ネタバレがイヤな方は…
ここは筆者がプレイしたゲームのネタバレ多めのレビューだよ!
ネタバレはイヤだけどゲームには興味ありって人は、ここからこの先ネタバレ注意!までを読んで参考にしてね!
初プレイの楽しみを大事にしたい人は、そこまでなら安心して読めるよ!
それ以降の内容は、ネタバレが問題ない人向けだぞ!
ゲームをすでにプレイ済みの人は思い出を楽しみ、未プレイの人には雰囲気だけでもつかんで、実際にやってみたいと思ってもらえたなら嬉しいな!
情報もろもろ
発売日 | 2013年3月28日 |
発売元 | マーベラス |
開発元 | ヴァニラウェア |
ジャンル | 絢爛絵巻和風アクションRPG |
プレイ環境 | PSVita(パッケージ・DL版あり) |
価格 | パッケージ版3,400円+税・DL版727+税 |
おススメする人
以下のような要素が好きな方におススメ
- 和風(時代設定は江戸中期頃)
- 主人公が2人、シナリオも二本立て
- 数多の刀で戦う2Dアクション
- マルチエンド搭載(計6つあり)
- 短編~中編(トゥルーエンド達成までのボリュームは中編程度)
- 絵本世界のようなグラフィック
目安プレイ時間・特徴
クリアまでのプレイ時間は9~10時間くらいだよっ。
これは片方のシナリオの1つ目のエンド達成まで、ゆっくり目にプレイした目安だから、あまり寄り道しない人は6~7時間くらいで終わるんじゃないかな。
でもこのゲームはマルチエンド式だから、全部の結末を見る場合、トータルで20時間くらいだと思うよ。
ちなみに筆者の最初のエンドまでのプレイ時間は、片方のシナリオで約11時間、もう片方が約5時間半だったんだ。
これって片方は寄り道をしながらじっくり進めて、もう片方は寄り道をほぼせずに進めた結果なんだ。
つまり単体のシナリオを普通に進めるなら、そんなに長くはならないってことだね(プレイスタイルに寄るよね)。
ちなみに2つ目エンドも進め方によっては、1つ目エンドのすぐ後に見られるけど、最後の3つ目のエンドを見るのには、ちょっぴり手間がかかるから、ここに一番時間が必要になるって感じだね。
このゲームでは色彩豊かで美しい和風2Dアクションを楽しめるんだぞ。
なんかそれややこしくない?
ジャンル名の絢爛絵巻〜ってのが、的を得た表現だと思うけど。
う、上手いたとえが思い付かなかったんだ!
……コホン、とりあえず気を取り直して……。
物語は抜け忍の少年・鬼助どの、ある小藩の息女・百姫君が、かの妖刀村正をたずさえて、各々の目的のため各地を旅する二本立てのものとなっているんだ。
はじめにどっちかのシナリオを選べるけど、途中からもう片方を遊ぶことも出来るんだよね!
セーブデータも共有で1つだけしか使わないんだ。
村正と題名にあるように、肝となるのは刀を作り出すシステムだな。
道中で収集するほか、敵を倒すことでも手に入る魂と、物を食べることで増加する生気の二つを使って、多様な刀を産み出せるというやつだ。
刀は武器として必須だが、収集することも楽しさの一つだな。
シンプルに攻撃するだけじゃなくて、火の玉や竜巻出せたりとか、色んな効果を持った刀が使えるんだよね。
まあ全部作り出すんじゃなくて、一部の刀はボスからとか、特殊な場所で手に入るものもあるけどね。
童子切安綱(どうじぎりやすつな)や長曽祢虎徹(ながそねこてつ)など、現実で名高いものもいくつか手に入るな。
ちなみに刀には素早く攻撃できる太刀や、取り回しが難しいが、相手の守りを大きく削ることが可能な大太刀の2種類がある。
この二つの刀種を使いこなすのが、攻略のカギといったところか。
刀は攻撃やガードとかの行動でゲージ(霊力)が減っていって、全部無くなると折れちゃうんだよね。
でも納刀して一定時間経ったり、砥石を使ったりするとゲージが回復して、満タンになると刀は復活するんだ。
しかもコレ、満タンの時に抜刀すると「ズバッ」と全体攻撃が出せて、必殺技みたいで気持ちいいんだよ!
楽曲も和風でカッコ良いものがほとんどだ。
本編中に好きな曲が聴ける場所に行き、操作をほったらかして風景と音楽を楽しむというのもオツなものだぞ。
店で買い物出来たり、食事が出来たりするロープレ的な要素もあるのも楽しいね。
あ、食事についてだけど……やたらリアルな演出が入って、すごい飯テロになってるから、お腹減ってる時は気を付けてね!
それは凄く分かる。
まあ、そちらも実際にやって見てほしいところだな。
この先ネタバレ注意!
序文
当レビューは2009年4月9日にニンテンドーWiiで発売された朧村正、そのPSV移植版のものとなっています。
Wii版にはなかった快適要素(祠ワープなど)があるため、これからプレイする方には無論PSV版がおススメなのを先にふれておきます。
さて本作は、徳川家に災いをもたらしたという伝説を持つ刀、妖刀村正をテーマとした和風2DアクションRPGです。
正確には絢爛絵巻和風アクションRPGという独特ジャンルが冠されていますが、絢爛絵巻という表現がまさしく合う、類を見ない美麗グラフィックが本作最大の特徴でしょう。
開発元がドラゴンズクラウン・オーディンスフィアを作ったヴァニラウェアということもあり、2Dキャラのなめらかな動きや、背景の美しさが共通なところ。
各キャラのセリフも、良い意味で古めかしく時代劇さながらになっています(特に鬼助のセリフはべらんめえでありつつ、どこか漫談調でウィットに富んでいます)。
筆者は幽玄でありつつ滑稽さも随所に散りばめられた、この絵巻物の世界にいざなわれてしまった1人。
元々、和風な世界観が好きなのもあり、あらゆる面で筆者のドツボにハマったタイトルでした。
またそれぞれに特徴を持つ無数の刀を振るい、殺陣のごとくの立ち回りが要求されるアクション性もさることながら。
舞台こそ江戸・京都・奈良、その周辺地域に限定されるものの、各地の名所を駆け巡り、旅をしている感はしっかり押さえられています(各所に茶店が配置されているのも良いエッセンスとなっています)。
ところで、Wii版(テレビ画面)プレイ済みの方にとっては、画面の小さい携帯機でのプレイがちょっとしたマイナス点になるかもしれません。
しかしPSVita版は、Wiiの時よりも画素が調整されているとのことで、こと画質においては断然上なようです(当方では見比べていませんが、キャラの表情変化など細かいところまで、くっきり見えるようです)。
※PSVitaTVなら、HDMIケーブルさえあれば通常のTVモニターでもプレイ出来ます(便利な昨今、費用さえ惜しまなければモニターで遊ぶ方法はほかにもあるようですが、ここでは割愛します)。
話はかっ飛びますが、攻略上も有益な食事については、かなりの飯テロシーンが流れます。
空腹時にはとりわけつらい演出に思わせるあたりも、グラフィックの職人技というべきかもしれません。
ここでいうべきことではないかもしれないが……。
筆者どのの場合、下書きに加筆しながら現在のレビューに書き上げるまで、3ヶ月ほどかかったのだな。
もっともそんなのはこちら側の都合で、読者どのには何も関係のないことだが……。
基本グータラなのが原因じゃない?
