「腹ペコにはキツい?和風で美麗な剣劇アクション」朧村正・PSV版レビュー(ネタバレ注意)

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ネタバレはイヤだけど……

ネタバレはイヤだけどゲームには興味ありって人は、ここからこの先ネタバレ注意!までを読んで参考にしてね!

初プレイの楽しみを大事にしたい人は、そこまでなら安心して読める内容にしてあるよ!

それ以降の内容は、ネタバレが問題ない人向けだぞ!

ゲームをすでにプレイ済みの人は思い出を楽しみ、未プレイの人には雰囲気だけでもつかんで、実際にやってみたいと思ってもらえたなら嬉しいな!

情報もろもろ

発売日2013年3月28日
発売元マーベラス
開発元ヴァニラウェア
ジャンル絢爛絵巻和風アクションRPG
プレイ環境PSVita(パッケージ・DL版あり)
価格パッケージ版3,400円+税・DL版727+税

おススメする人

以下のような要素が好きな方におススメ

  • 和風(時代設定は江戸中期頃)
  • 主人公が2人、シナリオも二本立て
  • 数多の刀で戦う2Dアクション
  • マルチエンド搭載(計6つあり)
  • やや短編(トゥルーエンド達成までは中編程度のボリューム)
  • 動く絵本のような美麗グラフィック

プレイ時間の目安・特徴など

クリアまでのプレイ時間は9~10時間くらいだよっ。

これは片方のシナリオの1つ目のエンド達成まで、ゆっくり目にプレイした目安だから、あまり寄り道しない人は6~7時間くらいで終わるんじゃないかな。

あと全部で6つのEDがあって、全部見る場合はトータルで20時間くらいかな。

ちなみに筆者の最初のクリアタイムは、片方のシナリオで11時間3分、もう片方が5時間50分。全エンドクリアまでは24時間と34分!

完クリまではちょっぴり遅めな感じだね。

ストーリー自体はそんなに長くないし、ちゃっちゃとクリアしたい人はもっと速いと思うよ。

このゲームでは色彩豊かな和の舞台で爽快感あるアクションを楽しめるんだぞ。

なんかしっくりこないなぁ、ソレ。

ジャンル名の絢爛絵巻〜ってのが、的を得た表現だと思うけど。

う、上手いたとえが思い付かなかったんだ!

……コホン、とりあえず気を取り直して……。

抜け忍の少年・鬼助どの、ある小藩の息女・百姫君が、かの妖刀村正をたずさえ、各々の目的のため各地を旅する、いわば二本立ての物語になっているぞ。

シナリオが途中でも、タイトルからもう片方のシナリオに切り替えて遊ぶことも出来るんだよね!

セーブデータも共有で1つだけしか使わないんだ。

村正と題名にあるように、肝となるのはやはり刀を作り出せるシステムだな。

道中に浮いているほか、敵からも入手できる「魂」と、物を食べることで増加する「生気」の二つを使い、多様な刀を産み出せるのが特有要素といったところか。

無論武器としても重要だが、これらを収集することも大きな目的の一つになるだろう(むしろ最後の結末を見るために必須だが)。

素早い連続攻撃が得意な「太刀」と、大振りだけど相手のガードごとゴリゴリ削れる「大太刀」。この2種類をうまく使い分けるのも攻略のカギってとこだね。

しかも刀ごとに特殊技が備わっていて、火の玉や竜巻を繰り出せたり、確率で一撃必殺が出たりなど、さまざまな効果がついてるのも面白いところだ。

たださ、攻撃とかガードとかするとゲージ(霊力)が減っていって、最後には刀が折れちゃうあたりはちょっとリアルだよね……。

でも安心なのは、ポキンってなっちゃっても納刀してしばらく待ったり、砥石を使ったりすればゲージ回復して、またシャキンと復活してくれるとこ。

こういうあたりはまさに「妖刀」って感じがするよ。

さらにゲージが満タンになってピカピカ光ってるときに抜刀すると、「ズバッ!」と居合い抜きの全体攻撃が発動して……演出がめちゃくちゃカッコいいよね!

攻略的な意味でも居合いは重要だな。

あと一部の刀は親玉を倒した時や特殊な場所で入手できるものがあるな。

童子切安綱(どうじぎりやすつな)や長曽祢虎徹(ながそねこてつ)など、現実で名高い名刀も何振りか手に入るし。

そうそう!そういう意味じゃ日本刀ファンにもウケそうだよね。

楽曲も和風でカッコ良いものが多い(と、いうよりむしろ全部といって良いな)。

本編中に好きな曲が聴ける場所に行き、操作をほったらかして風景と音楽を楽しむというのもオツなものだぞ。

サウンドトラックも出ているようだから、楽曲が気に入ったらそちらを購入するのもありだな。

店で買い物出来たり、食事が出来たりするロープレ的な要素もあるのも楽しいね。

あ、食事についてだけど……やたらリアルな演出が入って、すっげー飯テロなシーンになってるから、お腹減ってる時は気を付けてね!

同意だな。

それについては実際に確認してほしいところだ。

この先ネタバレ注意!














序文

当レビューは2009年4月9日にニンテンドーWiiで発売された朧村正、そのPSV移植版のものとなっています。

Wii版ですでに完成された内容となっていますが、そちらにはなかった快適要素(祠ワープなど)があるため、これからプレイする方にはPSV版がおススメなのを先にふれておきます。

さて本作は、徳川家に災いをもたらしたという伝説を持つ刀、妖刀村正をテーマとした和風2DアクションRPG。

正確には絢爛絵巻和風アクションRPGという独特ジャンルが冠されていますが、絢爛絵巻という表現がまさしくで、ほかに類を見ない美麗グラフィックが最大の特徴でもあります。

開発元がドラゴンズクラウン・オーディンスフィアを作ったヴァニラウェアで、2Dキャラのなめらかな動きや背景の美しさが共通しています。

世界観を彩る各キャラのセリフも、良い意味で古めかしく時代劇さながら(特に鬼助のセリフはべらんめえでありつつ、どこか漫談調でウィットに富んでいます)。

筆者は幽玄で日本昔話のような温かみもある、この絵巻物の世界にいざなわれてしまった1人。

元々、和風なゲームが好きなのもあり、まさしく筆者のツボにハマったタイトルでした。

無数の刀を振るい、殺陣のような立ち回われるアクション性の高さもさることながら。

舞台こそ江戸・京都・奈良、その周辺地域に限定されるものの、各地の名所を駆け巡り、旅をしている感もしっかり押さえられています(各所に茶店が配置されているのも良いエッセンスとなっています)。

