DIYの経験がある人はイメージしやすいと思うが、工具でネジ・ビスを締めるときは無意識に時計回りで締めているはず。
なんならペットボトルのキャップを締めるときも、ついでに水道の蛇口もだ。
筆者も当然のごとくその習慣に沿って生活しているが、これらの物品の締める方向はなぜ右回しでないといけないのか。別に左回しでも良いんじゃないだろうかとも考えている。
しかし右回しという理由については、利き腕が実は関係していたのだ。
多数派のため
ネジが時計回り(右回り)で締まるように設計されているのは、右利きの人が力を入れやすいからという説がある。
ちなみに右利き人間の数は世界に7~9割くらい居るといわれている。
多く見積もっても世界人口の9割は右利きだということだ、しかし左利きの人間のことは当時の考案者からして度外視の存在だったのだろうか。
だが見方を変えて考えると、大多数の人間のために設計されたことが真実であるなら民主的な規格なのはまちがいもなく、実に納得の理由ではある。
そういう風に考えるのも筆者が右利きだからだよね!
結局自分も多数派の方に属しているから納得してるんだな。
まあそういうものだろう。
これが左利きであれば「ペットボトル回しずれー!」とか日々文句をたれていたかもしれないな。
なんにせよ普段からそう思って生活しているのか、それとも生まれつきそうだから慣れてしまったか、左利きの人間に考えをぜひ聞いてみたいものだ(筆者どのの身近にもほぼ右利きしかいないしな)。
最初はまだ規格が定まっていなかった
ネジの規格が近代で右回しに統一されるまでは、回す方向がどちらか明確に決められていなかったという。
後に回す方向が一般化されたのはイギリスの技術者「ジョセフ・ホイットワース」という人が、1841年にねじの規格を統一した論文を出した辺りらしい。
この頃からネジは右回しで締まるものという考え方も一般的になったとされる。
なおホイットワースが規格統一を提唱したそのネジはウィットねじの名で知られ、世界初のネジ規格として国全体へと広まっていった。
またピッチ(ネジ溝同士の幅)や角度なども統一化され、イギリス鉄道が整備される際にはこの規格のネジが採用されたという。
インフラ整備に関しても大きく貢献したようだ。
規格が定まるまでは技術者が各々に、締める方向の異なるネジを製造していたのだろうか?
そうみたい。
でもこの頃も絶対にネジは右回しって正式に規格されていたワケじゃなく、おおむね右回しのネジが造られるようになったってだけみたい。
時代が進むうちに右回しのネジとして固定化されていったのかもね。
ネジを発明した人
広い意味でのネジの考案者というのは複数説存在しているようだ。
比較的有名なものでは紀元前400年頃、古代ギリシャの学者・アルキタスが発明した説と、同じくペルガのアポロニウスの発明説が存在しているほか。
さらにエウスタシウスという学者が語るには、こちらも古代ギリシャの発明家として知られるアルキメデスが物と物を接合したり、水をくみ上げる装置の部品に使ったりするネジを考えたという説まである。
こうなると結局、誰がネジというものを発案したか確定が出来ない。
しかしいずれも古代においての高名な学者さんたちなので、この中の誰でも可能性があるだろうか。
それはちょっと置いといて、手作りのネジを最初に製造したのは古代のローマ人だとか。
銀や銅を材料にして手作業でカットされ造られたとされている。これを部品に水をくみ上げる装置などを使っていたらしい(この話からは先のアルキメデスが最初にネジを考案したとも受け取れる)。
なおこうした用途のネジは水ネジと呼ばれていた。
ついでだがこの頃のネジも右回し左回しがまだ定められていなかったもよう、つまり用途やひょっとすると製造者のノリで回す方向を決めていた頃だと考えている。
筆者殿が置いておくと言ったせいで、誰がネジを考えたのか分からずじまいじゃないか。
確かに。
でも結局確実なことが分からなかったんだ。
推察だけどさっきの考案者候補はどの人も、数学や天文学などに秀でている凄い学者さんみたいだし、ネジの原型になるものをそれぞれが思い付いたんじゃないかなと。
そしてたまたまどれも現代のネジの形に近かったとか(鉄に一定幅のみぞを掘って、物同士をくっつけるような構造を思い付いたのがそもそもスゴイことだけどね)。
さらにそれらのネジ案を元に実用可能なところまでもっていったのが、古代ローマの職人さんたちじゃないのかな。
それとあまりたいした情報じゃないかもだけど、さっきのアルキタスの友達には哲学者のプラトンがいるよ。
まとめ
ネジが時計回りへと一般化されたのは、意外にも歴史が進んで近代よりになってからのようだ。
やはり当初は右利きの人への配慮がされたゆえの規格だったのかもしれない(左利きはガマンしろという製造者の声が聞こえてきそうである)。
ただ「ネジ」そのものを考えた人はアルキタスであったり、アルキメデスであったり、今ひとつ確定付ける説が見当たらなかった(他力本願だが、発案者を確定づけることが書かれた公式の書籍などの情報を読者さんから寄せて頂ければたいへんありがたい)。
ともあれ先にコチョンが言っていたように、実用可能なネジを最初に造ったのは「名もない古代ローマの職人たち」ということがうかがえただけでも今は良しとするべきだろうか。
ところで以前はネジ・ナット・蛇口などを締めるときに、どちらへ回せば良いか迷う時があった。
そんな頃、筆者と関わりのあった鉄鋼業の職人さんから「ネジ類はひらがなの「の」の書き順で締まると覚えておけばよい」というお言葉を頂いた。
色々調べていたら結構ポピュラーな覚え方のひとつだったようだが、このおかげでどちら回しか迷うことは生活上無くなった。
「の」の字か。
なるほど、これだと簡素でいざという時に締めまちがえないな。
とか言いつつ筆者は、締めるものが反対側の位置になると未だに一瞬迷うみたい。
この場合は正面から見て、逆「の」の字ってイメージしてるらしいよ。
それはそれでややこしくないのだろうか…。
あれ…左右どっちだっけ?って時間が掛かる事はもうないみたいだから、別に困ってないみたい。
そうだ、ネジが全て右向きのものだけじゃないことを付け加えるね。
たとえば昔ながらの扇風機のハネを固定している箇所には、左回りのネジ部品が使われているよ。
これは扇風機の回転する向きと逆向きのネジにすることで、固定している部分が緩んでしまうのを防ぐためらしいんだ。
了。
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