(主人公=プレイヤーの構図)
- キャラの育成自由度が高い
- 探索自由度が高い(序盤のイベントクリア後は、世界中のほとんどの場所に行ける)
目安プレイ時間・特徴など
クリアまでの目安プレイ時間は30時間くらいだよっ。
ちなみに筆者の初クリアタイムが39時間37分だから、けっこうゆったりやった方かな。
ただ、早くても数時間でクリアするのは難しいし、イベントとED数もすごく多いから、やり込み前提だと、総プレイ時間は相当なものになるね。
でも2周目以降はお金・一部のアイテム・成長要素も引き継げて超楽になるから、この際1周目はチュートリアルって考えて、思うままプレイするのがおススメだよっ!
自由な旅を!
このゲームは中世西洋のような世界で、冒険と戦記さながらの物語が楽しめるんだ。
国同士の争いに主人公が介入することもあり、進めるほどに重みを増す物語は、少々大人向けといったところだな。
皆が慣れ親しんだ正統派のファンタジーRPGで、ソウルシステムによるキャラ育成や、序盤から大陸中のほとんどの場所に行けるなど、自由度も高い。
敵味方双方ともが皆、個性的で、しっかりと独自の背景や目的を持っているためか、物語に地味さを感じさせないのも良点だな!
フリーシナリオとやらの特徴で1周目では選ばなかった物語の展開など、一度クリアしたのみでは判明しない設定も豊富で、やり込みが好きな人にもとても満足出来るはずだ。
それと開始時には、自らの分身となる主人公を作成する際に性別や、旅立ち先なども選べるんだが、これが序盤の展開だけに留まらず、一部イベントの有無やエンディングの可否にまで影響するんだ。
出発地によって登場する人物も居るゆえ、こだわりがなければ性別や旅立ち先を周ごとに変えて遊ぶのもおススメだぞ。
この先ネタバレ注意!
序文
自由な旅を!
ジルオールというゲームを一言で表すには、このセリフに限ります。
今作は元々初代PSにてコーエー(現コーエーテクモゲームス)より発売された無印ジルオール、そのリメイクであるPS2のジルオール・インフィニットをベースに、様々な追加要素が加えられたもので、いわば完全版ジルオールといったところ。
*正式なタイトルはZill O’ll Infinite Plusですが、長ったらしい表記をさけるため、以後プラスや今作などの表記を使用します。
無印の発売から20年もの月日が経っており、機種をも変えて2度ものリメイクがなされたのは、単にユーザーの反響が大きかったのか。
もしくは開発スタッフに愛されたタイトルだからかは分かりませんが、筆者はこのゲームの世界観や展開の豊富さにハマった1人でした。
かなりの自由度の高さとキャラクター数が特徴のフリーシナリオかつ、周回を前提としているため、プレイの度に新たな発見があるといっても過言ではありません。
また元々のイベントや結末の数が多いものにリメイクを重ねた結果、新規キャラやEDが追加されたキャラの分を含めると、今作でのED数は50を超えています。
別ゲーの話ですが、ここまで結末の数が多いロープレは、スターオーシャン・セカンドストーリーくらいしか思い当たりませんでした(主人公のみならず、他キャラ同士の全パターンのカップリングエンドすら用意する手の込みよう)。
プレイ時間は初見で39時間ほど、以後は1周あたり20時間強というのが筆者の実プレイ時間。しかし筆者のようにムダな寄り道をせず、効率のみを重視するとタイムはこれよりもぐっと短くなるでしょう。
PS2のインフィニットから大分久しいプレイでしたが、当時を懐かしみながら遊べたこと。イベントやキャラの追加によって新鮮味もあり、新規の感覚で楽しめたと思っています。
短編の歴史譚(れきしたん)としてみても面白いな。
展開が進むほど国々が切羽詰まった状況となり、先々の出来事や人々の話の内容がガラッと変わるというのには現実味が感じられる。
信長の野望とかで、歴史シミュレーションっていうジャンルをメジャーにした光栄(今は合併してコーエーテクモゲームスだけど)が出したゲームからね。
そこらへんの見せ方みたいなのは、流石って感じだと思うよ。
このゲームについては、ほかにも外伝的な作品が出ているのだな。
PS3のトリニティジルオールゼロだね!
ストーリーは今回の過去の話だけど、若い頃のネメアとかゼネテスが出てるね。
無双シリーズみたいなアクションRPGだし、主人公もオリジナルの人だから、これはこれで別物と思った方が良いのかな(筆者も未プレイみたいだし)。
評価スタイル
ここからはストーリーや総評まで各要素を分けて☆☆☆☆☆って感じの、お星さま評価をさせてもらってるよ!
☆5つならめっちゃ満足、☆1つなら不満って感じでね。
ちょっぴりありきたりな評価の仕方だけどね。
☆☆☆+や☆☆☆☆-のように評価させてもらうこともあるぞ。
これは次の☆数まであと少しで達する、達したが少々物足りないといった微妙さ加減を表していると思って欲しいな。
ストーリー ★★★★
序盤は各地の仲間や主要人物たちと出会い、交流を深めるイベントがほとんとで、冒険している感を強く味わえるのが良点です。
またシナリオ重視とはいいつつ、微笑ましい場面やコメディタッチなシーンも随所に見られるので、それが全体的に渋めな雰囲気を少しまろやかにしています。
しかし中盤頃からは国家戦争が勃発し、闇の勢力の活動も活発化するため、展開は一気にシリアス側へと傾いていきます。
また一部に過激な表現やシーンも存在し、トータルで大人向けなシナリオ。
そのためかCEROレーティングはB指定で12歳以上対象となっています。
一方でセリフによるキャラの心理描写は素晴らしいの一言。
おおげさながら、人生感や物事の見方についても何かと考えさせられることもありました。
たとえば。
ついにソロでパッケージを飾った尻出し娘カルラの「転がされた」発言が飛び出す会話イベは、数あるセリフシーンの中でも、インパクトや悲壮感が強く印象に残りました。
必見イベ。
なおこれらのイベントをあえてスルーし、最低限のキャラ強化やレベル上げを行って、キーイベントのみを進めるという強引なプレイスタイルもありです(そういう意味でも自由度は高いです)。
ただし、それを行うにしてもどこでどういうイベントが起こるか把握している必要があるのと、何よりフリーシナリオの良さを台無しにしてしまうため、初見では攻略情報などを見ないで思うままに進める方が無難だと考えています。
トラブル体質な主人公
主人公は特異な運命を背負っていて、行く先々で色んな事件(イベント)に巻き込まれる。
あげくほとんどの個別キャラに気に入られる&一目置かれる才能も持っていて、さすが無限のソウルの持ち主と言うべき。