ところで、Wii版(テレビ画面)プレイ済みの方にとっては、画面の小さい携帯機でのプレイがちょっとしたマイナス点になるかもしれません。

しかしPSVita版は、Wiiの時よりも画素が調整されているとのことで、こと画質においては断然上なようです(当方では見比べていませんが、キャラの表情変化など細かいところまで、くっきり見えるようです)。

※PSVitaTVなら、HDMIケーブルさえあれば通常のTVモニターでもプレイ出来ます(便利な昨今、費用さえ惜しまなければモニターで遊ぶ方法はほかにもあるようですが、ここでは割愛します)。

なお攻略上でも有益な「食事」の際に流れるシーンは相当な飯テロ演出になっています。

むしろ「朧村正ってどんなゲーム?」と聞かれたら「飯テロ」と答えても良いくらいで、他のレビューを見る限りでも、大半がこの食事シーンについてふれています。

空腹時にはつらーい演出に思わせるあたりも、グラフィック職人の妙技というべきかもしれません。

ここでいうべきことではないかもしれないが……。

筆者どのの場合、下書きに加筆しながら現在のレビューに書き上げるまで、3ヶ月ほどかかったのだな。

もっともそんなのはこちら側の都合で、読者どのには何も関係のないことだが……。

基本グータラなのが原因じゃない?

サイトのほかの文とか絵描いたりってのを合わせても、ちょっとかかり過ぎ感はあるとして……。

執筆に間が空いて記憶が薄れてたのも、自分で要点書いたプレイメモとかでカバーして、なんとか仕上げたまでは良しとしたげようか。

相変わらず、くどめ長めのレビューだけど。

ま、どうせリライトするし、これが完成系ってわけじゃないでしょ。

それもそうなのだろうが……。

ところで筆者どのはこのゲーム、どこまでやり込んだんだ?

難易度・無双で一通りエンドを見て、各魔窟も制覇済みなようだよ。

んで、今一撃死モードの死狂の最初でストップ。

そこからまたしばらくやってないみたいだね……。

まあ一通りやったというなら良いのだろうが。

コチョンどのは?

ボクは死狂いも達成して、トロコンもしたよ!

流石、ゲーマー。

(この際、コチョンどのがレビュー書くようにする方が良いと思ったが、本人はめんどうがるだろうし、何より筆者どのの立つ瀬がないか……)

評価スタイル

ここからはストーリーや総評まで各要素を分けて☆☆☆☆☆って感じの、お星さま評価をさせてもらってるよ!

☆5つならめっちゃ満足、☆1つなら不満って感じでね。

ちょっぴりありきたりな評価の仕方だけどね。

☆☆☆+や☆☆☆☆-のように評価させてもらうこともあるぞ。

これは次の☆数まであと少しで達する、達したが少々物足りないといった微妙さ加減を表していると思って欲しいな。

ストーリー ☆☆☆☆

時代設定は江戸中期の元禄、六代将軍・徳川綱吉の治世。

二つのシナリオが共に章仕立て(全8幕)となっており、人間模様が絡み合った幕劇感の強いストーリーとなっています。

また雰囲気のみならず、各キャラのセリフやナレーションにいたるまで、江戸(和)テイストがこれでもかというほど落とし込まれています。

「袖なかろうぜ」など、時代劇で聴くような言い回しを好む人は、さらに受け入れやすいかもしれません(全編フルボイスなので臨場感もバツグン)。

一方でボリュームは少な目、かつ一本道な展開のため、シナリオ双方とも10時間で終える程度。

したがって単体シナリオのみで見た場合、やや不足感は否めません。

しかし後述する別エンド回収まで含めると、中編以上のボリュームとなるため、全然物足りないというワケでもなく。

むしろエンドを一通り見終えることで、シナリオの奥深さを真から味える作りになっています。

※それぞれの初クリア時に入手する2本の刀(鬼助百姫双方で一本づつ入手)を装備し、再びそれぞれのシナリオをクリアすると2つ目のエンド。さらに最後の妖刀・朧村正を入手後に装備してクリアすることで、3つ目のエンドとなります。

それぞれのシナリオ概要

舞台や世界観はシナリオ共通ですが、旅の動機や目的は当然異なります。

鬼助編は恋する女性・虎姫のため各地を転戦し、最後は巨悪へと立ち向かう、王道かつヒロイックなシナリオ展開になっています。

また抜け忍となった立場から、とっぱじめから追手の忍びを差し向けられるなど、殺伐展開が多いのも鬼助編の特徴といったところ。

さらに序盤で記憶も飛ばしていますが、後々自身が妖刀の使い手となった経緯も進行とともに明らかになっていきます(百姫編もそうですが、朧村正のシナリオは初めに状況不明な展開を設け、徐々になぜそうなったかが明らかになっていく形になっています)。

一方の百姫編は、小藩の息女・百姫が殺人剣の達人・飯綱陣九朗にある出来事から身体をのっとられ、彼の目的に否応なしに従う形で日本各地、さらに地獄や天界に至るまで旅をします。

非現実の舞台まで旅路を伸ばすあたり、スケールは鬼助よりも大きく、奇譚的な雰囲気が強めに出ています。

なお陣九朗の「のっとり」は不完全な状態かつ、百姫自身の魂も健在なため、ある意味で主役2人な奇抜な内容にも感じられます(イベントシーンでは片方の魂が身体に入っている時、もう片方の魂はフワフワと鬼火のような状態で近くをただよっている絵面もどこかシュール)。

それぞれのシナリオ展開は破綻もなく、一本道で終結へと向かうため「アレってどういうことだったのか」というような消化不良感もありません。

各地を行ったり来たりの「お使い感」が少々ありつつですが、1つ1つの幕が、まるで続き物のドラマのようで、最後にはすべてをひっくるめた1つの事件が落着する感じとなっています。

ノーマルエンドのざっくり内容&所感

ここからそれぞれの結末の話(今更ながら相当なネタバレとなっています)に踏み込んでいきますが、鬼助編の通常エンドは悲恋物語が好きな方であれば、その展開は涙なしでは見られないでしょう。

旅路の末、鬼助は愛する虎姫の仇であり、災いの妖刀・狗頭龍村正の力で獣(巨大ワンコ)と化した綱吉を討ち果たしますが、姫が居ない世に未練はないと言い残し、天上の阿弥陀如来の眼前で自害するというとんでもない悲劇を迎えてしまいます。

