大多数の人のため?ネジやビスはなぜ時計回りで締まるのか

DIY経験がある人にはイメージしやすいだろうが、ドライバーなどの工具でネジ・ビスを締めるときは無意識に時計回りで締めているはず。

DIYとまではいかなくとも、日常シーンでもペットボトルのキャップを締める時や、水道で手回しの蛇口を締める時などは時計回りだ。

筆者も当たり前のように、その習慣に沿って生活しているが、これらの物品の締める方向はなぜ時計回り、つまり右回しでないといけないのか。

別に左回しでも良いんじゃないだろうかとも考えている。

しかしネジ・ビス、ペットボトルのキャップに蛇口などそれら全てが右回しで締まる理由については、人間の利き腕が深く関係しているらしい。

多数派のために……

silver screw on brown wooden table
Photo by Aniyora J on Unsplash

ネジが時計回り(右回り)で締まるのは、右利きの人が力を入れやすいからという説がある。

しかも世界人口の約7~9割が右利きであるとされるため、ほとんどの締め具が右利き向けに設計されているというワケだ。

多く見積もっても世界人口の9割は右利きということだが、左利きの人間のことは当時の考案者からして度外視の存在だったのだろうか。

大多数の人間のために設計されたことが真実であるなら、民主的な規格なのはまちがいなく、実に納得の理由だが……。

そういう風に考えるのも筆者が右利きだからだよね!

結局自分も多数派の方に属しているから納得してるんだな。

これが左利きであれば「ペットボトル回しずれー!」とか日々文句をたれていたかもしれないな。

なんにせよ普段からそう思って生活しているのか、それとも生まれつきそうだから慣れてしまったか、左利きの人間に考えをぜひ聞いてみたいものだ(筆者どのの身近にもほぼ右利きしかいないようで、話の聞きようもないのだが)。

最初は規格が定まっていなかった

ネジの規格が近代で右回しに統一されるまでは、回す方向がどちらか明確に決められていなかったという。

後に回す方向が一般化されたのはイギリスの技術者・ジョセフ・ホイットワースという人が、1841年にねじの規格を統一した論文を出した辺りらしい。

この頃からネジは右回しで締まるものという考え方も一般的になったとされる。

なおホイットワースが規格統一を提唱したそのネジはウィットねじの名で知られ、世界初のネジ規格として国全体へと広まっていった。

またピッチ(ネジ溝同士の幅)や角度なども統一化され、イギリス鉄道が整備される際にはこの規格のネジが採用され標準化された。

インフラ整備にも大きく貢献したようである。

規格が定まるまでは技術者が各々に、締める方向の異なるネジを製造していたのだろうか?

そうみたい。

でもこの頃も絶対にネジは右回しって正式に規格されていたワケじゃなく、おおむね右回しのネジが造られるようになったってだけみたい。

時代が進むうちに右回しのネジとして固定化されていったのかもね。

ネジを発明した人

ネジの考案者は複数人存在している。

比較的有名な人物として、紀元前400年頃の古代ギリシャを生きた学者、アルキタスが発明したという説もあれば、同じく古代ギリシャ・ペルガのアポロニウスが発明したという説もある。

さらにエウスタシウスという学者の話では、こちらも古代ギリシャの発明家として有名なアルキメデスが物と物を接合したり、水をくみ上げる装置の部品に使ったりするネジを考えたという話までがある。

こうなると結局、誰がネジを発案したのか確定が出来ない。

しかしいずれも古代においての高名な学者なので、この中の誰が発案してもおかしくない可能性がある。

誰が作ったかという話を別な視点で調べたところ、手作りネジを最初に製造したのは古代ローマ人といわれている。

銀や銅を材料にし、手作業でのカットにより造ったとされているが、これを組み込み水をくみ上げる装置などを使っていたらしい(この装置の話からは先のアルキメデスが最初にネジを考案したとも受け取れる)。

こうした用途のネジは水ネジと呼ばれていたようだ。

ついでにこの頃のネジも、右回し・左回しが定められていなかったという。つまり用途や、もしかすると製造者のノリで回す方向を決めていた頃だと考えている。

結局複数人の発案者が居るのなら、誰がネジを考えたということについては分からずじまいだな。

でも、さっき言ってたどの人も数学や天文学に優れた学者さんみたいだし、複数の人たちがネジの概念を生み出した可能性があることはまちがいないね。

しかも全員古代ギリシャの人だし、ギリシャって機械文明の発達が他の地域と比べてすごく進んでいる国だったのかもね。

詳しいことは分からずでも、文明の発達とともにそういうものを誰かが考案するというのは、どの時代でもあることなのだな。

鉄に一定幅のみぞを掘って、物同士をくっつけるような構造を思い付いたのがそもそもスゴイことだけどね。

その案を元に実用可能なところまでもっていったのが、古代ローマの職人さんたちってことじゃないかな?

それと、あまりたいした情報じゃないかもだけど、さっきのアルキタスの友達には哲学者のプラトンがいるんだよね。

類は友を呼ぶということだな?

学識がある人同士で交流があったってことだね。

互いに影響し合って生まれた発想もあったのかもしれないね。

まとめ

ネジが時計回りへと一般化されたのは、意外にも歴史が進んで近代よりになってからのようだ。

やはり当初は右利きの人への配慮がされたゆえの規格だったのかもしれない(左利きはガマンしろという製造者の声が聞こえてきそうである)。

ただ「ネジ」そのものを考えた人はアルキタスであったり、アルキメデスであったり、今ひとつ確定付ける説が見当たらなかった。

他力本願だが、発案者を確定づけることが書かれた公式の書籍などの情報を、寄せて頂ければたいへんありがたい。

ともあれ先にコチョンが言っていたように、実用可能なネジを最初に造ったのは「名もない古代ローマの職人たち」という可能性がうかがえただけでも良しとしたいところ。

ところで筆者は以前にネジ・ナット・蛇口などを締めるときに、どちらへ回せば良いか迷う時が度々あった。

そんな頃、筆者と関わりのあった鉄鋼業の職人さんから「ネジやビス類はひらがなの「の」の書き順で締まると覚えておけば良い」という有難いお言葉を頂いた。

後々調べてみると、ポピュラーな覚え方の1つだったようだが、その言葉のおかげで「どちら回しだろうか……」と迷うことは以後無くなった。

当時関わったその職人さんに感謝である。

「の」の字か。

簡素で覚えやすいし、いざという時に締めまちがえないな。

とか言いつつ筆者は、締めるものが反対側にくると未だに一瞬迷うみたい。

この場合は正面から見て、逆「の」の字ってイメージしてるらしいよ。

……なんだかややこしくないか?

「あれ左右どっちだっけ?」って時間が掛かる事はもうないみたいだから、別に困ってないみたい。

そうだ、ネジが全て右向きのものだけじゃないことを付け加えるね。

たとえば昔ながらの扇風機のハネを固定している箇所には、左回りのネジ部品が使われているんだよ。

物によっては例外ありということか?

そういうこと!

これは扇風機の回転する向きと逆向きのネジにすることで、固定している部分が緩んでしまうのを防ぐためらしいんだ。

っていっても最近は羽がない扇風機や送風機があるから、昔ながらの扇風機で実際に確認してもらうしかないけどね(メーカーの仕様によりけりかもしれないけど)。

了。

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