進めるうちに悲壮感があふれる展開になり、ついには世界の危機を救うハメに。
まさにロープレ主人公の宿命。
後半の闇の島以降は一気に駆け足気味になり、強制イベ&バトルの連続でもうどこへも行けなくなってしまう。
「自由な旅を!」とは言ったものの結果そこへたどりつく。よってクライマックス付近からはクリアまで一直線というワケで。
ただこうした大筋の強制シナリオがあるにせよ、それまでのイベントの進め方は文字通り自由。ここいら辺はラスダンから一気にラスボスまで駆け足気味のロマサガのゲーム性にも似ている。
ロマサガのゲーム性にも似てるとしましたが、ほかにもラストから駆け足気味のゲームなんて数多くあるため、もっと近い感覚のゲームとして、スーファミの新桃太郎伝説をあげます。
こちらもラストよりの、とある地点から戻れなくなる共通点に加え、世界が一気にヤバい状態になることや、ただよう悲壮感や緊迫感の強さが、どことなくジルオールの最終局面と通じるものがあるかなと。
スーファミゆえ、かなりレトロゲームの領域であり、雰囲気も和風でジルオールとは世界観がまったく正反対ですが、ロープレ好きなら令和の今でもプレイして損はないボリュームと、さまざまな要素がこれでもかと詰まっている超良作です(素朴なドットグラですが、今となってはそれがかえってたまりません)。
注目すべきはストーリー(地獄の階層や鬼子母神の名など、仏教の影響をうけたらしき描写もあり)で、桃太郎電鉄やファミコン・PCエンジンの桃太郎伝説に見られたおふざけ・ほのぼの感はほとんどありません。
ほほえみの大地や村、ギャグキャラ、一部セリフなどにコメディタッチは残っていますが。なんならシリアス9割、ギャグ1割くらい。まさしく希望と絶望が入り混じった重厚シナリオを味わえます。
また桃太郎の敵役・カルラ(奇しくもジルオールの尻出し娘と名が同じ)は、ゲーム史において語り継がれても良いほどの「悪」です。ジルオールでのシャリや円卓騎士、伝道師たちがかすむほどの外道っぷりです。
張り合えるとしたら幻想水滸伝2の「ルカ・ブライト」クラスでしょう。
筆者はこんなド悪党が出てくる新桃太郎伝説を、今でも最高レベルのロープレの一つだと思っています。
もしリメイクしたら筆者もふくめシリーズファンは沸くでしょう(桃太郎電鉄プレイヤーも取り込めそうですし)。
ただし桃鉄・桃伝生みの親・さくまあきらさんのTwitterでのつぶやきを見るかぎり、ちょっと絶望的。
残念だけど仕方ないことですね。
以下Xより引用
別ゲーの話になってしまい失礼しました。
モテモテな主人公
仲間や友好キャラのほとんどが主人公と関わることで、いつの間にか彼もしくは彼女に心を開くように。
さらにクリア時には一定の親密度、およびイベントなどで条件を満たしたキャラとのエンディングを迎える。
男主なら女性キャラと、女主なら男性キャラと、はたまた同性同士でも。
ほとんどのキャラとただならぬ関係になり、恋愛か友情テイストの結末が待っている。
しかも男女で内容がちがったり、性別によってエンドが可・不可のキャラも居たりで、ものによってはニヤニヤが止まらない激甘エンドも。
なおキャラの親密度を上げるのは、恋愛シミュレーションなどと比べても非常に簡単。NPCなら毎日会話しに行ったり、仲間キャラならパーティーに入れてしばらく連れまわしてレベルアップを計ったりすれば上昇する。
ときメモのようにしばらくほったらかして不貞腐れられるような変なリアリティーさはない(イベント選択肢の選び方で下がることはある)。
ただしお目当てキャラとEDを迎えるためには、該当するサブイベントをこなすなどの条件付きで、中には時期限定でシビアなものも。
しかし条件さえ満たせば複数キャラにEDフラグが立てられるため、そこらじゅうで主人公好き好きキャラが続出する。ただしEDを見られるのは、一部のEDを除いて毎周たった一人(1周目のEDは強制的に優先順位がもっとも高いキャラのものになる)。
筆者さ、大事なこと書き忘れてるんだよね。
今回の追加要素で2周目以降はエンディングが選択出来るようになったってこと。
これマジデケーよ。
無印やインフィニットだとムリだったな。
これはEDコンプとやらに、大きく近づける要素じゃないか?
そうだよ。
細かく言えば、2周目クリア時にED条件を満たすキャラの中から1人を選べるようになったんだよね(1周目クリア時は旧作までと同じで、優先順位が一番高いキャラとの強制EDになるよ)。
このおかげでクリア時に「前と同じヤツ(ED)じゃん!」ってならずに済むし、リメイク前をやったことある人からしても、これが実装されたのはマジ神だよね(据え置き機だったインフィニットの時に出来なかったのが不思議だけど)。
しかも1回でもクリアすると、タイトルメニューから達成したキャラEDが何度でも見られるって機能付きさ!
てなワケで続きどうぞ。
ともあれお気に入りのキャラと物語の終わりを迎えられるのもウリの1つ。
プラスではさらに仲間が追加され、ともなってEDも増えた。中でもラスボスの一角、エルファスの追加は予想出来ず。
イベントで心が通じ合う描写があっても、敵以外のポジションはあり得ないと思っていたが。
ついに愛に目覚めたようだ。
もっとも彼は根っからの「悪」ではなく、幼少の環境や出来事の被害者ともいえるので、今回明確な救いのルートがあって良かったと思っている。
※仲間にしたルートで、クライマックスのボスがエルファスであるにも関わらず、パーティにも彼がいるままという謎現象が発生することがあるらしい。フラグ重複によるものかわからないが筆者は未確認(事実だとしたらバグ?)。
純粋悪と呼べるのはシャリかと思ったが、よくよく考えれば彼も「人の願い」から生まれた存在なので、完全な悪とするには立ち位置が微妙だろうか。
今後さらなるリメイクの際には、彼にも救いのルートがあれば良いかもしれない(一応EDこそあるが、あまりハッピーな感じではない。しかし彼のセリフが厨二病の末期症状をかもしているので、一見の価値はある)。
次に火の巫女・フレアについて。
今作でようやく仲間入りを果たした彼女の加入条件はそれなりに難しく、加入後のイベントも継続して起こす必要があり、攻略のシビアさは増した。
しかし一連のイベントではだんだんと人らしい感情が芽生え、なかなか心が温まるものになっているため、こちらも一見の価値あり。
なおEDでの彼女のそこはかとないヤンデレ感は相変わらず。
とはいえ無印ではどうあがいても救われない存在だったことを考えれば、エルファス同様リメイクで報われたのは、素直に良かったというほかない。
そしてもう1人の追加仲間・フェルム。
……スタッフ愛?