サイトのほかの文とか絵描いたりってのを合わせても、ちょっとかかり過ぎ感はあるとして……。
執筆に間が空いて記憶が薄れてたのも、自分で要点書いたプレイメモとかでカバーして、なんとか仕上げたまでは良しとしたげようか。
相変わらず、くどめ長めのレビューだけど。
ま、どうせリライトするし、これが完成系ってわけじゃないでしょ。
それもそうなのだろうが……。
ところで筆者どのはこのゲーム、どこまでやり込んだんだ?
難易度・無双で一通りエンドを見て、各魔窟も制覇済みなようだよ。
んで、今一撃死モードの死狂の最初でストップ。
またそこからしばらくやってないみたいだね……。
まあ一通りやったというなら良いのだろうが。
コチョンどのは?
ボクは死狂いも達成して、トロコンもしたよ!
流石、ゲーマーというやつだな。
(この際、コチョンどのがレビュー書いた方が良いと思ったが、本人はめんどうがるだろうし、筆者どのの立つ瀬もないゆえ、少々酷か……)
評価スタイル
ここからはストーリーや総評まで各要素を分けて☆☆☆☆☆って感じの、お星さま評価をさせてもらってるよ!
☆5つならめっちゃ満足、☆1つなら不満って感じでね。
ちょっぴりありきたりな評価の仕方だけどね。
☆☆☆+や☆☆☆☆-のように評価させてもらうこともあるぞ。
これは次の☆数まであと少しで達する、達したが少々物足りないといった微妙さ加減を表していると思って欲しいな。
ストーリー ☆☆☆☆
時代設定は江戸中期の元禄、六代将軍・徳川綱吉公の治世。
二つのシナリオが共に章仕立て(全8幕)となっており、どちらも人間模様が絡み合った幕劇感の強いストーリー。
雰囲気のみならず、各キャラのセリフやナレーションにいたるまで、江戸(和)テイストがこれでもかというほど落とし込まれています。
「袖なかろうぜ」など、時代劇で聴くような言い回しがあるあたり、そういうのを好む人にも受け入れやすいかもしれません(全編フルボイスなので臨場感もバツグン)。
一方でボリュームはシナリオ双方とも、たとえ時間がかかっても10時間で終える程度。
基本一本道なので、シナリオの途中分岐なども残念ながらありません。
よって単体のシナリオのみで見た場合は多少不足感があるものの、後述する別エンド回収まで含めると、中編程度のボリュームとなるため、けっして短すぎるというワケでもなく。
むしろそれぞれのエンドを一通り見終えることで、シナリオの奥深さを真から味えるものになっています。
※ちなみにそれぞれのクリア時に入手する2本の刀を装備して再クリアすると別エンド。さらに最後の妖刀・朧村正を入手後に装備し、再度ラスボスに勝利することで真エンドが見られます。
それぞれのシナリオ概要
舞台や世界観は主人公で共通ですが、大きく異なるのは旅の動機や目的。
鬼助編は恋する女性・虎姫のために、妖刀をたずさえ各地を転戦し、最後は巨悪に立ち向かう、ヒロイックなシナリオ展開となっています。
抜け忍となった立場から、とっぱじめから追手の忍びを差し向けられるなど、殺伐とした展開が多いのも鬼助編の特徴といったところ(終いにはお上にすら歯向かいます)。
なお序盤で記憶を飛ばしていますが、後々自身が妖刀の使い手になった経緯も明らかになっていきます。
一方の百姫編は、小藩の息女・百姫が殺人剣の達人・飯綱陣九朗にある経緯で身体をのっとられ、その目的に否応なしに従う形で、各地のみならず、果ては地獄や天界に至るまで旅をします。
よって冒険のスケールは鬼助よりも大きく、奇譚的な雰囲気は強めになっています。
なお陣九朗の「のっとり」は不完全な状態につき、百姫の魂も健在なため双方の掛け合いも多く、ある意味で主役が2人という奇抜な内容にもなっています(片方が身体に入っている時、もう片方はフワフワと鬼火のような状態で近くをただよっている絵面も、どこかシュールさが感じられます)。
それぞれの展開は大きな破綻もなく、当初は意味不明な事柄も回収しつつ終結へと向かうため「アレはどういうことだったのか」というような消化不良感もありません。
各地を行ったり来たりの「お使い感」が少々ありつつも、1つ1つの幕が続きドラマのような展開を見せ、最後にはこれらをひっくるめた1つの事件が落着する感じとなっています。
ノーマルエンドのざっくり内容&所感
ここからそれぞれの結末の話に踏み込んでいきますが、鬼助編は悲恋物語を好きな方であれば、その展開は涙なしでは見られないかもしれません。
筆者はそういう話が好きなワケではありませんが、声優さんの好演とクライマックス(ラスボス前)の別れのシーンが相まって、少しウルっときました。
さらに鬼助は虎姫の仇であり、災いの妖刀・狗頭龍村正の力で獣と化した綱吉(ラスボス)を討ち果たしますが、姫が居ない世に未練はないと言い残し、天上の阿弥陀如来の眼前で自害するという悲劇を迎えてしまいます。
それを哀れに思った如来は……。
時は過ぎ、鬼助は村の少年・勘兵衛、虎姫は町娘・お花として生まれ変わっていました。
記憶は失ったものの、再び出会うことが叶った2人には、不思議な夢見の話もあって、すでにフラグが立ち始めています。
勘兵衛はナンパさっそく茶屋にお花を誘います。
なお、このフラグ立ちには、かつて旅の終わりまで連れ添った稲荷神の使い・弓弦葉が一役買っており、最後のシーンも彼女の粋なセリフで締めくくられます。
輪廻転生オチというやつですが、互いに普通の少年少女となれたことで、ようやく2人に幸せがおとずれそうな予感がする、ある意味一安心な結末といったところです。
一方の百姫編では最後の戦いの後、周りの人々や婚約者である雪之丞の静止もふりきり、陣九朗の弔いを兼ねて彼女が尼になるという、何とも因果な終わりを迎えます。
