さ～さの葉～サーラサラ～のきばにゆれる～♪
七夕の歌か？
そうそう、短冊に願い事を書いてるところさ。
伝統行事は大切にしないとね。
あまりくわしくはないが、七月七日に愛し合った者同士が天の川でふたたび出逢うという考え方があったな。
織姫と彦星の伝説だったか。
そのとおり！
知ってる人は子供のころから物語で聞かされてることも多いだろうね。
天のえらい人に別れさせられた夫婦が、この日だけ会うことを許されているんだ。
せつない話だよね。
空の上で会うという本来あり得ない状況での話だが、あり得ない話だけになかなかおもむきはあるな。
（カエデが言うと一気にロマンチックじゃなくなるんだな）
うん、まず架空の話だからね。
じつは天の川って無数の星々が集まって出来てるんだよ。
天体望遠鏡なんかを使って見るとそれが良く分かるんだって。
ふむ、星の集合体というワケか。
それがこれほど遠くからだと川のように見えるのだな。
そういうこと。
日本では天の川って名前だけど、別名「ミルキーウェイ」とも呼ばれるんだ。
呼び名が複数あるのは海外と日本とで天の川への考え方がちがうからなんだって。
ミルキーウェイはギリシャ神話が元
全能の神ゼウスが妻のヘラに睡眠薬を飲ませて、彼女の母乳を赤子の※ヘラクレスに与えた。
眠りから覚めたヘラはヘラクレスが自分の母乳を飲んでいることにおどろいた。はずみで母乳が流れでてそれが川になりミルキーウェイという名が付いたという。
※ギリシャ神話では数々の武勇伝を持つ。映画やアニメ・ゲームにも登場が多い有名な英雄
神話をもうちょいくわしく
大体のいきさつはわかったが、なぜわざわざ眠らせてまでヘラとやらの母乳を飲ませることになったんだ？
普通に飲ませれば良いんじゃないか。
答えをざっくりいうとヘラクレスがゼウスの浮気相手の子供だったからなんだ。
ゼウスってゆくゆく自分の座をヘラクレスにゆずろうと考えていたらしいんだよね。
それを知っているヘラからすれば面白くないし、ヘラクレスのことをうっとおしく思っていたんだ。
ならほかの女の母乳を飲ませれば良い話だと思ったが。
なにも当人を憎んでいる相手の母乳を無理に与えることはあるまいに。
じつはヘラの母乳には飲んだ相手を不死にする力があったんだって。
ゼウスはヘラクレスにその力も与えたかったんだ。
よっぽど目をかけられていたんだね。
不死か！
それならば我が子にそんな加護を授けたいとも思うはずだな。
話を母乳を飲ませている段階まで戻すけど、ヘラは起きた時ヘラクレスを振り払ったらしいんだよ。
なんでかっていうと彼の飲む力が強すぎて彼女はその痛みで目覚めたんだって。
こんなこといっちゃなんだけどバキューム並の吸引力だったのかも。
赤ちゃんでも飲む力まで強いってことは、さすが英雄ヘラクレスっていったところかな。
……どことなーく恥ずかしいことを言ってないか？（何となく胸のあたりがムズムズしてきたぞ）
まとめ
- 天の川の別名「ミルキーウェイ」はギリシャ神話が元で英雄ヘラクレスが関与している
- ミルキーウェイの正体はゼウスの妻ヘラから流れ出た母乳。なおヘラクレスはゼウスの浮気相手の子供であり正妻であるヘラからは疎まれる存在だった
- 赤子のヘラクレスが乳を吸う力が強すぎて、振り払おうとしたはずみで飛び散った母乳が川（ミルキーウェイ）となった
日本と海外では天の川への見方がまるでちがうのだな。
かたや物語でかたや神話か。
同じ天体を見ていても解釈はそれぞれなのだな。
伝説をドッキングさせるとヘラの母乳で出来た川の上で織姫と彦星が再会するんだよ。
まるでお話の異文化交流だね。
でも国ごとの伝承や伝説によって、色んな見方がされているのは面白いことだよ。
日本独自で海外の行事を変化させたものもあるものな。
ところでコチョン殿は短冊にどういう願い事を書くんだ？
ナイショ！ ってもどうせ笹に吊り下げるからバレるんだけどね。
この際だからカエデも願い事を書いてみたらどう？
そうだな、せっかくだから。
あまり神仏に願をかけるというのは好きではないが、郷に入ってはというやつだ。
さっそく書いてみよう。
きっとカエデのことだからもっと強くなりたいとか、戦闘狂みたいなことを書きそうだけどね。
……。
別な願いにするか。
（あれ？ 当たってた？）
了。
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