インフィニットからのしがない脇役(酒場の店員)から、一気にバイプレーヤーまでのし上がった如く。
しかも彼女、物理特化ソウルのアークソードなどを付けてじっくり育てると、専用武器の性能も相まってか、竜王でも沈めるリーサルウェポンと化す(しつこいが元は酒場の店員である)。
またサブイベントの1つは非常に切羽詰まった重要イベントの最中に起こり、消化する場合はかなり空気が読めていない選択肢も見られる(しかも彼女のED条件という)。
「フェルムは渡さない」←いやいやあんた、何しに行く途中だったよ。
ザハク「……来ないな…これも徒労か」
プレイヤーの選択や行動により、何人かのキャラが亡くなってしまうシビアさは、無印から継続している要素。
もし死なせてしまった場合、ネモに該当キャラについて聞くと「そいつ死んじまったぜ」という無常なメッセージを返してくる。
キャラ死亡のきっかけとなる出来事は、ネメア即位後あたりから続々と発生するため、とりわけメインシナリオに関わるエステルやゼネテスなどの重要キャラがこの被害に遭いやすい。
プレイヤーが意図的に関与しない場合、該当キャラがあっさり退場するなどは普通に起き得ることで、最悪なのはネモに聞いて、いつの間にか死んでいたことが発覚する場合もある(あきらかな前フリをほったらかしにしてシナリオを進めると、該当キャラの死が確定してしまうため、救いたい場合はそれらのキャラに関わる行動や選択肢をまちがえないことが必要)。
ごめんな、アンギルダン。
最後にジリオンとイーシャについてだが……(ジリオンは加入の手間がかかるものの、イーシャは鉱山ですぐ仲間に出来る。旅立ち先が「闇に閉ざされた塔」なら初期メン)。
とりあえず2人には幸せになって欲しいものですな(ルート次第では熱々カップルぶりを見せつけられる)。
悪役が光っている
闇の勢力の連中には、主要人物よりもやたらと濃いキャラが多いように感じる。
シャリやクセモノぞろいの闇の円卓騎士連中もさながら、中盤以降に登場するジュサプブロスというキャラは厨二という存在を具現化したような要素が詰まっている。
まず肩書が※システィーナの伝道師の1人、黒の祈りのジュサプブロス。
※破壊神復活をもくろむ秘密結社。そういう存在だけでも厨二っぽいのに、あげくコードネームが黒の祈り。なんで黒の祈りとかついてるかは一切不明。
外見は世界観に不釣り合いでイかした丸グラサンをかけた青年ダークエルフであり、大陸最強レベルの強さでもあり(ネメアと戦った時に「この大陸で自分に勝てる奴はそうそう居ない」と自分で語っている)5歳以下の子供は命を取らず見逃すという独特な考えを持つ。
強さもさることながら彼自身が持つ特殊能力は空間を操るというもので、ネメアと対峙した際には彼を亜空間へと追放している(実際には主人公をかばったもらい事故とはいえ)。
5歳以下の子供の命をとらないという設定も、後々彼を正式に倒すイベントで理由がはっきりするものの、なんかこう色々詰まったキャラである。
黒の祈りのジュサプブロス。
ンフッ……。
残念ながら出番は中後半の一時期だけだが、全キャラ中でもまちがいなくトップクラスの存在感をかもしている。
そんなインパクト大の彼の最後はあっけないうえ、リメイクでも報われることなく、今際のきわに発したセリフもやはり切ない。相応の悪事も犯しているから仕方ないといえば仕方ないのが。
ジルオール屈指の印象深いキャラの1人となったのはいうまでもなく。
一方こちらも闇の勢力側のキャラではあるが、妖術宰相・ゾフォルをワリと筆者は気に入っている。
彼は序盤の方で出会えるキャラにもかかわらず、設定はかつて世界を絶望に陥れた魔王バロルの元側近というこれまた厨二臭が濃い、ヤベーじいさんである(しかもシャリやジュサプブロスと同様で、システィーナの伝道師の1人)。
登場イベ時もまた印象的で、エンシャントでオヤジ狩りならぬ、おじいちゃん狩りにあっているところを助けると、主人公を気に入り自分の住処にまねいてくれる。
以降は本人の言うとおり、お茶も菓子も出さずに哲学的なメッセージを3パターンだけ聞かせてくれる状態となる。
会話パターンこそ少ないが内容はまさにゾフォル語録。
当初は意味があまり分からなかったが、ある程度年を重ねた今だとなんとなく腑に落ちる内容ばかり。個人的には彼なりの哲学の会話パターンがもっとあれば良かった。
残念ながらこの人、プラスでも仲間になどなることもなく、あくまで敵としてのポジションのみでイベントが増えてもいない。
せめて今作ではストーリーから退場する際に、主人公へ独特な別れのセリフでも追加していたらさらに良かったと思っている。
最後戦った時はなんか初めて会った人みたい。
しょっちゅうお家に行ってたじゃん。
筆者どのにとってかなり印象的なセリフをしゃべるようだな。
そのゾフォルという者は。
そのおじいちゃんのセリフの中で、一番心に残ったっていうのを抜粋させてもらったよ。
これもまあネタバレだけど、ここネタバレレビューって銘打ってるから今さらか。
人はきれいに生きようとする。
©コーエーテクモゲームス Zill O’ll~infinite plus~より 妖術宰相ゾフォルの台詞テキストより抜粋
悲しいほどにきれいにな。
そうすると人を許せなくなる。
滑稽なほどに。
無責任なほどにな。
確かになんとなく深いことを言っている気はするが。
ゲームとは無関係に、現実にも当てはまるような内容だな。
キレイに生きるのとは少しちがうけど、真面目で仕事や勉強が出来る人の中には、出来ない人には冷たかったり、自分の考えだけが正しいって思ったりするのも居るじゃない?