たとえ本意ではなくとも(原因は陣九朗でしたし)天界や地獄など生者が立ち入ることがタブーな領域にズカズカ乗り込み、暴れまわった経緯に関与しているため、それだけでも出家の道を選ぶのは無理もありません。
あげくラスボスがあの不動明王だったので、そもそもが罰当たりな旅路だったワケです。
時は百姫が決意するより少し前、一旦は戦いに勝ったように見えたものの、ガチギレした不動明王がついに実体を現し、陣九朗はその圧倒的な力に屈します。
ハイライトは、陣九朗が観念し、不動明王に百姫の魂のみは救うよう頼む場面。
さしもの不動明王も慈悲心が出たらしく、おかげで百姫の魂は再び自分の身体に収まることが出来た訳です。
最後に人らしさを見せた上、冗談交じりに地獄へと去ったことが、陣九朗なりの潔さや人間味が感じられるところ(さらに因縁の悪僧・乱戒もついでに改心します)。
もっともセリフ通りに地獄で画策して、また現世に舞い戻ってきそうな気がしなくもないですが(紺菊はそのあいだ孤独になっていそうで可哀そうではありますが)。
以上ノーマルエンドについてザックリ書きとしましたが、どちらもハッピーエンドとするには不足気味で、かといってバッドエンドとも言い切れない、一筋縄ではいかない終わり方となっています。
なお当レビューでは、全ての結末を見た上でのシナリオ評価をさせていただいています(最低限そこまでやるのは当然なのでしょうが)。
それぞれのエンドはいわばパラレル的なもので、IF展開および結末が合計6つ存在することになります。
ことプレイヤーによってどのエンドが正史か(好みか)好きに決めて良いと言わんばかりの作りは、良点だったと思います。
2つ目エンド
展開は通常と大きく異なり、ラストバトルも鬼助編では百姫、百姫編では鬼助に変わります。
初見では意外な展開と思ったものの、朧流の因縁や村正といういわくつきアイテムを互いに引っさげている共通点から、互いに出会うべくして出会ったのは必然だったかもしれません(ほぼ会わずなだけで、2人の物語は本編中同時に進行していたと思われます)。
温泉イベント以外に接点がないのが、むしろ不自然だったので、このルートでは2人の主人公の運命が最後に交差するというスッキリ展開でした。
こちらの結末は鬼助どの、百姫君双方でクリア時に入手する刀を、それぞれが2本とも装備した状態で最後の敵に挑むと見られるものだったな。
憑き落としと無銘玉ノ緒だね。
これさ、お互いで一度クリアして、すぐノーマルエンド→2つ目エンドっていうことも出来るんだよね。
続編匂わせなやつ
百姫(陣九朗)と凄まじい斬り合いの末、勝利した鬼助。
別れの際、虎姫から妹である百姫のことを託されます。
その後、鬼助は百姫たっての願いを聞き入れ、世にちらばる妖刀狩りをするため共に旅立つという、なにやら続編があってもおかしくない結びで締めくくられます。
ナレーションの人がいうには、妖刀村正千本塚と名を変えて話は続くもよう(続編もないので御想像にお任せという感じですが)。
実のところ筆者はこの2つ目の鬼助エンドを一番気に入っています。
全結末の中で一番喜劇的で、爽やかな締めくくりだと思えました。
2人の冗談まじりの会話オチも「こいつら恋仲フラグがたっているんじゃ……」と思える、微笑しいもの。
それはそれで良として。
村正ってまだ千本もあんのかい(実際にではなく、スケールを大きく見せる誇張表現でしょうが)。
余談ですが、このエンドに挿入された新吉原での刀狩りシーンは、歌舞伎の演目「籠釣瓶花街酔醒⦅かごつるべさとのえいざめ⦆」というものが元ネタになっていると推察しています。
しかもこの演目自体、実際に江戸の吉原で起きた大量〇人事件を元に作られたらしいです。
そして事件を起こした張本人・佐野次郎左衛門により花魁八ツ橋をはじめとした、多数の人間に振るわれた狂気の刀が駕釣瓶ともいわれています。
このエンドでは鬼助たちの活躍のおかげで駕釣瓶が振るわれることなく、死者も出さずに事なきを得ましたが、実際に起きたとされる江戸の事件(を元にした演目)と、ゲームシナリオが合わさった展開だったとは思いもよりませんでした。
後から調べて分かったことだったので、実に目からウロコな話です。
女剣士の誕生
鬼助との激しい戦いの後、相打ちによる深手を負った百姫の身体を助けようと、陣九朗は決意します。
自らが生きた証として朧流剣術を遺すためにも。
少し時が経ち、優しいおじいさんおばあさんに救われ、のどかに暮らしていた百姫。
しかしかつての記憶を一切なくした百姫は、おぼろとその名を変えていました。
彼女が眠りについた後に「オボロ、ジンクロウ」と、うなされていると教えてくれるおばあさん(よっておぼろと名付けたという話)。
側にキツネ姿の紺菊が居るのも、先の出来事を知っていればこそ、やたらせつなく感じられます。
そして、突如襲来する大鬼。
恩人の2人を守るため、無意識に百姫は見事な剣術であっさりと大鬼を倒してしまいます。
それがきっかけとなり、自身の記憶の秘密を取り戻すため、ふたたび旅立つという締めになっています。
陣九朗の魂が融合した影響からか、かの剣術は彼が望む形で彼女の中に残った様子、先の旅でもきっと無双の活躍をすることでしょう。
かくして女剣士・おぼろが誕生するワケですが、2つ目のエンドは鬼助百姫どちらも、続編ありきな終わりを迎えています。
おじいさんやおばあさん、鬼やらの登場が桃太郎を彷彿させるのも、このエンドの特徴かもしれません。
本当に続き物として出れば、筆者どのはやりたがるだろうな。
いや出ないでしょ。匂わせエンディングってどこにでもあるし。
それに続編があっても、別な主人公になってる可能性の方が高そうだけど。
鬼助と百姫が再登場しても、あくまで脇役って感じじゃない?