純情すぎる鬼助と、死してなお健気な虎姫を哀れと思った如来は……。

なお筆者は大団円(ハッピーエンド)主義なので、悲恋展開もあまり好きではありませんが、大詰めでの声優さんの好演とクライマックス(ラスボス前)の切ない別れのシーンが相まって、ここまでの流れには思わずホロっとさせられました。

時は過ぎ、鬼助は村の少年・勘兵衛。虎姫は町娘・お花として生まれ変わり、再会を果たします。

互いにかつての記憶は失ったものの、不思議な夢見の話もあってか、フラグがほわほわと立ち始めます。

生まれ変わっても饒舌なところは変わらずな勘兵衛は、さっそく茶屋へとお花をナンパ誘い出します。

なお、かつて鬼助の旅に最後まで連れ添った稲荷神の使い・弓弦葉が、当人たちのフラグメーカーを担っており、最後のシーンは彼女の粋なセリフで締めくくられます。

輪廻転生オチというやつですが、互いに普通の少年少女となれたことで、今度こそ幸せがおとずれる予感がする、ある意味一安心な結末といったところ。

一方、百姫編では最後の戦いの後、周りの人々や婚約者である雪之丞の静止もふりきり、陣九朗の弔いを兼ねて彼女が尼になるという、何とも因果な終わりを迎えます。

しかし、たとえ本意でなくとも(行動の主導権を握るのは陣九朗でしたし)天界や地獄など生者が立ち入ることがタブーな領域にズカズカ乗り込み暴れまわった経緯に関与しているためか、出家の道を選んでしまうのも無理はありません。

あげくラスボスが不動明王という神仏的存在なため、そもそもが罰当たりな旅路だったワケで。

ただ、まったくもって救いがなかったワケでもなく……

――時は百姫が出家を決意する少し前。

一旦は戦いに勝ったように見えたものの、ガチギレした不動明王がついに実体を現し、陣九朗はその圧倒的な力に屈します。

さしもの陣九朗もついに観念し、意外にも百姫の魂のみは救うよう不動明王に願い出ます。

陣九朗の様子に慈悲心が湧いたらしく、不動明王は百姫の魂を再び元の身体に収めてやることに。

そして陣九朗は最後に冗談交じりなセリフを吐き、百姫の眼前で地獄へと去っていきます。

全ては元の鞘に収まったというやつですが、一連の場面は陣九朗なりの潔さや人間味が感じられるものになっていました(さらに因縁の悪僧・乱戒もついでに改心します)。

もっともセリフ通りに地獄で画策して、また現世に舞い戻ってきそうな気がしなくもないですが(紺菊だけ孤独になっていそうで可哀そうに思います)。

以上、ノーマルエンドについてザックリ書きしましたが、どちらもハッピーエンドとするには不足気味、かといってバッドエンドとも言い切れない、一筋縄ではいかない終わり方となっています。

ただし、ノーマルエンドもいわばパラレルの一つに過ぎず、朧村正にはこれ以外のIF展開および結末がほかに4つ存在しています。

したがってプレイヤーにより、どのエンドが正史とすべきか(好みか)好きに決めて良いと言わんばかりの作りも良点の一つだと思っています。

2つ目エンド

展開はノーマル時と大きく異なり、ラスボスも鬼助編では百姫、百姫編では鬼助に変化します。

初見では意外な展開と思ったものの、朧流の因縁や村正といういわくつきアイテムを互いに引っさげている共通点から、互いに出会うべくして出会ったのは必然だったかもしれません(2人の物語は本編中同時に進行していたと思われます)。

温泉イベント以外に接点がないのが、むしろ不自然だったので、このルートでは2人の主人公の運命が最後に交差するというある意味スッキリ展開でした。

こちらの結末は鬼助どの、百姫君双方でクリア時に入手する刀を、それぞれが2本とも装備した状態でクリアすると見られるのだったな。

憑き落としと無銘玉ノ緒だね。

これさ、装備さえ出来れば、ノーマルエンドからすぐに2つ目エンドを見ることも出来るんだよね。

続編あってもおかしくないやつ

百姫(陣九朗)との凄まじい斬り合いの末、無事勝利した鬼助。

別れの際、虎姫から妹である百姫のことを託されます。

なお、この流れでは綱吉が出現しないため虎姫は健在(ノーマル展開だと虫の息)。しかし、かりそめの命を与えられているに過ぎないことは変わりないため、ノーマルエンド同様、死を免れることはできませんでした(こちらのルートではその描写はありませんが、恐らく安らかに旅立っていったのだと思っています)。

時と場所が移り、虎姫の墓前に立つ鬼助と百姫。

姉の死をきっかけに決心した百姫の願いを聞き入れた鬼助は、世にちらばる無数の妖刀を狩るため、彼女と共に旅立つことに。

続編があってもおかしくない結びにしか思えません。

さらに後のナレーションの語りでも、妖刀村正千本塚と名を変えて物語は続いていくあたりがまた匂わせです(実際に続編はないので、あくまでリップサービスとして御想像にお任せという感じですが)。

本当に続編が出たならやるだろうな。

筆者どのは。

多分出ないでしょ。匂わせエンディングってどこぞのゲームでもあることだし。

それにもし続編出るとして、その時はもう別主人公になってる可能性が高そうだけど。

鬼助と百姫が再登場しても、あくまで友情出演か脇役って感じじゃない?

(……ま、続編の情報なんて今のとこ⦅2025年1月⦆時点でも出てないし、朧村正はとりあえず今回のみで完結ってところかな?)

たとえ続編が出なくとも、筆者はこの2つ目の鬼助エンドを実は一番気に入っています。

全結末の中で一番喜劇的で、爽やかな締めくくりだと思えましたし。

2人の冗談まじりの会話オチも「こいつら恋仲フラグがたっているんじゃ……」と思える、微笑しいもの。

それもそれで良として。

……村正ってまだ千本もあんのかい(スケールを大きく見せる誇張表現だろうと思いますが)。

余談ですが、このエンドで流れる新吉原での刀狩りシーンは、歌舞伎の演目「籠釣瓶花街酔醒⦅かごつるべさとのえいざめ⦆」というものが元ネタではないかと推察しています(というより篭鶴瓶が出てくるあたりがモロ)。