不思議なことに必死に努力してきた人ほどね(成功体験が多い人だと、自負心プラスでなおさらね)能力があるからって人格まで優れているとは限らないってことだね。
でも能力があって、思いやりもある。
そんな人が本当の意味で優秀な人間じゃないかってボクは思ってるよ。
って、人生論語っちゃったよ……なんにせよゲームのセリフでここまで感銘を受けるとは思わなかったみたいだね。
セリフに元ネタがあるのかな。
ゾフォルのほかにも
12人居る闇の円卓騎士の1人で、リーダー格のヴァシュタールというキャラが登場する。
闇の勢力の筆頭という設定なだけで厨二感のある存在なのだが、コイツの各セリフこそがゾフォルにも匹敵する哲学感満載のもので、ただの悪役ではない印象をこちらに植え付けた。
印象付けの1つとなったのは、仲間キャラ・アイリーン加入イベントでのこと。
中後半で戦争ブルーになってしまった彼女へと、ヴァシュタールが数々の哲学台詞をぶちかまし、その後はなぜか彼女を主人公にけしかけてバトル発生。
ここで少し攻略的な話になるが、このバトルでは逃げるを選択するのが正解でその後アイリーンは良い意味で吹っ切れ、正式に仲間加入するのが一連の流れとなる。
ここでヴァシュタールが「開け放つもの」という別名を持つことに触れるが(各円卓騎士には「告げるもの」・「打ち砕くもの」など、これまた厨二感がただよう名前が付けられている)。
そもそもはアイリーンが開け放つものという異名を持つ魔人が存在するのを知り、自分の心情を聞いてもらおうと彼を探すところから始まった。
要するに人生相談を得体の知れない魔人に持ち込もうとしていたのだが、ようやく出会った後は哲学めいた説教と実地訓練(主人公とのバトル)により、なんだかんだで彼女は救われたのである。
闇の円卓騎士ヴァシュタールは異名に恥じることなく、見事アイリーンの心を開け放ったのだ(最後はまたもや意味深な言葉と共に去っていく)。
ちなみにヴァシュタール自身は長年続いている光と闇の争いごとに疲れ果てていて、本来の目的である破壊神の復活などほぼどうでも良くなっている、要するに「昔はブイブイ、今は隠居老人」的な存在に近い。
一方でかつての同僚・ネモいわく「親身にはなってくれない」というセリフ通り、まったくの善人でもなく。
しかし結果的にはアイリーンが救われるきっかけ作りをした「結構いいヤツ」と言わざるを得ない(ただし筆者はイベ失敗パターンを見ていないので、そちらを知れば印象が変わったかも知れない)。
話は変わるが、やる気が皆無なヴァシュタールはもちろん、本編中ほとんどの円卓騎士が主の破壊神ではなく自分のために活動しているという始末。
聖杯を取り返したいが結局ずっと友好ネコなネモ。
モンスターを使って破壊活動をしたいだけのアーギルシャイア。
世の中のすべてが徒労ということをみんなに伝えたがっている新興宗教の教祖さながらのザハク。
結局何がしたいのかわからなかった終始緊縛プレイのサムスンなどなど…。
唯一主にちゃんと仕えていそうな円卓騎士はバルザー(あるイベントを見るとそれも少し微妙に感じられる)か、設定のみで出番ナシのイシュベノブあたり。
元からカリスマ性が不足しているのか、破壊神涙目である。
これまた破壊神復活とは関係ないところで、ヴァシュタールが同僚なはずのアーギルシャイアを個人的に制裁していたイベではその圧倒的な強さが見られる。
一応は円卓騎士中でも筆頭と呼ばれるだけはある。
なおヴァシュタールとは直接戦える限定ルートもあり、実際それなりに強いが、バトル後の彼もまた「意外と話の分かるやつ」っぽく退場する。
こうしたあまり表舞台に出てこないが、実際に戦うと強いヤツ設定のキャラについついカッコよさを感じてしまう(ちなみにプラスでは美青年な顔グラも当てられた)。
魅力的な悪役が多いジルオールの中でコイツも印象に深く残るキャラとしてあげておきたくなった。
いくつかのイベントについて
プレイメモというほどでもないですが、いくつかのイベントでの所感をここで。
なお現在ロストール勢の内容のみです。
1・男主人公でのアリアリ(ヴィアリアリ)・イライラ(ヴァイライラ)姉妹の加入イベ中に、裏で起こったツェラシェルに関する真相を知らなければ、突然「お兄ちゃん!&お兄様!」と呼ばれ、なかなか怖い(直前までプレイヤー名で呼ばれていたのに)。ジルではなかなか珍しいホラー要素だろうか(闇落ち確定のティアナ・アトレイア訪問時、イベントフラグが折れたフレア訪問時の会話など、何度話しかけてもうわごとのように同じセリフを繰り返す様も怖い)。
2・ティアナ生存時(闇落ち回避)リューガの変にて、それまでかなり影の薄かったセルモノー王との会話イベント。妻としてではなく政治の道具としか見ていなかったエリス王妃(すでに先立っている)に会いに行くといい、ティアナと世界のことを主人公に託して死んでいく。一国の王としての潔さらしきものが最後に垣間見れた気がする。
3・これもリューガの変のオマケイベントのようなもので(ティアナ生存時に発生するのを確認)陰湿で非道なあのタルテュバが、改心して果てるというレアシーンが見られた。これを知らずのままだったら、彼を少しでも哀れと思うことは一生なかっただろう。プレイヤーによっては彼の評価が一気にくつがえるかもしれないほど貴重な場面。
グラフィック ★★★
所々で挿入されるムービーシーンは数こそ多くないものの、無双シリーズのコーエーが発売元なためか、さすがに美麗。
モンスターは迫力があり、キャラは無双のごとく皆、美男美女。
特筆はキャラデザ
洋ゲーっぽいタッチ、しかし日本人が好みそうなギリギリを攻めている顔つきが絶妙。
それも男女ともに数十ものキャラが居るにも関わらず、しっかり表情が描き分けられるって一体(プロってすごいなと)。
好みにもよるだろうがダルケニス化したレムオンはゲーム中最高レベルの美形男子である(これも別ゲーだが、悪魔城ドラキュラ・月下の夜想曲のアルカードに見えなくもない)。
女性キャラならエステル・ルルアンタ・ユーリス・フェルム・カルラ、それと巫女3人あたりが可愛い系だろうか。
これら魅力的なキャラを描いている方は末弥純氏、ファミコンやスーファミ版のウィザードリィのモンスターデザインなども手掛けていらっしゃるイラストレーターとか。