(……ま、続編の情報なんて今のとこ⦅2025年1月⦆時点でも出てないし、朧村正はとりあえず今回のみで完結ってところかな?)
朧村正エンド
108本目、すなわち最終妖刀・朧村正を装備し、ラスボスを倒すことで見られる最後のエンド(こちらのラスボスはノーマルエンドのものと同じ)。
なお鬼助、百姫ともども展開はムリヤリの度をこしています。
千十が死してなお追い求めた伝説の妖刀の力はすさまじく、因果を断ち切るほどの能力によって迎える結末は度肝を抜きます。
まさしく「デウスエクスマキナ」というほかありません。
この結末は物語の起承転を捻じ曲げたものなため、先の4つのエンドとちがい、賛否両論が少なくないと思われます。
美味しい男・鬼助
鬼助が朧村正の力で飛んだ時空の先は、かつて自身が密偵として鳴神藩へと潜入していた頃。
愛する虎姫が存命ながらも、敵襲により危機を迎えようとしている、まさに「あの頃」でした。
はじめは夢オチと錯覚したものの、自身が負った傷やたずさえた妖刀の存在から、早々に状況を察した様子。
つまりそこに居るのは当時の無力な鬼助ではなく、最強の妖刀と最強の剣術をひっさげ、時空をも超える力すら持った、いわばチートの鬼です(鬼助だけに)。
その後の展開は知れたもので、無双の力で敵(ヌエ)をすんなり斬り伏せ、姫の悲しい運命を変えることが(当然ながら)ついに叶います。
と、思いきや「いつか嫁にもらいにくる」などとのたまい、鬼助は武者修行の名目で欧米へと旅立ちます。
最後は何も言わず見送るのみの姫でしたが「ある程度打ち解けた男性が、自分の危機をたやすく救い、告白セリフを残して去っていく」のを目の当たりにして、彼女が果たしてどう思うか。
虎姫「……なんだ、あやつ? 頭をやられているのか?」
と思っているかどうかは定かではないものの、パッと見は圧倒的な強さで惚れた女を救い、美味しいところをすべてかっさらっていった男・鬼助といった具合です。
時空を超えても記憶や力がそのままな彼は、もはや国内で敵なし、新たな強敵を求めて新天地へ旅立つ男・鬼助。
抜け忍の立場は以前と変わりませんが、一介の忍軍程度ではもはや彼を止められないでしょう。
それはそうとして。
あれほど好いた姫を置いてまで、強敵を求めて旅立つという戦闘狂的な意思は、かつての鬼助では考えられないことのように感じました。
これはある意味、彼が妖刀の力に魅入られてしまったとも解釈出来てしまいます。
であれば、ある意味でバッドエンドとしてもとらえれるのではと、余計な考察をしてしまいました。
どうせなら先の別れの時、そのまま姫を拉致って駆け落ち気味に二人で旅立った方が良いような気もしていましたが、それも無粋かもしれません。
最後はグランドキャニオンらしき場所から、景色を眺め立つ鬼助の一枚絵が流れます。
等身も変わっているところは、やや年月が経過した様子。
彼は広大な異国の地で今も武者修行を行っているのでしょう(っていうか、はよ姫迎えにいってやれよ)。
何も知らずの姫は幸福か否か
百姫サイドも因果を歪める朧村正の力によって、旅の発端の少し前「あの頃」へと戻れましたが……。
こちらの展開は清々しめな鬼助エンドとはちがい、世にも奇妙な物〇感が強いです。
操作キャラが在りし日の陣九朗に変わったあたり、なにやらイヤな予感が。
村正の力が上手く作用したのは、どうやら彼に対してのみなもよう。
奇しくも身体を取り戻した陣九朗でしたが、タイムワープした城下であの頃の雪之丞と遭遇し、彼と仲睦まじい様子の百姫とも再会します。
そして陣九朗は今度こそ本懐を遂げるために……。
なおこのエンドでの百姫は「別次元の百姫」であり、本編が始まる前の百姫なため、陣九朗のことはまったく知りません(ややこしいですが)。
鬼助ともども、実にパラレルな展開です。
ところ変わって、雪之丞との婚礼も済んで人妻属性が付与された百姫へと操作が移り、城内の人々と談笑する場面になります(女中に化けた紺菊がまぎれているあたり、怪しい雰囲気プンプンです)。
はたからみても大変お似合いな両人らしく、寿ぎをのべる女中。
百姫は幸せをかみしめつつ、愛する夫とも話をします。
まあ、成り行きを見ていれば自然に分かることなのですが。
姫さんよ……そいつ、陣九朗だからな。
何も知らないままの彼女が、後に産んだ子供の父親はいうまでもなく。
はじまりの頃、陣九朗が魂移しの儀を狙った相手はそもそも雪之丞でしたが、百姫が雪之丞をかばったことで失敗に終わっていました(その流れが本編へとつながった)。
かつて果たせなかった目的。
それが時空を歪める妖刀の力で成り、狂気の剣豪は自らの古い身体を捨て、武家の地位と可憐な妻、そして若く強靭な肉体をもいっぺんに手にしたのです。
まさに陣九朗の1人勝ちというべき結末です(紺菊も健在なので、まさしく両手に華)。
賛否ありそうなエンドですが、筆者はあのオチもありだと思っています。
なぜなら2つ目の百姫エンドで、冷酷無比なはずの陣九朗が最後に自らの命を百姫のために使ったこと。
そもそもノーマルエンドでも、不動明王に対し自分に責があるとして、百姫の命だけは助けるように願い出たことで、筆者的に彼の点数はぶち上がりましたし。
これらの結末では、どれも目的叶わずの悲運な彼だったので、1つくらいは陣九朗の野望が成就する展開があってバチはあたらないと思いましたから。
もっとも冷酷無比な一方で、百姫の身体つきにケチを付けたり、ひいきにしていた遊〇に情をかけたりなど、多少の人間味も見せていたため「完全な悪人」でもなかったワケです(鬼助の2つ目エンドの展開では、ただの悪漢と化していましたが)。
それはそうと。
百姫は陣九朗を雪之丞だと思い込んだまま、生涯愛していくのでしょう。
そう考えるとスタッフロール後の、幸せそうに赤ん坊を抱く彼女(浮世絵風)の一枚絵にも、皮肉感がただよって見えます。
不知(しらず)が、幸か不幸かは果たして。
この一筋縄ではない結末の絵面や詳細は、ぜひ実際に確認して欲しいところです。
ネタが随所に詰め込まれている
本作は昔話・落語・狂言・妖怪などのネタがそこら中に存在する。
妖怪に関しては、天狗や雪女が敵として普通に出てくるほか、NPCとして置いてけ掘や豆腐小僧(実際に豆腐を売ってくれる)なども登場。
「まんじゅうこわい」や、狂言の附子(ぶす)を彷彿させる会話。
さらにはあの一休さんや和尚さんと道中で出会ったり、芭蕉らしきおじいさんが民家で「ふるいけや……」を歌っていたりなど、ちょっとした日本ネタが随所に散りばめられている。
とはいいつつ、たいがいモブキャラがネタの当人であったり、話の内容がそれを示しているものだったりと、本編とはまったく関わりがない。
それでも古くの日本を感じられるフレーバー要素にはなっている。
でもさ、一休さんって室町時代の人じゃなかった?
