抜刀前の構図か。顔が思い付かなかったから、影っぽくして凄みを持たそうとしたみたいだな!
まがりなりにも墨絵っぽさはあるのではないか?
下手の横好きってやつだね。
雰囲気だけは、お侍感を出そうとしたらしいよ。
侍という言葉は、高貴な人に付き従う意味のさぶらうが由来。もともとは名詞の「さぶらい」がさぶらうに変化したものです。またさぶらいという言葉は平安時代からすでに存在していたようです。
誰かに仕えている意味になるため、侍とはすなわち身分の高い人、たとえば大名などに仕えている武士・武家を指しています。
ちなみに似たような身なりをしている「浪人」は、浪人という別の存在であって、侍ではありません。
浪の漢字を使った「浪々の身の上」という言葉にもあるように、浪人とは、誰にも仕えていない無役の武士を指します(求職中だったり、諸国を放浪していたりという感じです)。
見た目でいえば、浪人も刀を差しているものの、時代劇では髪型がざんばらだったり、ポニーテールのように結わえていたりすることが多い印象です。
身だしなみに気を配る余裕(金銭的にも苦しいので髪結いにも行けない)もない日々だとして、※月代(さかやき)姿の浪人が少ないのも特徴でしょうか。
※前頭部から頭頂部に向かって髪を剃り上げていること、時代劇でよく見る江戸の町民や侍の髪型。
したがって浪人=侍では無く、刀を差す人物がみんな侍というワケでもないので、少し混乱するかもしれません。
なお「さぶらう」は文法上では動詞です。
突然ですが「あり・おり・はべり・いまそかり」という言葉を聞いたことがないでしょうか?
これは別におかしな呪文でもなければ、かつてのファミコンソフトで使うようなパスワードでもありません。
これは文法の授業で習った「活用」の一種で、語尾にラ行が付く動詞の活用方法が「あり・おり・はべり・いまそかり」の4つしか存在しないため「ラ行変格活用」略して「ラ変」と呼ばれることもあります。
勉強的な堅苦しい話になってきましたが、筆者はこうして文を書いているわりに国語文法はたいへん苦手です(感覚一つで書いていることがほとんどです)。
そのため自分自身への復習もかねてこのようなことを書いています。
もし興味のある方がいれば、このままお付き合いください。ちょっとした頭の肥やしになるかも知れません。
ここでそのラ変と侍との関わりを発見したのですが「はべり」を漢字変換すると「侍り」となり、侍の字が使われていることが分かりました。ちなみに筆者のWindowsパソコン上でこの文字は一発で変換できました。
「はべり」とはかしこまってそばに控えるという意味です。侍という言葉の成り立ちを考えると、かしこまってそばに控えるという点にどこか共通性が感じられます。
なお「あり・おり・はべり・いまそかり」に共通しているのは、どれも「居る」の敬語表現です(謙譲語も丁寧語も敬語の一種)。
ただしこれらは文法の話で、源氏物語などの日本の古典で見られる表現です。日常会話でこんな古い言葉が使われることはまずないでしょう(使っている人が居るなら、どういうシチュで使うのか聞いてみたいですね)。
侍の文字が意外なところ使われているのを発見したので、書き加えておきたくなった次第です。「はべる」のかしこまってそばに控えるという意味も、主君のそばで控えている侍を連想させます。
一方はべるを使った別の言葉に「はべらす・はべらせる」というものもあります。これは誰かを仕えさせて身の回りの世話をさせるという意味の言葉です。
美男・美女をはべらせる(はべらかす)という表現も、どこかで見聞きした記憶がありますが、簡単に言えばハーレム状態のことです。
ほかに侍の字が入ったもので「侍従」という言葉もあります。君主などの高貴な人に仕え、身の回りを世話する存在、または職業を指しています。
このように侍の字を使った言葉の例は結構色々とあるようで。もちろんそのすべてを確認したワケではありませんが、いずれの言葉も「誰かに仕えている」という意味合いを持っているようです。
少なくともここで書いた言葉だけでも覚えておくのも良いかなと思っています(自己満)。
ここで出てきた謙譲語っていうのは、目上の人に対してこっちがわが「へりくだって」使う敬語の一種だよ。
ありふれた敬語をいくらか謙譲語になおすと、言いますは、申し上げます。行きますは、うかがいます、参りますになるよ。
ビジネスシーンで使う機会がめちゃ多い言葉だから、良く使う言葉のパターンは頭の片隅にでも入れておいた方が良いね。
最初は慣れなくても使っている内に、自分のものになるからね。
了。
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