ウィザードリィのいくつかのシリーズは筆者も遊んだことがあり、いわれてみれば絵には馴染みがある。
しかも別ゲーのアクションロープレ・ブランディッシュのパッケージイラストもそうだったという。
存じ上げなかっただけで、自分も遊んだ多くの他作品も手掛けていらっしゃったんだなという発見である。
脱・呪い人形
どこかのサイトでも見た話だが、ルルアンタの動きがようやく自然でスムーズな感じに。
かつてのPS2版のこと、バトル終了時にアップ演出を飾る彼女が、じつに薄気味悪いモーションでカクカクしていたためまるで呪い人形のごたる。
それが改善されたことで、ようやくリルビーという種族の可愛らしさが伝わってきた気がする。
もっとも全キャラの通常グラフィックは、リメイクのリメイクな今作でも若干の薄気味悪さを持ち続けている。
みんなリアル等身で無表情なため、控えめにいってもマネキンのような感じ(慣れてしまえば良いだけだが)。
ある意味で不気味の谷現象。
もっともここまでロープレ要素を盛り込んだゲーム性を考えると、キャラの表情まで作り込むのは都合上無理だったのかも知れない。
カルラについて
彼女を加えたバトルでは、そのヒップをおがむ機会も多い。年頃の男性キャラ(チャカとかナッジとか)が一緒な場合、気が散ってたまったもんではないはず。
そんな彼女の来歴はジルオール屈指のもので、出身地の村を襲った兵士たちに親・友人・恋人すべてをこ〇されたあげく、本人も「転がされた」という陰惨な経験も持つ(ようするに代わる代わるレ〇プされた)。
のちに立身して17歳の若さで一国の将軍に抜擢されるまでとなるが、そんな凄まじい経歴より、やはり彼女の独特な鎧デザインの方にツッコミたくなる。
なぜあんな下半身だけ露出過多な作りなのか、ゲーム中でも一切触れられることはないが、ジル世界での女戦士はあれがスタンダードなのかもしれない(カフィンも似たようなものだし)。
余談だが、ジルオールの4コマ漫画(ひっそり発売されていた上に3巻まである)では、カルラが同僚(モブ)に「下履き忘れてるよ!」とツッこまれて「いけなーい!(てへっ)」みたいな話もあった。
あの格好はしっかりネタになったようだ。
サウンド・音楽 ★★★‐
無印から作曲の人が変わったため、少なからずBGMも差し替えられているようでした、
ただテイストが大きく変わったわけではなく、いずれの曲も幻想的で悪くないんですが……。
あの曲だけでも欲しかった
神曲「激闘」が今作でも聞けなかったことが非常に惜しまれる。
終始クライマックスのようなカッコよさと、激しめの曲調に合わせたピアノの速弾き(のような)メロディが耳を惹き付け、数あるジルオール曲の中、まちがいなく一番アガるのに今作でも曲名が同じだけの別BGMとなっている(インフィニットから差し替えられた別曲をそのまま引き継いでいる)。
もっとも今作の激闘も別に悪くないが、なにぶん無印の激闘が神曲すぎたため、どうしても聴きおとってしまう。
一方、ウルカーンで流れる曲はリメイク後の方が素敵で、民族的なメロディはファンタジー世界を旅する感覚にひたれる。
この曲の存在もあって、激闘なしが理由での星2つを付けずに済んだ。
ジルオーラーな自分としてはホッとしている。
システム・内容 ★★★+
作業感が一部要素にあり、中だるみが凄まじいです。
その原因ともなるのが街や村でうけられるギルド依頼。
これらには豊富な種類もなく、慣れると簡単なものばかりでクリア方法もパターン化しがち。
育成および金稼ぎというロープレの根本要素にもかかわるため、どうしてもある程度の数はこなしていく必要があるのですが、単調ゆえ後にプレイヤー自身が発するあくびとの戦いとなります。
メインとなる要素の1つでありながら、けっこう早い段階で飽きが出てきてしまう少し残念な面でした。
もう1つ単調さを感じた原因はダンジョンの仕掛けがそれほど複雑でもなく、どこも似たような造りになっているせいで探索がそれほど楽しめないところです。
しかも依頼によっては同じダンジョンを何度も行き来することになるので、美麗な風景もやがては見飽き、視覚的ものも手伝って作業感は増します。
しかしシナリオが良質であることや魅力的なキャラも多いため、それらと天秤にかけてもまだ我慢できる範囲なのが救い。
こうすればもっと良かったというような代替案も思いつかないので、冒険の一環として受け入れてしまうのが良いでしょう(おぎなってあまりある楽しさがこのゲームにはあります)。
キャラ育成の要素・ソウルシステムも、無印からほぼ改変がありません。
初回プレイではソウル付け替えで、キャラをどう成長させるべきかついつい模索してしまいます。
さらにプラスでは引継ぎ要素のおかげでよりやりやすくなりましたが、いくつかの要素はいまだに大味です。
単調かつ慣れると簡単なギルド依頼の存在がまた一役買うことになるのですが、依頼を延々とこなすだけで一気にゲーム難度が下がります。
それこそ2周目からはソウルポイントや錬剛石などの引継ぎが可能なため、難度低下に拍車がかかります。
もともと周回を前提としたゲームなはずなので、ある意味それで正解といえばそれまで。
もう一つ重要点を。
戦闘中はボタンを押すことで早送りスキップ出来るためまだマシですが、ゲーム全体でのロード時間は長めです。どこかに入った時などにイベントが発生すると、画面暗転状態がより長くなり、一瞬フリーズしたかの様な錯覚を覚えます。
もっともほかのゲームではロード時間がずっとヤバいやつもあるので許容範囲でしたが、これからプレイする方は多少目をつぶった方が良いでしょう。
それがあっても名作だと思っています。
それでも気になる方は総評にてくわしく記述しますが、パッケージ版では無くDL版でのプレイをおススメします(パッケ版と比較してはいませんが、DL版はローディング時間がかなり改善されているようです)。
リメイク前からずっとのことだけど、キャラを移動させる時はダッシュしてもけっこう遅く感じるんだよね。
場所によっては奥行もあるからな。
そういう場所を移動すると視覚的にムリもないが。
ただ現実的な速度で考えたらあんなものだろう。
街中でも画面切り替えポイントまで行くのに、けっこう時間かかったりすんだよね。
せめて倍速機能くらいあれば良かったのにな。