これの時代設定って江戸時代の真ん中くらいだよね。
だが妖怪やら鬼やら、地獄やれ天界やれのほかに、時を超える刀すら存在しているわけだからな。
ゲームなのだから、そこいらへんはどうとでもなるだろう。
あまり深く考えない方が良いと思うぞ。
身もフタもないね……。
DLCシナリオについて(まだレビュー作成してません)
いや、作ってないなら、この項目要らないでしょ!
筆者どの、DLCまではやっていないからな。
一通りプレイし終わるまで現在は作成予定ということだが、必ず書く気ではあるようだぞ。
ここの文も都度書き直したり、書き足したりすると思うので、読者どのには申し訳ないと代わりにいっておこう。
じゃあちゃんとここが書かれるまで、ボクからも代わりにいっておくけど……。
DLCは全部で4つあって本編と設定は同じだけど、それぞれちがう主人公になってて、ボリュームも本編に引けを取らない出来らしいんだよね。
ま、DLCのことについては、ある日突然書かれてるかも知れないから「同じレビューを2度以上見てくれる奇特な人」がもしいたら、そのうち見られるかもね。
システム・内容 ☆☆☆+
双方のシナリオは、データロード時にいつでも切り替えられるため、片方の物語が途中でも、もう片方の主人公に切り替えて進められる変則プレイが可能です。
そうはいっても、片方をやり切ってしまう方が良いと思うのだが。
中途半端に進めてから、主人公切り替えちゃうと展開が分かりづらくなるからね(一応次の目的は表示してくれるけど)。
気分を変えたいなら、別に良いんだけどね。
大和や相模など旧地名が冠されたエリアに広がる2Dステージ内で、探索や戦闘の一切が行われます。
ボスステージも通常ステージと同じような構成。
どこに行こうがMAPには目的地が常に表示されるため、迷うこともありません。
通常戦闘はステージを走り回っていると発生するランダムエンカウントか、固定エンカウント(最初から敵が配置されている)のどちらか。
また各ステージ最奥に控えるボスを倒すと特殊な刀が入手でき、それを用いて各地域への結界を壊し、新たな地区へと進む流れとなります(後々自由度は上がりますが、流石に最初からどこにでも行けるワケではありません)。
なお戦闘メインなゲーム性のため、謎解きやギミック性は皆無。
その分、戦いでは縦横無尽に敵をズバズバ斬り伏せていく爽快感は高いものとなっています。
また各所には食事処や茶店などが配置され、村人・旅人らNPCがそこらじゅうに居り、それらとの会話もすべてステージ内で行われます。
ほか道中で敵から入手できるお金(単位は文と両)と引き換えに、食べ物や装飾品などの各種アイテムも商人から購入可能。
こうしたRPG特有の買い物要素もしっかり抑えられています。
難易度に関しては、易しいモードの無双のほか、高難度の修羅、修羅でクリアすると解禁される死狂(一撃死モード)の3つが搭載されているのは、初心者・やり込みゲーマーどちらに対しても配慮された作りになっています。
強敵に破れ一旦倒れても、すぐ手前からリトライが無制限に出来る親切仕様は、死狂を前提とした仕様にも思えるほど(残念ながら筆者、死狂はまだクリアしておりません)。
以上のように、2Dアクションの基本要素が網羅され、慣れることも容易なゲーム性となっていますが、いくつかのマイナスポイントはあるので後述します。
メインシステムの刀集め、鍛冶については少々長くなるので、次から触れていこうと思います。
メイン武器は数多の村正
徳川家に災いをもたらす伝説を持つ、かの妖刀村正が本編中の刀のほとんどを占め、その入手も魂と生気を捧げることで解禁されていくという独特さ。
クセが無く素早い剣撃を繰り出せる太刀、重く扱いが難しいものの、相手の体力やガードをゴリゴリ削れる大太刀の2種が存在。
入手出来る刀はすべてこの二つのどちらかに属している。
実際には村正を「鍛冶」によって入手するものとなっているが、主人公が作るのではなく、世の村正全てを作り出した(という設定の)大鍛冶師・千子村正によってこれらが生み出される。
メニューを開いて必要量の魂と生気を捧げれば、目的の刀を手に入れられるところは、ほぼいつでも利用可能な武器屋代わりといったところ。
刀を打つ時だけ姿を見られるとはいえ、村正どのは鬼助どの、百姫どのそれぞれに憑りつき、いつでも会える形なのだな。
普段は幽界の狭間ってとこに居るんだよね。
刀打ってもらう時だけ「おーい」って声かければ、ひょこっと現れるみたいな。
それとも狭間の世界で打った刀が「ひょこッ……カランカラーン!」みたいな感じで出てくるとか!