なんでもこの演目、実際に江戸の吉原で起きた大量〇人事件を元に作られたものらしく、場面がまさにソレの寸前としか思えませんでしたし。

また事件を起こした張本人・佐野次郎左衛門により花魁八ツ橋をはじめとした、多数の人間に振るわれた狂気の刀が駕釣瓶なんだとか。

もっとも、ゲーム内では鬼助の活躍のおかげで駕釣瓶が振るわれることなく、死者も出さずに事なきを得たようです。

なんにせよ実際に起きたとされる江戸の事件(を元にした演目)と、ゲームシナリオが合わさったシーンだとは思いもよりませんでした。

後から調べて発見したことだったので、実に目からウロコな話でした。

女剣士誕生

鬼助との戦いの後、彼の最後っ屁もとい、相打ちによる深手を負った百姫(の身体)を助けるため、陣九朗は自分の魂を彼女に与えようとします。

自らが生きた証として朧流剣術を遺すためにも。

時が経ち、優しいおじいさんおばあさんに救われ、のどかに暮らしていた百姫でしたが、かつての記憶は一切なく、名も「おぼろ」へと変わっていました。

話によると、彼女が眠りについた後に「オボロ、ジンクロウ」と、うなされていることから、おぼろと名付けたということ。

側にキツネ姿の紺菊が居るのも、先の出来事を知っていればこそ、やたらせつなく感じられます。

もしかすると就寝中の百姫のうわごとは、かつてのことを思い出させようとする紺菊の力によるものかもしれません。

そして突如襲来する大鬼。

恩人の2人を守るため、百姫は無意識ながらも見事な剣術で大鬼をあっさり倒してしまいます。

そのことがきっかけとなったのか、自身の記憶の秘密を取り戻すため、百姫がふたたび旅立つことを決意したところで物語は締めくくられます。

先の戦いの後、陣九朗の魂が融合した影響からか、かの剣術は彼が望む形で彼女の中に残った様子。

陣九朗の願いはある意味で叶い、かくして女剣士・おぼろが誕生するワケですが、おじいさんやおばあさん、鬼の登場など、昔ばなしの桃太郎を彷彿させるのもこのエンドの特徴かもしれません。

朧村正エンド

108本目、すなわち最強最後の妖刀・朧村正を装備し、ラスボスを倒すと見られる3つ目のエンド(こちらのラスボスはノーマルと同じ)。

その感想ですが、鬼助、百姫ともども展開はムリヤリの度をこしています。

千十が死してなお追い求めた伝説の妖刀の力はすさまじく、因果の断ち切りによる結末は、まさしく「デウスエクスマキナ」というほかありません。

それまでの起承転を捻じ曲げた展開なため、先の4つのエンドとちがいプレイヤーによって賛否両論ありそうな内容となっています。

美味しい男

魔性と化した綱吉を倒した後、朧村正の力で飛んだ時空の先は、かつて鬼助が密偵として鳴神藩へと潜入していた頃。

愛する虎姫が存命ながらも、敵襲により危機を迎えようとしている、まさに「あの頃」でした。

とっぱじめに今までの出来事はすべて夢(夢オチ)かと錯覚したものの、自身が負った傷やたずさえている妖刀の存在から、早々に時を越えたことを理解する鬼助。

つまりそこに居るのは当時の無力な自分ではなく、最強の妖刀と最強の剣術をひっさげ、時空をも超える力すら持った、いわばチートの鬼です(鬼助だけに)。

その後の展開は知れたもので、襲来した敵(ヌエ)をすんなり斬り伏せ、本来起こるはずの姫と自身の悲しい運命を変えることが(当然ながら)ついに叶います。

と、思いきや「いつか嫁にもらいにくる」などとのたまい、鬼助は武者修行の名目で欧米へと旅立ちます。

言葉を発さず見送るのみの姫でしたが「ある程度打ち解けた男性が、自分の危機をたやすく救い、告白セリフを残して去っていく」のを目の当たりにして、彼女が果たしてどう思うか。

虎姫「……なんだ、あやつ?頭でもやられているのか?」

この虎姫は過去の虎姫であって、これまでの顛末を知らないワケですから、そう思うかどうかは定かではないものの、絵面は圧倒的な強さで惚れた女を救い、美味しいところをすべてかっさらっていった男・鬼助といった具合です。