やり方を知っていると簡単ゲーに
こちらが低レベルでも不釣り合いな強敵に遭遇する最序盤がもっとも苦労しやすい時期。
かくいう筆者もゲーム性がよく分からなかった頃「とりあえずはじっこまで行ったろ」と思い、いきなりエルズまで。そして神殿道中のドラゴンマイムにヌッコロされたのは良き思い出。
本来はこちらのレベルに応じて、うろつくモンスターも強いランクへと段階的に上がっていく。
が、それは街道や航路での話。
ダンジョンは例外であり、ドラゴンマイムのごとくやたら強いモンスターを初期配置している危険区域も少なくない。
たとえば竜王の島や街中にしれっと建っているにも関わらず、後にラストダンジョンとなる廃城などがそれにあたる。
そんな危険な場所にソッコー行けてしまうが自由度が高いゲームゆえの特徴。
そしてこのゲームはその自由度を逆手に、難易度を一気に下げるプレイ法がある(2周目から行うことを推奨したい)。
ジルオーラーにとってすでにメジャーだが、本来後半で使用するような最強クラスの武器を序盤で入手可能な方法などもその1つである。
事前準備としてソウル・グレモリィのディテクターおよび、ルナシャドウのクイックアーツ取得が最低条件。
依頼と戦闘を繰り返して頑張って取得したら、ダンジョン内の武器宝箱の元まで辿り着く(武器が入っている宝箱の場所を知っていることも重要)。
後はダンジョン内でもセーブ&ロード可能な仕様を活かし、宝箱のトラップを解除成功するまで繰り返すだけ。
この方法で序盤からでも※竜破(りゅうは)などをゲット可能。
※ゼグナ鉱山の宝箱から入手、無属性で使い勝手も良く鍛冶強化も可能な最強クラスの大剣。
もちろん最後まで装備品のみでごり押しできるほど低い難度ではないにしろ、序盤の戦闘は段違いで楽になる。
クイックアーツ取得の手間が少々かかることが難点だが、さっさと仲間を4人揃えて配達などの簡単クエや手ごろな敵とのバトルを辛抱して繰り返す。
そう遠くないうちにルナシャドウを宿すことも、またクイックアーツ取得に必要なスキルポイントも達成できる。
首尾よく武器ゲット後はもうストーリーを普通に進めていっても構わない。
もしくは護衛や探索(どこどこの○○取って来てくれ系)の依頼などをひたすら繰り返すだけでも、実入りが多い(ここが飽きがくる最大の難所でもあるが)。
依頼をどれだけこなそうが、キーイベントさえ起こさなければメインシナリオが勝手に進むこともない。
※どの程度かは未確認だがメインシナリオを長期間止めていると(年単位?)中盤から怒涛の勢いでシナリオが進んでしまい、期限イベ消化が間に合わなくなる可能性があるので止めすぎもほどほどに。
裏を返せば最初の頃にキャラをどれだけ強く出来るかで難易度を大きく上下させるともいえる。
ただしこれらの攻略法はバトルの楽しさを損なう可能性があるので、用法用量を守って正しく行うべきことも付けくわえる(やはり2周目からおススメしたい)。
ちょっと話を変えるが筆者はプレイ毎にデルガドを序盤からパーティー加入させ、上記の方法らを行うことが多い。するとある時に「そろそろシナリオを進める頃合いだな」と思える現象が発生する。
それは敵へ物理攻撃を加えた際、デルガドが素で4桁ダメを叩き出した時。
ほかのメンバーはまだ数百といった中であきらかに際立つ。
そもそも彼は初期から脳筋ソウル・マイティブロウを宿しており、固有武器も闇属性なので苦手とする敵も多い。
そのためいち早く高ダメを叩き出せる仲間の1人として数えられる。
開始時からドワーフ王国の酒場で吞んだくれていて、加入条件も選択肢のみとユルいためか初回プレイ時では特にお世話になりやすく、いわば初心者救済キャラといっても良い御仁(早々にシャイニングレオに切り替えて育てると、オールアタックによってザコ戦では当分無双)。
特に根拠はないがそんなデルガドが高ダメージを出すのを目安に、ネメア即位後あたりまで一気にシナリオを進めることにしている。そしてそのあたりではほかキャラもかなり強くなっている。
もしスペルに特化しているキャラも居るならアガスティアを付けてユナイトスペルまで修得してしまうと、序中盤の敵程度では相手にもならない。
本来負けても進行するラドラスでのシャリ戦も楽勝だ(それでもロストールのザハク戦は、対策していないと少しキツい)。
あげく今作では竜破のようなユニーク武器+仲間の固有装備品が鍛冶強化できるようになったため、活用すると敵との強さは余計開く。
ついにラスト付近ではほかメンバーが強くなりすぎて、あのネメアがアイテム係になるという状態が度々起こった。
この頃になると筆者のデータではこれだけ持ち上げたデルガドがとっくにお役御免というオチ。
総じて上記のように初段階でキャラを鍛えすぎたり、強武器を取ったりするとダメージのインフレが起きて大抵の敵がザコに。
簡単になり過ぎるのも楽しくないワケで、何事もほどほどにというのも付け加えたい。
もっともこのゲームは一度クリアしてからが本番で、未達EDやイベント回収が以降の楽しみ方となる。
むしろ2周目からはこうした手段をためらいなく使うべきで、1周目はチュートリアルと割り切り思うままにフリーシナリオを楽しむのがベター。
金も困らん
ゲームの世界でなら誰でも成金になれる。
金なんざエンシャントギルドの宝箱ミニゲームでなんぼでも増やせる。
しかもチャレンジ料金は失敗しようが毎回100ギアのみの損失。
ゲージの動きもストップ位置もある程度単調で、身体でタイミングを覚えてしまえば再序盤であろうが数十万ものギアを手に入れることが可能(5・6の難易度でも慣れると容易、動体視力が並程度の筆者でも7割は成功する)。
これが仕様というのが恐ろしい。初心者救済だとしても大丈夫かと心配になるレベル。
コツさえつかめば鍛冶の費用やアイテム購入に困ることは今後ない。
稼いだらアキュリュースで全員にHP50%回復の「恵の雨」を買い込めば、バトル中の回復にもそれほど困らない(99個買っても44,550ギアしかかからない)。
……「ぜんぜん簡単じゃねーし、すぐ金なくなっちまうし、どうしてくれんだよ」などという方。
落ち着いて、ロード機能というものを思い出して欲しい。
瞬く間に直前のセーブ時点に戻れるアレだ。
何が言いたいか、もう分かるだろう?