どっちにしてもちょっとホラーな光景だよね……。
各村正およびほかの刀は、鍛冶を行う際に表示される派生図によってすべて網羅され(未入手の刀は黒いシルエットで表示される)新たな刀を打つためには、その前段階の刀を入手しておく必要がある。
たとえばある刀とある刀の二つがなければ、次の刀を作れないといった具合だな。
各刀には必要な魂と生気の量がそれぞれ設定されているほか、能力(このゲームでは力・体力の二つの能力しか存在しない)による制限もかけられている。
つまり一定の能力に達していないと、たとえ魂と生気が足りていても、新刀を使うことは不可となる。
当然といえば当然のシステム。
刀も全部で108本と、仏教でいうところの煩悩の数であるのは和的な設定。
武器の総数が108ということになるが、初回クリアまでは鬼助と百姫それぞれの使える刀は個別のものとなる(一度クリアするとそれぞれの刀を共有出来る)。
一部の刀は村正でなく、有名な天下五剣なども存在する(これらの刀はボスや魔窟で手に入るため、村正に打ってもらうことは不可)。
いうまでもないが、ほかの107本手に入れた状態で解禁される最終刀は朧村正である。
この刀の入手して、エンディングを迎えた時点でゲームはひとまず完クリとなる。
余談だが、鬼助編で登場する狗頭龍村正や、百姫編での相模反魂黒光はシナリオ上のキーアイテムとしてのみの存在なため、装備はおろか入手することも出来ない(名前がカッコいいので惜しまれるところだが)。
使える刀は限られる
刀ごとに攻撃力が異なるのは当然として、ほかにも霊力消費で使える技が個別に設定され、一部には特殊効果や能力補正もついている。
これは刀の差別化を図ってのこととして良点なものの……。
古い刀は新しい刀を産み出した時点で、すぐ用済みとなることはいなめない。
いや、当たり前でしょ。
ドラクエでいえば、どうのつるぎからはがねのつるぎに買い換えて、またどうのつるぎを使うことなんてないワケじゃん。
待て、筆者どのが言いたいのはそういうことではないらしいぞ。
その切り替わりがあまりに目まぐるしいということだと思うが。
そうではないのか?
拙い文の補足をありがとう。
カエデのいったとおり、このゲームでは新たな刀の入手スパンが短すぎるというのが、大味なところ。
ペースは個人差があり、あくまで筆者プレイ下での話だが、刀によっては作ったのに一回も装備しないムダ刀もあった。
たとえば霧雨村正は、次の三種の刀の解禁までまったく使わなかったというのが筆者の実例。
さらに慣れるほど使える刀と使えない刀がはっきりするため、ほぼ使わないものも当たり前に存在する。
多くの刀が登場するが、それぞれの出番はあまりないというのが残念なところ。
もっとも、所持する刀を作りたての強い新刀にとっかえひっかえすることが基本となるので、マイナスポイントとまではいえないかもしれない。
一方で刀に備わる技の中には大変使いやすいものがあるので、攻撃力を度外視しても、そちらをあえて使うという例外はある。
※無銘玉ノ緒の烈風走破弐・極月村正の月下一閃は、刀の強さよりも技の性能が良いため(特に前者)当方ではこの二刀をクリア後もメインで使っていた。
ボクも最初は初心者向けの太刀が使いやすかったけど、慣れると大太刀も良いなって思えてきたよ!
私なら小回りが利く太刀だ、動きもそれほど制限されないからな。
もっとも3つ同時に装備できるわけだから、太刀と大太刀を状況に合わせて使いわけることが上策だろう。
アクションは段々作業化
一通りの操作を会得した後が、一番楽しい時。
スロット3つまで刀を装備し、それらを切り替えつつ、縦横無尽にステージを駆け抜け戦う。
ガードはボタン押しっぱなしにするだけで発動するのでラク。
※刀の霊力はガードで攻撃を受ける、攻撃を行うなどの諸行動で減少し、霊力ゲージが尽きたところで折れてダメージを喰らうが、納刀(他の刀に切り替える)していれば自然回復し、MAXになれば再び使えるようになる(砥石で回復するのも常套手段)。
アクションの幅も、単調な連続斬りだけではなく、回転による回避行動、下突きや上昇しながらの斬り。
急降下して突きを繰り出す、高速移動ですれちがいざまに斬るなど、空中戦の操作も慣れれば快感。
しかし一定時間プレイすれば、やがてそれ等全ては飽きへと変わる。
飽きを穴埋めしてくれるのが、刀ごとに存在する豊富な技だが、前述したとおり使えるものが限られてくる上、通常プレイでは乱発へとつながることに。
新たな刀に搭載された技をはじめて使うまでは新鮮味があって良いものの……。
つまり。
「ばしゅばしゅばしゅ! おおこの技カッケー! ツエー!」→「ばしゅばしゅ……ただ連打してるだけなんだよね……」
どちらにしても自分でプレイに制限を設けない限り、飽きてしまう。
ゲームの楽しさの寿命を延ばすなら、普段使わないような技を試すか、後述する「チートアイテム」を上手く使って、色んな刀の技を乱発するのが楽しいかなと。
あ、結局乱発になるのか……。
こりゃどうしようもねえな。
チートアイテム・鳴神の腕輪
伊豆の白封印の魔窟をクリアすると手に入る驚異の腕輪。
その効果は装備すると霊力がまったく減らなくなるという狂った性能を持つ。
技の無限使用はもちろん、刀も折れなくなるため攻撃し放題、各技が好きなだけぶっ放し放題となる。
これを入手した時点で文字通り無双となるが、伊豆の魔窟は本作でもっとも難度が高く(推奨レベルは92~)ラスボスが比ではないほど長期戦となるため、いわばゲーム最後の最後に手に入るようなオマケアイテムのようなもの。
使い道はその辺のザコや再ボス戦の時に、好みの技をぶっ放して、オレツエーをやる程度だろうか。
なおチートアイテムとまではいかないものの、駿河のボス・龍神との再戦(鬼助百姫双方クリア後)後に入手出来る仁王の腕輪も「すべての刀が攻撃力700に固定される」という一品。