時空を超えても記憶や力がそのままな彼は、もはや国内で敵なし、新たな強敵を求めて新天地へ旅立つ男・鬼助。

抜け忍の立場は以前と変わりませんが、一介の忍軍程度ではもはや彼を止められないでしょう。

それはそうとして。

あれほど好いた姫を置いてまで、強敵を求めて旅立つという戦闘狂的な意思は、かつての鬼助では考えられないことのように感じました。

これはある意味、彼が妖刀の力に魅入られてしまったとも解釈してよいのではとも思えます。

であれば、ある意味でバッドエンドという見方も出来てしまいます。

ともあれ、どうせなら先の別れの時にそのまま姫を拉致って、駆け落ち気味に二人で旅立った方が良いような気もしていましたが、それは無粋かもしれません。

最後はグランドキャニオンらしき場所から、景色を眺め立つ鬼助の一枚絵が流れます。

等身も変わっているところは、やや年月が経過したことが伺えます。

彼は広大な異国の地で今も武者修行を行っているのでしょう(っていうか、はよ姫迎えにいってやれ)。

不知は幸か不幸か

百姫サイドでも因果を歪める朧村正の力によって、旅の発端の少し前「あの頃」へと戻る展開になりますが……。

こちらは清々しめな鬼助エンドとはちがい、世にも奇妙な物〇感が強めです。

操作キャラが在りし日の陣九朗に変わったあたり、すでにイヤな予感が。

村正の力が上手く作用したのは、どうやら彼に対してのみなようでした。

奇しくも身体を取り戻した陣九朗。

そしてタイムワープ先の城下で、かつての雪之丞、さらに彼と仲睦まじい様子の百姫と再会を果たします。

最大の好機を此度は逃すまいとし、陣九朗は……。

なおここでの雪之丞と百姫は、先の虎姫同様「別次元の存在」であり、本編開始前の時間軸なため、陣九朗のことは当然知るよしもありません(ややこしいですが)。

鬼助ともども、実にパラレルな展開です。

ところ変わって雪之丞との婚礼の儀も終わり、人妻属性が付与された百姫へと操作が移ります。

ここでは城内の人々と談笑していくことに(女中に化けた紺菊がまぎれているあたり、怪しい雰囲気プンプン)。

はたからみても大変お似合いな両人らしく、寿ぎをのべる女中たち。

百姫は幸せをかみしめつつ、愛する夫の元へ。

まあ、成り行きを見ていれば自然に分かることですが……。

姫さんよ……そいつ、陣九朗だから。

何も知らずの彼女が、後に産む子供たちの父親はいうまでもありません。

かつてのこと、陣九朗が魂移しの儀を狙った相手はそもそも雪之丞でしたが、百姫が雪之丞をかばったことで失敗に終わっていました(その流れが本編へとつながった)。

が、廻りまわった末、時空を歪める妖刀を手にしたことで運命は大きく変わることに。

結果、狂気の剣豪は自らの古い身体を捨て、武家の地位と可憐な妻、若く強靭な肉体をもいっぺんに手にしました。

朧村正を手にすることも含めて、まわりくどくも運命は「実は最初から」陣九朗に味方していたとすら思えるほどです。

まさに陣九朗の1人勝ちというべき結末(紺菊も健在なので、両手に華といったところ)で、賛否ありそうなエンドですが、筆者はこのオチもありだと思っています。

なぜなら2つ目の百姫エンドで、冷酷無比なはずの陣九朗が最後に自らの命を百姫のために使ったこと。

そもそもノーマルエンドでも、不動明王に対しては自分に責があるとして、百姫の命だけは助けるように願い出たことで、筆者的に彼の点数はぶち上がりました。

これらの結末では目的叶わずの悲運な彼だったので、1つくらいは野望が成就する展開があってバチはあたらないと思いましたし。

もっとも冷酷無比な一方で、百姫の身体つきにケチを付けたり、ひいきにしていた遊〇に情をかけたりなど、多少の人間味も見せていたため「完全な悪人」でもなかったワケです(鬼助の2つ目エンドの展開では、ただの悪漢と化していましたが)。

それはそうと。

この結末での百姫は陣九朗を雪之丞だと思い込んだまま、生涯愛していくのでしょう。

そう考えるとスタッフロール後の、幸せそうに赤ん坊を抱く彼女(浮世絵風)の一枚絵には、凄まじい皮肉感がただよいます。

不知(しらず)は、幸か不幸か。

この一筋縄ではない結末の詳細は、ぜひ実際に確認して欲しいところです。

ネタが随所に詰め込まれている

本作は昔話・落語・狂言・妖怪ネタの宝庫。

天狗や雪女、NPCとして置いてけ掘や豆腐小僧の存在(実際に豆腐を売ってくれる)。

「まんじゅうこわい」や、狂言の附子(ぶす)を彷彿させる会話。

さらにはあの一休さんや和尚さんと道中で出会ったり、芭蕉らしき老人が民家で「ふるいけや……」を歌っていたりなど、ちょっとした和ネタが随所に散りばめられている。

これらは本編とはまったく関わりがないものの、古くの日本を感じられるフレーバー要素にはなっている。

でもさ、一休さんって室町時代の人じゃなかった?

これの時代設定って江戸時代の真ん中くらいだよね。

だが妖怪やら鬼やら、地獄やれ天界やれのほかに、時を超える刀すら存在しているわけだからな。

ゲームなのだから、そのへんはどうとでもなるだろう。

あまり深く考えない方が良いと思うぞ。

身もフタもないね……。

DLCシナリオについて(まだやってません)

いや、やってないならこの項目要らないでしょ!

筆者どの、DLCまでは手をつけてないからな。

一通りやりつくすまで、現在この項目自体は作成保留ということだが、そのうち必ず書く気ではあるようだぞ。

ほかの文も都度直したり、書き足したりすると思うので、読者どのには申し訳ないと代わりにいっておこう。

じゃあちゃんと書かれるまで、ボクが代わりにDLCの概要だけいっておくけど……。

DLCは全部で4つあって本編と舞台も共通なんだ。

んで、それぞれちがう主人公が用意されてて、ボリュームも本編に引けを取らない出来らしいんだよね。

ま、DLCのことについては、ある日突然書かれてるかも知れないから「同じレビューを2度以上見てくれる奇特な人」がもしいたら、そのうち見られるかもね。

システム・内容 ☆☆☆+

大和や相模など、旧地名が冠されたエリアに広がる2Dステージ内で探索や戦闘の一切が行われ、ボスステージも通常ステージと同様の構成となっています。

いうなれば、完全に2D画面なくにおくんみたいなやつです(たとえ下手)。

各ステージの最奥に待ち構えるボスを倒すことで「特殊な刀」が入手でき、それを使って結界を破ることで新たな地域が解禁される仕様。

行けるエリアが広がるにつれ「次どこ行ったら良いんだろ?」となりそうなものですが、本作はステージMAPに次の目的地が常に表示される親切システムのため、迷うことはまずありません。

なお舞台となるエリアは日本の東海道間、江戸~京都周辺までとなっています。

同じく東海道が舞台になっている和風アクションに興味があれば、下のレビューも読んでくれたらうれしいな!

朧村正とちがい、喜劇的(コミカル)な内容のものだが、今でも充分楽しめるレトロゲームゆえ、是非遊んでもらいたいところだな。

また本作はバトルメインな作りのため、細かい探索や謎解き要素は一切ありません。

その分といって良いか分かりませんが、縦横無尽に敵を斬り伏せていく爽快感や、疾走感の高い操作性は指折り(戦闘機会はステージ移動中に発生するランダムエンカウント、あらかじめ敵が配置されている固定エンカウント、ステージ奥でのボスバトルの三つ)。

バトルの合間のステージ間では食事処や茶店がところどころに配置され、村人・旅人らのNPCも居り(それらの人物との会話もしっかり和テイスト)文銭と引き換えに、食べ物や装飾品といった各種アイテムも購入可能。

2Dバトルメインでありつつ、RPGエッセンスともいえる「入手したお金で買い物する」要素もしっかり味わえるのは、筆者の好みを満たしてくれていました。

難易度はいわゆる易しいモードの無双のほか、高難度の修羅、修羅でクリアすると解禁される死狂(一撃死モード)の3つが搭載されているのは、初心者・やり込みゲーマーどちらにも配慮された作り。

いくらやられても手前からリトライが無制限に出来る親切仕様も、死狂を前提とした仕様にも思えるほど(といいつつ、死狂は未クリアな筆者です……)。

※死狂は不可ですが、無双と修羅は本編中でも切り替えることが出来るため「修羅ムズい、やっぱ無双したい……」となった場合でも安心です。

なおメインシステムである刀収集、鍛冶については書いているうちにやたら長くなってしまったので(上手くまとめきれなかっただけですが……)ここでは語らず、次の項から触れていこうと思います。