バトル関連蛇足
ここからは覚え書きのようなもので、多少攻略に役立つことを書いておく。
属性よもやま
スペルやスキルの威力について。四大属性はINT、聖闇はMINステにそれぞれ依存する。
四大属性は火→水→土→風→火…というように矢印の方向の属性に対して有利(それぞれの頭文字「ひみつか」で覚えれば良いと教えてくれる住民も居る)。
闇は四大属性に強く、聖よりも弱い。そして聖はどの属性よりも強い(未確認だが、四大属性に対しては聖より闇の方が強いらしい)。
もちろん不利な属性に対してや、同属性同士は効果が下がる。なお後半ボスは闇属性持ちが多いため、これらには聖属性の武器やホーリーで対応するべし。
ただし注意するべきは本ゲーム最強の存在である竜王で、同モンスターは聖属性持ち。
流石と言うべきで、ほかに聖属性を持つ敵はエルファスくらい。
つまり聖はおろか他属性の武器を持つ物理メインのキャラは、竜王とのバトル時一気に戦力外となる。
そんな中で唯一、属性の影響を受けないのが無属性。
よってレベル50を突破し、竜王と戦う条件を満たす場合。事前に武器を無属性のものに変えておくと、無駄に長いじゃれ合いタイムがだいぶ短縮される(竜王のHPはゲーム中最大で、余裕で万を超える膨大さにつき)。
最強の敵は無属性で殴ったほうが良いという結論。たとえば物理ステが充分育ち、強化された伝説のフライパンを持つフェルムが居れば一気にエースアタッカーへと昇格する。
なお前述はあくまで物理での話であってユニオンスペル・ユナイトスペルでの攻撃魔法は普通にダメージソースとなるため、魔法に特化したキャラも参戦させたいところ(最終メンバーとして強制加入するオルファウスが、何気にアタッカーとして大活躍しやすい)。
AGIとDEXも上げとく
この両ステは脳筋プレイには必要で、命中率に関わる重要さを持っている。
万一上昇を怠るといかほどの高さの攻撃力でも、そもそも敵に当たらないというとんでもない事態が待ち受ける。
たとえば初見でマイティブロウとかを宿したまま「アヒャヒャヒャ! 脳筋つえー!」をやっていると後から泣きを見ることに。
昔この状態に陥ったのが筆者で。命中が低すぎるあまり後半の敵への攻撃が当たらず、あやうく詰むところだったワケで。
よって2・3レベルアップごとにソウル・ルナシャドウ(AGI・DEXともに高い成長率)などに付け替えて育てるのがおススメ(攻撃力の成長もそこそこな優ソウルなので、しばらく加入させないような物理攻撃系の仲間に着けて放置しても損はしない)。
それぞれの数値が100強あれば、最強の敵である竜王にも攻撃が当たるハズ。
役立つスキルとかスペルとか
ソウルを付けるまでしなくともソル、ルナカウンター・ハイグライド・ロングショット・ゲイルラッシュ・シャドウノックは物理で育てたいヤツにこれらを手あたり次第取得させても何かと役にたつ。
ほかシャイニングレオは取得するまで少々手間だが、スキルのオールアタックはザコ戦で、バーニンレイヴはボス戦で多いに活躍する。
と、言うよりもオールアタックの使い勝手が良過ぎる(MP消費0なのに全体攻撃)ので、戦士系で育てると割り切った場合、アムドゥシアスをあきらめてもまったく構わない。
オートスキル中100ポイントで取れるものは主人公あたりが全部取ってしまうと良い。
また回復手段はあればあるほど困らないのでヒーラースペルは全員が取っても良い。
敵の全体攻撃魔法が常々脅威となるため、ニルヴァーナのスペルブロックもあれば吉となる。
スペルブロックは攻撃魔法を1回無効化してくれる上、ターンが終わっても敵に魔法を使われない限り効果が継続する。
強敵とのバトルでは素早さが高いキャラにとっぱじめに使ってもらうことで、安全性が一気に高まるので覚えておきたい。
選びがちソウル
2周目からだとよりやりやすいが、成長用ソウルに悩んだら強バランスソウル・ネガヴァニティアを付けて育てると幸せになれる。
kind8以下が条件の1つなのでソウル・アムドゥシアスは捨てるハメになるが、ネガヴァニティアが万能すぎるのであまり困らない(アムドゥシアスはスキルがほぼ役に立たないので成長用ソウルと割り切って使う方が良い)。
デメリットは長く宿したままレベルを上げるとMIN以外のステが平凡になること(それでも高めの水準になるが)。それと固有スキル・スペルが闇属性なため、後半あまり役に立たなくなるくらい(前述したが闇属性を持つボスが後半に多いためダメージは期待出来ない)。
よってネガヴァニティアを宿してある程度育てたキャラについては、器用貧乏を避けるため、その後物理系にするか魔法系にするかをあらかじめ決めておくと良いかも。
物理ならアークソード・シャイニングレオ、魔法ならアガスティア・ブラックバイパーといったソウルが候補に挙がる。
話が変わるがエステルとザギヴの両名は後半の固有イベント消化後INT・MINがブーストするため、魔法系で育てているとこの2つのステがカンストしやすい特殊キャラ(ザギヴは20アップだが、エステルはなんと60…)。
カンストオーバー分は切り捨てとなるのでブースト分がもったいないのであれば、イベント消化時までは以後戦士か術士どちらにも振れるよう、それこそネガヴァニティアを宿しておくと万能戦士になって面白いかもしれない。
エステルに関してはブースト量がザギヴの3倍のため。彼女の育て方次第では個別ソウルで優遇された主人公よりも各ステータスが上という超人となる。
地の巫女恐るべし。
やべー敵
個人的な厄介ボス・ナンバー1、闇の巨人。
ステータスが勝っている敵はほかにも居るが、進め方次第ではこちらが弱い時期にイベントで遭遇することがあり、後半で戦うことの多い魔人らとちがって初見キラーになりやすい。
なによりも特殊技の闇の霧はこちら側を状態異常のオンパレードにする。
よって異常回復の魔法クリアスはコイツと対峙する時に必須といって良い。
なお名のとおり闇属性持ちなため、光以外の属性が役立たずになることも、やたら強く感じる理由の1つ。
覚醒エステルについて
本来はグラの項で書くべきでも、ついでということで。
巫女として覚醒したエステルの顔グラを見ると、まるですべてを悟った「※ブッダ」の様になる。
※お釈迦さまのこと。仏教の開祖で、元はインドの王子「ゴーダマ・シッダールタ」。
またラドラスで再会した時は非常に意味深なセリフと共に再加入する(巫女エステルを再加入させるための条件はけっこうシビア)。セリフを聞くに未来を見通すエアと同領域まで辿り着いたのだろう。さらにグラも巫女衣装に変わっている
このブッダ化・エステルには体の線が分かりやすい巫女衣装に変わったのもあいまって、どこか高潔なエロさを感じる。
ほかの巫女は元からその衣装だが、エステルの場合は元のキャラクターと、肌の露出がほぼ無いダボついた服だったためギャップ効果かも知れない。
まだイベ消化していないプレイヤーには苦労してでも彼女の大変化を見てもらいたいところ(個別EDでは元の衣装に戻るが)。
二周目以降限定
神アイテム・通信機。
プラスの追加アイテムでかつ2周目のオルファウスから入手できる。
これはすでに加入した仲間を呼び寄せて、直でパーティー入れ替えを可能にするアイテム。もはやネッコ屋敷に仲間の入れ替えにわざわざ行かずとも良い。
ネモ「あいつら、こねーな……(寂しい……)」