つまり早々に用済みとなり、アイテム欄の肥やしになっている全ての刀の再利用へとつながるものとなる(手に入るのが後半すぎて出番はあまりなかったが)。
生気はすぐたまる
ちょっと大味なシステムといえば、これもそうだな。
適当に食事をしていれば、体力のほかに生気もすぐたまるというやつ。
ほとんどの食べ物に大なり小なり設定されてるからね。
むしろ魂が不足しがちだよね。
刀作る時は、ほとんどこっちの方が足りなくて作れないことが多いし。
まあそれも序盤~中盤のあいだのみだな。
後半からクリア後はむしろあまり気味になるし。
ひどすぎるというほどでもないが、こうした荒さも飲み込んでしまえば別に気にならなくはなるだろうが。
ほか細かい事柄(プレイメモ気味)
能力アップの装飾品はほとんど使わない→当方では刀作成時に足りない能力をブーストさせるくらいでしか装備させなかった。
後半はアイテムを持てあます→特に肉類はキジやイノシシとたびたびエンカすることから余りやすく、数いっぱいでもう持てないということも多々あった(結果、必要もないのに鍋を食べることが多かった)。
魂や文(金)にも困らなくなる→最初のクリアまで魂は不足気味になるが、クリア後は魔窟やボスと再戦するなどで各地をうろついている内に、それぞれが加速的に集まる。魂のカンストも容易い。文は両に位が上がっても、そこまで高価なアイテムは存在しないため使い道はほとんどない(高難度や魔窟制覇をするならその限りではない)。
レベルも→同上の理由でクリア後にもぐんぐん上がる。敵も相対的に強くなる。ただし99になろうが恩恵的なものはない(最後の朧村正の装備条件⦅必要能力値⦆も99にまでする必要なく達成可能)。
美麗グラフィックに水を差すようなこと→拡大MAPを見ながら移動することも多かったので、その時は景色をほとんど見ていない。
PSV版に追加された祠ワープ→一旦クリアするまで解禁されないが、使えるようになるとすこぶる便利。あくまで祠間同士での移動だが、各魔窟に向かう時や、ボス再戦のためのエリア移動に活躍した(なお海外版の逆輸入システムである)。
難易度変更はいつでも出来るが……→修羅だと特に親玉(ボス)戦は泣けるほど時間がかかるため、単純にやり込みや腕試しでもない限り、無双のままで良い気も……ただし死狂を解禁するためにラスボスはどうしても修羅でクリアする必要がある(時間はかかるものの鳴神の腕輪があれば問題なし)。
青銅の鏡はいくらか持っていた方が良い→ないとボスを倒した後、徒歩で戻る羽目になる。
満腹度→リアルっぽさを出すための仕様かもしれないが、けっこう忘れがちになる。よって食べ物を再使用する時に使えないと「ん?」となること請け合い。
鬼助百姫のシナリオを一度クリアすると、どちらか専用だった刀も共有できる→今後は強い主人公の方で刀を一気に収集した方が良い。そうすればもう片方のデータでもそれが使えるため。
売っているレシピ本や地図→金があればさっさと買ってしまった方が良い(後々回収がめんどくさくなる)。
グラフィック ☆☆☆☆+
とりわけ親玉(ボス)の色彩豊かな描かれ方、動きのなめらかさ、特に一部ボスは良い意味で気持ち悪いです(大百足、土蜘蛛など……虫苦手な方は存分にゾワゾワ出来るレベル)。
またラスボスの犬神・徳川綱吉と不動明王は双方ともに大迫力(不動明王は実体ではなく木像姿だが、お供の童子コンビや背景の炎も含めると見ごたえがある)。
さらに特筆すべきはステージの景色。
たとえば山城・武蔵、祇園・吉原の歓楽街。
シルエットと化した無数の人々が画面奥を行き交う様子がにぎにぎしく、色彩豊かで煌々と照らされた町の様相に目が引き込まれる。
一転、幽玄な雰囲気に包まれた郊外。
暗がりを妖美に彩る桜吹雪、歓楽街との明暗差には思わず息をのむほど。
ほかお気に入り背景は、室町後期の絵師・狩野永徳の描いた洛中洛外図屏風さながらの、伊勢のボスステージ。
ステージへの突入後、無造作に建てられた無数の鳥居をくぐるにつれ、何やら神々しいモヤに包まれる演出付き。
神々の領域に入っていくことを思わせる、何ともありがたいような罰当たりなような、摩訶不思議な気持ちにさせられました。
そんな演出も含めて最高のグラです。
白飯3杯はいけます。
なお比喩ではなく、グラだけで本当に白飯3杯イケそうな描写については、次にて語ります。
最強レベルの飯テロ絵
茶店や食い処では、入手した文銭をはらって体力回復や生気獲得のための食事が可能。
その地にちなんだ名物が品書きに並び、回復・生気の値もものによってもちろん異なる。
いやそんなことよりも。
これらを食べる時のグラフィックがやたら美味そうに描かれている。
こちらが実食しているがごとく凝った演出が入り、画面を見ていると思わず、それが今すぐに食べたくなるほど。
たとえば天ぷらそば。
ボタンを押すたび、カラッと揚がった(であろう)海老天がこちらがかじったように減っていき、鰹節と昆布の香りがプンプン立っていそうな赤褐色の出汁も、打ちたて(であろう)そばとともにみるみる減っていく。
そして名古屋名物・ひつまぶし。
いい感じでふっくらてらてらな様子の鰻、甘辛で香ばしいタレがしみていそうな白飯。
こちらも主人公とともにかっ込んで食べている感がハンパではない。
さらには和菓子、とりわけ饅頭は餡子がぎっしりとつまった断面がこちらにも見える始末。
ゲームグラフィックにすぎないのに、色合いや演出だけで唾液が出そうなレベルになっているエグさ。
空腹時にはとことんツラい(ほかにも寿司とか焼き鯛とか……)。
道中や店で手に入る白菜や肉類を使って料理も出来るが、鍋も相当美味そうに見えるな。
同感。
回復や魂入手出来る以外にも、無敵とか自動復活とかすごく役立つ効果が付くけど、そんなことより見た目のシズル感だよね。
水炊きに鴨鍋、牡丹鍋……お腹空いてきちゃった!
私たちも今日は鍋にするか?
異議なーし!