物語や絵面の濃さに反して、万人が慣れるのに容易なゲーム性であることは良いのですが、マイナスポイントもいくらかあるので後述します。

それとわざわざ書くことはないと思いましたが、タイトルメニューのデータロード時にシナリオを切り替えることが出来るため、一方のシナリオが途中でも、もう一方を別に進めるということもまた可能です。

私は途中で切り替えるより、どちらか片方を結末までやり切ってしまう方が良いと思うぞ。

中途半端に進めて切り替えちゃうと展開分かりづらくなるからね(一応迷わないようにか、途中からやっても次何すれば良いか画面には表示されるけど)。

気分変えたいなら、別に良いんだけどさ。

メイン武器は数多の村正

徳川家に災いをもたらすという刀ファンにはとりわけ有名で物騒な伝説を持つ、かの妖刀村正がメインウェポン(というより刀以外の武器がない)。

これにはクセが無く素早い剣撃を繰り出せる太刀タイプ、重く扱いが難しいものの、相手の体力やガードをゴリゴリ削れる大太刀タイプの2種のみが存在(村正以外の刀も複数あるが、それらもこの2タイプのどちらかに属する)。

入手のしかたも凝っており、金銭のような俗物ではなく「魂と生気」が必要な、いわくありげのユニーク設定。

魂と生気を規定数消費し、世の村正全てを作り出した(という設定の)大鍛冶師・千子村正の鍛冶によって刀は生み出されるが、要はほぼいつでも利用可能な武器屋。

刀を打つ時だけ姿を見られるとはいえ、村正どのは鬼助どの、百姫どのそれぞれに憑りつき、いつでも会える形なのだな。

普段は幽界の狭間ってとこに居るんだよね。

刀打ってもらう時だけ「おーい」って声かければ、ひょこっと現れるみたいな。

それとも狭間の世界で打った刀が「ひょこッ……カランカラーン!」みたいな感じで出てくるとか!

どっちにしてもちょっとホラーな光景だよね……。

各刀はメニューで表示できる派生図によってすべて網羅され(未入手の刀は黒いシルエットで表示される)新たな刀を打つためには、その前段階の刀を入手しておく必要がある。

※ちなみに鬼助・百姫の能力が一定の数値に達していないと、魂と生気が足りていても新刀は使えない(鍛冶は出来る)。

ある刀とある刀の二つがなければ、次の刀を作れないといった具合だな。

そういう制限をかけなければ「いきなりつえー刀手に入れちゃった!」ということが起きてしまうからな。

そりゃ、そのへんのバランスはちゃんと考えてるでしょうよ。

(逆に作っても、一回も使わないって刀もあるんだよね。これについては後で書いてるけどさ……)

なお刀は村正・特殊刀全てで108本存在(煩悩の数なのも和的設定)

いうまでもなく、ほかの107本手に入れた状態で解禁される最終刀は朧村正(朧村正を装備してラスボスを倒せば完クリとなる)

余談だが、鬼助編で登場する狗頭龍村正や、百姫編での相模反魂黒光はシナリオ上のキーアイテムとしてのみの存在なため、装備はおろか入手することも出来ない(オマケ刀として使えたら面白かったが)。

使える刀は限られる

刀ごとに攻撃力が異なるのは当然として、ほかにも霊力消費で使える技が個別に設定され、一部には特殊効果や能力補正もついている。

これは刀の差別化を図ってのこととして良点なものの……。

古い刀は新しい刀を産み出した時点で、すぐ用済みとなることはいなめない。

そりゃーね。

ドラクエでいえば、どうのつるぎからはがねのつるぎに買い換えて、またどうのつるぎを使うことなんてまずないし。

待て、筆者どのが言いたいのはそういうことではないらしいぞ。

つまり武器の切り替わりが、あまりに目まぐるしいということではないか?

拙い文の補足をありがとう。

カエデのいうとおり、新たな刀の入手スパンが短すぎるということが本作では度々起こる。

つまり。

新刀入手→魂と生気がまだ残っている→その次の新刀入手→まだ魂と生気ga……→そのまた次の新刀入手。

またもドラクエでたとえると、銅の剣購入→金があまってる→即座に鋼の剣購入→まだ金が……→またも即座に……。

――という感じだが、このスパンのあいだバトルは一切行っていない。

ペース早すぎんだろ(一応フォローとして、個人のプレイによりけりとだけ付け加える)。

作ったのに装備すらしなかった霧雨村正あたりはかなり不憫な存在。

もっとも本作では刀をとっかえひっかえすることが、むしろ基本となるので入手スパンの短さはむしろ仕様。

一方で刀ごとの技には、攻撃力を度外視しても問題ないほど役立つものがあるため、そういう技が備わった古い刀をあえて装備しつづけるという方法もある。

※無銘玉ノ緒の烈風走破弐・極月村正の月下一閃は、刀の強さよりも技の性能が良いため(特に前者)当方ではこの二刀をクリア後もメインで使っていた。

そもそも刀は常時3つまで装備できるため、一振りくらいは攻撃力の高さではなく、技や特殊効果などで選んだり、何なら名前だけでも気に入った刀を装備するのもオツかと思われる。

ボクも最初は初心者向けの太刀が使いやすかったけど、慣れると大太刀も良いなって思えてきたよ!

私なら小回りが利く太刀だ、動きもそれほど制限されないからな。

もっとも3つまで同時に持てるわけだから、太刀と大太刀を状況に合わせて使いわけることが上策だろう。

アクションは段々作業化

一通りの操作を会得した頃が、一番楽しい時。

縦横無尽にステージを駆け、単調な連続斬りだけではなく、回転による回避行動、下突きや上昇斬り。

急降下突きを繰り出す、高速移動ですれちがいざまに斬るなど、空中戦の操作も慣れれば快感(ガードもボタン押しっぱで発動するため楽)。

バシュバシュと敵を斬り伏せる疾走感は殺陣さながら。

また戦闘後のリザルトで「電光石火の勝利」など、立ち回りに応じた評価ボーナスがつくところも「やったった」感が味わえるものになっている。

しかし。

一定時間プレイすると、敵のバリエーション(エリアによるが、忍び・侍・虚無僧あたりはゲップが出るほど出現する)もそこまで豊富ではないためか、快適アクションもやがて作業(飽き)へと変わる。