オルファウス「平和ですねえ……」
おかげでマップ移動の手間を大幅に減らせ、ゲーム内日数もかなり短縮可能、旧作からやっている身からしても、これはとてつもなくありがたい要素。
おかげで期限付きイベントも消化しやすくなり、要するにほぼいつでも利用できるルイーダの酒場状態。
仲間ごとのソウルの付け替えも容易で、低成長ソウルのまま放置せずに済む。
そのほかの恩恵としてキャラごとにバリエーションがある相談セリフも都度、確認可能に。
PS2時代からあれば良かったと思うのは今さらだが、この神アイテムのおかげか良い意味でリメイク前のジルをいまさらプレイする必要もなく。
通信機以外の要素では2周目以降のEDに際して、条件を満たすキャラを選択可能になったのが超絶にありがたい。
これで旧作のようにクリアの度「○○エンド来い○○エンド来い……」と念じなくても済むように。
初回クリア時のこと(最強のフラグブレイカー・エア)
余談だが筆者の場合。PS2とプラスにおいて、初回クリア時はどちらもエアEDとなった。
あのロリババア巫女様、まさかED優先度が超高いのかと思い、攻略サイトを見てみた。肝心のED条件は男主人公である・エアが生存している・かつ友好度が「友情」以上とのこと。
なお友好度は該当キャラと日をまたいで何度か会話するだけで、友情くらいにはすぐ到達してしまうシステム(当然ながら関連イベを消化するとさらに上がる)。もっともこれはエアにかぎらずの話。
が、ほかにもクリア条件を満たしたはずのキャラを押しのけてまで彼女EDとなるのは、風の巫女の感受性が誰よりも高いからだろう(単にED優先順位がすこぶる高い仕様らしい)。
初回プレイではEDの選択が出来ないため、このトラップにおちいるプレイヤーは少なくないと推察。よってこれからプレイする方は、エアと必要以上に関わらないほうが良いだろうか。
彼女狙いでさえなければ。
エルズの宿屋も利用しない方が賢明。これは彼女がらみのイベントが発生して、好感度が爆上がりするのを阻止するため。
また、心が痛んでもかまわないなら意図的にエアを死なす方法もある。これならED条件を満たしていようが、ゲームから強制退場させられる(おそらく一番容易な、ラドラス浮上をほったらかす方法だと、ほかの巫女も死んでしまう点には注意)。あくまで心が痛まなければだが。
ともあれ苦労して他キャラとのED条件を達成したのに、エアが割り込んでくるのを体験したジルオーラーは筆者だけではないはず。
システム的にはある意味で、竜王を超えた存在かもしれない。
エア「優先順位? さあ、何のことだかわからぬなーー」
総評 ★★★★
このレビューを見てくれている方が、自由度高めでシナリオ重視の中世ファンタジーという局地的なRPGを求めているのであれば、ぜひおススメしたいタイトルです。
※2012年8月2日時点でPSP・PSPVita用ダウンロード版と、PSPパッケージ版の定番シリーズも同時発売されていますが、ダウンロード版なら現在1,529円+税で購入可能なので、ローディングなどの諸事情(後述)も考えると、こちらでのプレイを強くおススメします。
国家戦争や闇の勢力の暗躍など、騒乱渦巻くバイアシオン大陸で主人公がどのように活躍するのか。
すべてはプレイヤーの選択に委ねられます。
メインシナリオを進めるうち、大陸で起こった事件や出来事が歴史ダイジェストのごとくテキスト上で流れることもあり、かのファンタジー小説「ロードス島戦記」が好きな人にはグッとくると思います(何となく近しいものが感じられます)。
なお本作は携帯機でのプレイのため、臨場感やグラフィックはモニターサイズの関係もあって、PS2インフィニットが上だと思います。反面、内容・ボリューム・プレイのし易さはプラス側に軍配。
プレイヤーによりどちらをとるかですが、よほどのこだわりがなければ追加要素があり、システム面でも快適なPSP版をおススメします(BGM以外はPSP版の方が良いことずくめにつき)。
※重要※
パッケージ版はローディングがやたら長く、処理落ちも発生するらしいです(ベスト版共にそうなのかは不明)。
調べによるとDL版のローディングはかなり短いようで、筆者はそのDL版でのプレイのためか、ことローディングに関しては「少し長いかな?」くらいで、プレイに支障をきたすことは確かにありませんでした。
軽い処理落ち程度ならあったかもしれませんが、記憶に残らないほどのものだったと思います。
よってこれから購入する方はDL版を選ぶのが鉄板というか無難です……が。
2021年7月2日よりPSPでのストア購入が出来なくなったため、同機種でのDL版は入手不可能となりましたが、PSVitaでのストアでは引き続き購入可能との情報がありました(2021年11月4日調べ)。
ですのでPSPのみでVitaを持っていない方であれば、パッケージ版購入も仕方なしと思ってください(長めのローディングにはこの際目をつぶりましょう)。
PSVitaをお持ちであれば、DL版は現在1,529円+税で購入可能なので、割とお手頃です。
本題に戻り、ほかにもちょっとしたことを。
アスティアなど一部キャラについて、スタート時の旅立ち先がそもそものED条件になっているという特殊条件に気付かないまま進めると、お目当てキャラのEDが一向に見られないことにもなりかねません。
1周するだけでもそれなりに長いゲームにつき、せめて2周目からでもED条件位は攻略本や攻略サイトなどを確認する方が無難と思いました。
幸い次周からはソウル・スキルPの引継ぎも出来、前述の通信機やED選択が出来るようになったおかげでだいぶ楽になります。
しかし全員の個別EDはおろか、未来への扉(脅威の大団円ED・難易度激ムズ)までを含めたEDのコンプリートを目指すのは相当な苦行になるでしょう。
やがては移動やバトルも単調に感じ、周回に際して作業感が出てきます。こういう感覚はほかのゲームでも一度は味わうかもしれません。
ジルオールのような周回を余儀なくされるゲームの場合。1回クリアして少し間をおいてから、再びクリアを目指すプレイが向いているかと思います。
筆者にとってジルオールは「しばらく経てばまたやりたくなる」タイプのゲームなので、余計にそうした方が良いかもと思いました。
色々と書きましたが内容そのものはどストレートな洋風ファンタジー。
そういう世界観を嫌わない人にはこの際うってつけのロープレと言い切ります。
この時代、ゲームも進歩に次ぐ進歩により、システム周りが気疲れするレベルで凝ったものも少なくありません。
そういう入り組んだゲームをプレイするのに疲れた方にもおススメです。
百聞は一見に如かず。
初見の方は1度プレイしてみてください。
どストレートで重厚なファンタジー世界にどっぷりつかれることでしょう。
これで最後!
PSP版からの追加要素である主人公誕生日イベントについてですが、筆者はほとんど見ていません。
それはスタート時に設定した誕生日をついつい忘れて、日数経過させてしまうから。
たまたま泊まった宿屋で発生した時は、急に仲間から祝われて嬉しい反面、突然だったので一体なんのイベントかとビビりました。
プラスあるあるかもしれません。
了。
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