複数敵居ると……
グラフィックに関しての唯一感じたマイナスポイント、それはダメージ表記が見づらいことこの上なし。
戦闘時はたいがい混戦になることが多く、敵も複数で出現することが多い(忍者など7・8体は当たり前)。
背景や敵、全てにおいて色彩豊かなことが災いしてか、ダメージ表示が美麗グラフィックに悪い意味で馴染み、かつ一瞬で消えてしまうため、たいへん視認しづらい。
またプレイヤー側の行動も忙しく、技によってはさらにゴチャゴチャする攻撃演出も手伝ってか、そちらに視線が混同して、余計に「んと125与えた? いや今のは126だったかも」となりやすい(しかも一気に複数表示される)。
表示のカラーがオレンジ枠で中身灰色というのが、見づらい原因の一つだろうか。
もっとも表示が黄色や赤だと、目にあまり良さそうなカラーでもないので、ほんの些細なこととして受け入れてしまえるが……。
そういう表示をちくいち見るより、バタバタなぎ倒すのを感覚で楽しむようなもんだよね、コレ。
難易度・無双だと適当に攻撃しててもどうにかなるくらいだし。
幸いにして、ボスの体力は画面下にゲージ表示されるしな。
ゲージとはいえ、だいたいどのくらい削り取ったか分かるだけでも、充分だと思うが。
どう考えても狙っている
メインキャラが部分的に肢体をさらす温泉イベントのほかにも、サービスショット的な挙動を行うキャラが本作には存在する。
鬼助シナリオで戦うことになるボス・小夜はその一例。
ミニスカ修験者という風な衣装で、見た目も幼女なわりに、エラそうなタメ口調。
と、複数の属性が詰め込まれたキャラだが、彼女をバトル中にダウンさせると尻もちをつき、下に履いている純白のアレが瞬間的にチラリする。
短い丈の衣装で戦っているのだからそうなって当然だが、見せることを前提でああいうアニメーションを設定したのだろう(カラスを呼び出して空中椅子でプカプカしている時も、ちょいちょいチラリする)。
さらに百姫編のボス・雷神も相当なもの。
彼女(朧村正の雷神はなぜか女性)もダウンさせることで、神様らしからぬペタン座りとなり、その豊満なヒップをこちらにさらけてくる(小夜の時もそうだが、ボスがダウン状態の時は絶好の攻撃機会)。
どうとらえてもスタッフさんの遊び心からきている。
ほかにも紺菊の牛顔負けなデザイン(ドラゴンズクラウンの魔女など、ヴァニラウェア作品には異常な爆乳キャラが1人はいるもよう)。
弓弦葉は胸こそ控えめだが、豊満なヒップ、うなじと背中にかけてのラインは紺菊より強調されているあたり、同じおキツネ様でも肢体がちゃんと差別化されている。
ちなみに男性キャラでのサービスショット的なものは、女性キャラに比べ極めて少ない。
せいぜいふんどし姿の鬼助による入浴シーンくらいだろうか(これも微妙だが)。
美形男子といえるのも雪之丞くらいだが、残念ながら彼にそういう絵は用意されていない。
陣九朗も同様だが、彼は美形というよりいかつい様相(良く言えば漢らしい)なので、あったとしても少し意味が変わってくる。
やはり朧村正は女性キャラの魅せ方にウェイトが置かれている風に思われる。
だが男性キャラでも駕籠屋の2人は、めっちゃ良い身体つきをしているので、ほかのキャラの見た目を押しのけるほどのインパクトはあった。
何気に恥ずかしいことをつらつら書いていないか?
そう?
絵的にも良い意味でふざけた感じがあると、ちょっと笑えるじゃない(たずさわった人は大真面目なんだろうけど)。
(私の衣装も丈が短いから、もしアクションゲームのキャラになったとしたら、動くたびに見えるのかもしれないな)
サウンド ☆☆☆☆☆
特に好きな曲は2つ。
伊勢・遠江ボスステージ。
相模・大和ステージ(それぞれ道中でかかるやつ)。
双方とも、ふとした時に脳内で流れるほど、印象深い曲となりました(なんなら口笛や鼻歌でもついつい)。
しかし……。
作曲の人の感性って一体どうなってんでしょうね。
よくもあんなキレイでカッコ良い和BGMが思い浮かぶものだと思っています、ホント。
アレもカッコ良くない?
エンカ後に普段と曲調が変わるの。
どのステージのものも、緊迫感や迫力が増し、殺陣(たて)を想像させるものになっているな。
そういう演出もニクイところというべきか。
総評 ☆☆☆☆+
和風2Dアクションゲームというジャンルに抵抗が無ければ、心から遊んで欲しいと思えるタイトルです。
和の雰囲気を、2Dアクション世界に深く深かーく落とし込んだ傑作。
ゲームをはじめてすぐにチュートリアルが入り、メイン操作もそこまで種類が多くないので、アクションゲー初心者でも遊びやすい部類に入ると思います(ただし難易度は無双⦅簡単モード⦆での話)。
せっせと魂と生気集めをして、刀を産み出していくあたりは、ちょっとしたコレクション性も満たしています。
書き忘れたのですが、ほか2点ばかり惜しいと思ったところは、色ちがいが多いだけで形状はほぼ一緒という各刀の水増し感、それと敵の種類の少なさやバリエーション、同じような場所を何度も通ることによる「作業感や飽き」そのくらいでしょうか。
ただしこれはほかのゲームでも往々にしてあることなので、妥協の範囲かと思っています。
これで各太刀ごとに飾りなどディテールをさらにこだわり、刀図鑑でもあれば脱帽だったのですが、さすがにそこまで求めるワケにはいきません(篭鶴瓶や大典太など村正以外の名刀もあったので、見た目がほとんど同じだったのは惜しまれるところ)。
通常ルートでも劇的なシナリオとオチが待ち受けていますが、境遇がまったくちがう2人の主人公の道が交差し、最後にぶつかり合うというアフタールートが用意されていたのも良点でした。
そして本作トゥルーエンドというべき朧村正エンドは、時空をも越える力で、それまでの経緯をふき飛ばしてしまうド展開。
鬼助、桃姫共にこれら3つの結末が用意されていますが、キーアイテムとなる刀の解禁など、多少の手間がかかるため、トータルでのボリュームはなかなかだと思います。
とはいえ、よほど稼ぎ&寄り道プレイをしなければ、少なくとも初回のクリアタイムは10時間をゆうに切れるかと思うので、片手間で遊ぶのにも手頃でしょう。
特に筆者にとってはグラフィック・BGMが好みど真ん中でした。
いくつかの不満点を払拭するほどに。
結びとして、このゲームに出会えたことを今さらながら幸福に思っています。
まあ飯テロゲーでもあるよね。
夢に出てくるレベルで。
大きく否定は出来ないが、そこを強調すると別な種類のゲームだと思われるぞ。
了。
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