これを穴埋めしてくれるのが、刀ごとに存在する豊富な技の存在だが、これも飽きると乱発しがち(効果範囲が広い技になると、絵的にもカオス状態になる)。

新刀に搭載された技をはじめて使うまでは新鮮味があって良いものの……。

つまり。

ばしゅばしゅばしゅ! おおこの技カッケー! ツエー!」→「ばしゅばしゅ……飽きた、次の刀なんだべ……」となる。

ゲーム寿命を延ばすなら、普段使わないような技を試すか、後述する「チートアイテム」を上手く使って、色んな刀の技を乱発するのが楽しいかなと。

あ、結局乱発になるのか……。

こりゃどうしようもねえ。

チートアイテム・鳴神の腕輪

伊豆の白封印の魔窟をクリアすると手に入る驚異の腕輪。

装備効果は霊力がまったく減らなくなるという狂った性能。

技の無限使用はもちろん、刀も折れなくなるため、入手後はやりたい放題となる。

これを入手した時点で文字通り無双となるが、伊豆の魔窟は本作でもっとも難度が高く(推奨レベルは92~)ラスボス戦が比ではないほどの長期戦となるため、いわば最後の最後に手に入るようなオマケアイテムのようなもの。

使い道はその辺のザコや再ボス戦の時に、好みの技をぶっ放して、オレツエーをやる程度だろうか。

なおチートとまではいかないものの、駿河のボス・龍神との再戦(鬼助百姫双方クリア後)後に入手出来る仁王の腕輪もすべての刀が攻撃力700に固定されるという一品。

早々に用済みとなり、欄の肥やしになっている全ての刀の再利用へつながるものとなる(ただし入手が後すぎて出番はあまりないかもしれない)。

生気はすぐたまる

ちょっと大味なシステムといえば、これもそうだな。

適当に食事していれば生気もすぐたまるというやつ。

ほとんどの食べ物に大なり小なり設定されてるからね。

むしろ魂が不足しがちだよね。特に序盤。

刀作る時は、こっちの方が足りなくて困ったし。

それもせいぜい中盤までだな。

クリア後はむしろあまり気味になる。

ま、どっちも伊万里の大皿(生気を集めるほど攻撃力上昇)と霊木の位牌(魂を集めるほど攻撃力上昇)って装飾品があるから、完璧ムダってことにはならないけど……。

でもカンストする頃には、ほとんどやること無くなってるし、あんま意味ないんだよね。

ほか細かい事柄(プレイメモ気味)

能力アップの装飾品はほぼ使わない→刀作成時に足りない力・体力を一時的にブーストさせる以外で使うことがなかった。

後半アイテム持てあまし気味→特に肉類。キジ・イノシシとたびたびエンカすることから余りやすく、数いっぱいで持てないということも多々あった(結果、必要もないのに鍋にして食べることが多かった)。

魂や文(金)にも困らなくなる→魂は不足気味になることもあるが、クリア後は魔窟やボスとの再戦で各地をうろつく内に、それぞれ加速的に集まる。カンストも容易い。文は両に位が上がっても、そこまで高価なアイテムは存在しないため使い道はあまりない(高難度や魔窟制覇をするならその限りではない)。なお生気の溜まりやすさは食べ物のおかげでいうまでもなく。

レベルも→同上の理由でクリア後にもぐんぐん上がる。敵も相対的に強くなる。なお99になろうが恩恵的なものはない(最後の朧村正の装備条件⦅必要能力値⦆も99にまでする必要はない)。

美麗グラフィックに水を差すこと→拡大MAPを見ながら移動することも多かったので、その時は景色をほとんど見ていない。

PSV版に追加された祠ワープ→一旦クリアするまで解禁されないが、使えるようになるとすこぶる便利。あくまで祠間同士での移動だが、各魔窟に向かう時や、ボス再戦のためのエリア移動に活躍した(なお海外版の逆輸入システムらしい)。

難易度変更はいつでも出来るが……→修羅だと特に親玉(ボス)戦は泣けるほど時間がかかるため、単純にやり込みや腕試しでもない限り無双で良い。ただし死狂を解禁するためにラスボスはどうしても修羅でクリアする必要あり(時間はかかるが、鳴神の腕輪があれば問題なし)。

青銅の鏡は用意必須→なければボス撃破後、徒歩でステージを戻る羽目になる。地味にストレス。

満腹度→存在をけっこう忘れる。続けて何か食べようとしても「ん?食えないぞ?」となること請け合い。

鬼助百姫のシナリオを一度クリアすると、どちらか専用だった刀も共有できる→今後は強い方の主人公で刀を一気に収集した方が良い(もう片方の主人公でも使えるので効率が良い)。

レシピ本や地図→金があればさっさと買ってしまった方が良い(後々の回収がめんどくさくなる、地図は別に必須ではない)。

漁ミニゲーム→ユニークなものの、報酬が微々たる文銭なので金目的でやる必要無し(その辺でバトルするか、魔窟マラソンした方が稼げる)。

難敵・海坊主→空中戦のコツさえ掴めば多少雑な操作でもイケる。必殺の刃付きの刀か、持っていれば必殺の刃弐が付く石見の毒薬(高確率で敵が一撃死)で挑むのがおススメ。撃破後の乗船時に人魚からもらえる八咫鏡は便利なものの……(青銅の鏡を買わなくて良くなっただけ。進捗次第で文銭があまり気味になるため、あってもなくても困らない。なお、かの三種の神器にケチをつける気持ちは一切ない)

グラフィック ☆☆☆☆+

親玉のこってりゴテゴテな色彩豊かな描かれ方、動きのなめらかさ、特に一部ボスは良い意味でグロテスクです(大百足、土蜘蛛など、虫が苦手な方は存分にゾワゾワ出来るレベル)。

またラスボスの犬神・徳川綱吉と不動明王は双方ともに大迫力で攻撃方法や演出も派手で目を引く(不動明王は実体ではなく木像での登場だが、お供の童子コンビや背景の炎も含めると壮観)。

