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何やってるのカエデ?
良い匂いがするね!
きつねそばを作るんだが、食べるか?
今はそれ用の、揚げを仕込んでいるところだがな。
食べる食べる! きつねそばは、やっぱり油揚げ命だよね。
ボクはどん兵衛のお揚げが甘くて大好き!
どん兵衛じゃなく、自家製で申し訳ないがな。
それなりのものは作れるつもりだぞ。あまったら、稲荷ずしにも使えるしな。
良いね!
……。
そういやなんで「稲荷」ずしなんだろうね。稲荷って、神社とかにまつられているおキツネ様のことなのはわかるけどさ。
昔話でも、キツネってなんでか油揚げが大好物みたいな書かれ方をされてるじゃん。
それには、ある由来が関係しているぞ。
私の知っていることで良かったら話そうか?
んじゃ、今回はカエデがメインパーソナリティーだね。
教えて教えて!
稲荷神(お狐様)の好物・油揚げが使われているから
稲荷神のご利益をさずかるため、人々は好物の油揚げを備えていた。その油揚げを使用しているから「稲荷ずし」の名が付いた。
稲荷ずしの発祥元は諸説あるが、江戸や名古屋のほか、豊川稲荷の門前町も発祥地のひとつだという説もあり。ちなみに、なぜ油揚げがキツネの好物とされているのかは次で。
かつてはネズミの油揚げだった(オエッ)
かつて、稲荷神には大豆で作った油揚げではなく、ネズミの油揚げをそなえていたのは意外に知られていないだろうな。
一説では、昔から害獣のネズミを食べるキツネを人々が有難がって、キツネの巣穴にネズミの揚げ物を置いておくのが元だという話もあるが。
まあ、もともとキツネは肉が好きな雑食動物だ。本当にネズミが好物だったかはわからないが、野生の環境だと獲物としての数は少なくないはずだ。その分、キツネがネズミを狩ることも多かっただろう。
私なりの考えだが、人々がネズミをとらえたキツネを見て、それが好物だと思い、そなえだしたのではないかと。その頃すでにキツネを神仏の使いに見立てていたならな。
うわっ! ボクは「一応」ネコだけど、ネズミは食べたくないなあ。人間と一緒の食べ物が良いや。
ネコとしては失格かもしれないけどね。
それで、ネズミのが大豆の油揚げになったのってなんでなの?
後々、仏教の教えで殺生が禁じられてからは、動物を使うことはせずに大豆で作られた油揚げをそなえるようになったんだ。
まず、大豆は穀物だ。五穀豊穣をつかさどる豊穣神の使いと見られていた稲荷神のご利益と、ちょうど結びついたんだろう。ちなみに、同じ穀物の稲がよく実るようあやかって「稲荷」の名がついたともされているな。
それから、キツネの好物は油揚げだと解釈されるようになった。昔話などで、キツネに油揚げをあたえる話もあるようにな。
実際、キツネは大豆の油揚げなど好物ではないのだ。まあ雑食性だから、食べることは食べるかも知れないが。
キツネの好物=油揚げとして、油揚げでお米をくるんだものを稲荷ずしって呼ぶようになったんだね。
結構シンプルな話だなあ。
さきの豊穣神や、稲荷神についてはまだまだ深い話や歴史があるが、簡単に言うとそういうことだな。
ちなみに油揚げは「豆腐」を揚げて出来ているのは知っているな? 筆者殿は子供のころどころか大人になってからも、そのことをしばし知らなかったらしい。
なんなら油揚げは、煮た大豆をすりつぶして、形をととのえたのを揚げたものだと思っていたようだ。
それにしては食感がおかしいと思い、ある日ふと身内に聞いて答えがわかったらしいがな。
ちょっと、おしいけどね!
原料はあっているのに!
まとめ
- 稲荷ずしは、稲荷神(おキツネ様)の好物とされた油揚げを使うことから名付けられた
- 実際のキツネは肉よりの雑食であり、好物は油揚げではない
- 稲荷神にはもともとネズミの油揚げをおそなえしていた。仏教による殺生禁止の考えが伝わると、かわりに大豆の油揚げをそなえるようになった(好物が油揚げにすりかわった)
ちなみに私が作っているのは、もう油揚げに加工されたものに甘辛く味付けしているものだ。
出汁を使うことで一応、自分流の味付けにしているがな。
いい匂い! 美味しそうだよ!
きつねそばとは言わず、もうお揚げだけでも良いんじゃないかなって気もするよ。
ついでだから、記事にあやかって稲荷ずしも作ろうか?
ネズミ揚げをのせて……。
え……。本気? やめてよ!
フフッ! じょうだんだ!
ちゃんと大豆の油揚げで作るぞ。
まあ、ネズミの揚げも悪くない味なんだがな。
……えっ?(まさかコイツ、食った?)
了。
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