特筆すべきはステージ景色。

たとえば山城・武蔵、祇園・吉原の歓楽街。

シルエットと化した無数の人々が「こちら側」ではない表の世界を行き交い、煌々とした街の様相に目が引き込まれる。

一転、ひっそりと幽玄な雰囲気に包まれた郊外。

暗がりを妖美に彩る桜吹雪、歓楽街との明暗差には思わず息をのむ。

ほかお気に入りは、室町後期の絵師・狩野永徳の描いた洛中洛外図屏風さながらの、伊勢ボスステージ。

まもなく見える無数の鳥居をくぐるにつれ、神々しいモヤに包まれる演出。

あちらの領域に踏み込んだことを思わせる、ありがたいような罰当たりなような、摩訶不思議な気持ちにさせられました。

絵面だけで白飯3杯はいけます(ある種の変人かもしれません)。

なお比喩ではなく、グラだけで本当に白飯3杯イケそうな描写については、次にて語ります。

最強レベルの飯テロ絵

茶店や食い処では体力回復や生気獲得のための食事が可能。

その地にちなんだ名物が品書きに並び、回復・生気の値もそれぞれで異なる。

――いやそんなことよりも。

食べるグラフィックシーンがもはや飯テロの領域。

空腹時には、ある意味実写の食レポを見るよりもキツイ。

たとえば天ぷらそば。

カラリと揚がって(いそうな)大海老天、鰹節と昆布が香って(いそうな)赤褐色の出汁と、職人の打ち立て(であろう)そば。

名古屋名物・ひつまぶし。

脂てらてらふっくらビジュアルの鰻、甘辛タレがしみて(いそうな)白飯。

落語のように匂いだけで白飯を食べるという噺があるが、こちらは見た目をおかずに白飯が食べられそうな圧がある。

しかもこれら食べ物はボタンを押すたび「実食」しているがごとく、量がみるみる減っていくという演出付き。

湧きおこる、しずる感。

やっぱり空腹時にはとことんツラい絵面である(ほかにも寿司とか焼き鯛とか……ジュルリ)。

道中や店で手に入る白菜や肉類を使って料理も出来るが、鍋も相当美味そうに見えるな。

同感。

回復や魂入手出来る以外にも、無敵とか自動復活とかすごく役立つ効果が付くけど、そんなことより見た目のシズル感だよね。

水炊きに鴨鍋、牡丹鍋……お腹空いてきちゃった!

私たちも今日は鍋にするか?

異議なーし!

複数敵居ると……

ダメージ表記が見づらい。

グラフィックに関して唯一のマイナスポイントといってよい。

戦闘時はたいがい混戦になることが多く、敵も複数で出現することが多い(忍者など7・8体は当たり前)。

背景や敵、全てにおいて色彩豊かなことが災いしてか、ダメージ表示が美麗グラフィックに悪い意味で馴染み、かつ一瞬で消えてしまうため、たいへん視認しづらい。

またプレイヤー側の行動も忙しく、技によってはさらにゴチャゴチャする攻撃演出も手伝ってか、そちらに視線が混同して、余計に「125与えた? いや126だったかも」となりやすい(しかも一気に複数表示される)。

表示のカラーがオレンジ枠で中身灰色というのが、見づらい原因の一つだろうか。

もっとも表示が黄色や赤だと、目にあまり良さそうなカラーでもないので、ほんの些細なこととして受け入れてしまえるが……。

そういう表示をちくいち見るより、バタバタなぎ倒すのを感覚で楽しむようなもんだよね、コレ。

難易度・無双だと適当に攻撃しててもどうにかなるくらいだし。

幸いにして、ボスの体力は画面下にゲージ表示されるしな。

ゲージとはいえ、だいたいどのくらい削り取ったか分かるだけでも、充分だと思うが。

ちょいちょいエ〇チいグラも

道中での温泉イベントでは、シナリオ進行によってメインキャラそれぞれが肢体をさらす。

入浴は体力回復を兼ねているものの、回復手段はほかにいくらでもあるため、むしろ本作のサービスシーン的なイベントに思える。

またサービスショット的な挙動のキャラはほかにも存在する。

鬼助編で戦うことになるボス・小夜はその一例。

ミニスカ修験者な衣装で、見た目幼女なわりに、エラそうなタメ口調。

と、すでに複数の属性が詰め込まれたキャラだが、彼女をバトル中にダウンさせると尻もちをつき、下に履いている純白のアレが瞬間的にチラリする。

ただでさえ丈の短い衣装で戦うから当然だが、(カラスを呼び出して空中椅子でプカプカしている時も、ちょいちょいチラリする)。

製作陣の方たちが、キャラデザイン段階から「そういうアニメーション」も作ろうとしていたかは分からないが、あきらかに狙ったのはまちがいない。

この場合の「狙った」はどういう意味なのだろうか?

「ひゃっほーパンツ見ちゃった!!」って、プレイヤー側に思わせるって意味ね。

あまり難しく考えなくて良いと思うよ。

そこまで掘り下げたくないし。

(たかが下着を見て興奮出来るものなのか?)

さらに百姫編のボス・雷神も相当。

彼女(朧村正の雷神はなぜか女性)もダウンさせることで、神様らしからぬペタン座りとなり、その豊満なヒップをこちらにさらけてくる(小夜や雷神に限らず、ボスがダウン状態の時は絶好の攻撃機会)。

スタッフさんによる本気の遊び心が感じられる。

ほかにも紺菊の牛顔負けなデザイン(ドラゴンズクラウンの魔女など、ヴァニラウェア作品には異常な爆乳キャラが1人はいるもよう)。

弓弦葉は胸こそ控えめだが、豊満なヒップ、うなじと背中にかけてのラインは紺菊より強調されているあたり、同じおキツネ様でも肢体がちゃんと差別化されている。

ちなみに男性キャラでの「そういう」ショットは、女性キャラに比べ極めて少なく、せいぜい入浴時ふんどし姿の鬼助くらい。

数少ない美男子(?)の雪之丞にも、残念ながら用意されていない。

陣九朗も同様だが彼は美男というより、いかつい様相(良いえば漢らしい)なので、あったとしても少し意味が変わってくる(マンガのゴールデンカムイで男性軍の裸を見て興奮する方ならムフーかも)。

なお陣九朗ではないにしろ、駕籠屋の2人はめっちゃ良い身体つきをしているので、ほかのキャラを押しのけるほどのインパクトがある。

何気に恥ずかしいことをつらつら書いていないか?

そう?

絵的にも良い意味でふざけた感じがあると、ちょっと笑えるじゃない(たずさわった人は大真面目なんだろうけど)。

(私の衣装も丈が短いから、もしアクションゲームのキャラになったとしたら、動くたびに見えるのかもしれないな)

サウンド ☆☆☆☆☆

特に好きな曲は2つ。

伊勢・遠江ボスステージ。

相模・大和ステージ(それぞれ道中でかかるやつ)。

双方とも、ふとした時に脳内で流れるほど、印象深い曲となりました(なんなら口笛や鼻歌でもついつい)。

しかし……。

作曲の人の感性って一体どうなってんでしょうね。

よくもあんなキレイでカッコ良い和BGMが思い浮かぶものだと思っています、ホント。

アレもカッコ良くない?

エンカ後に普段と曲調が変わるの。

どのステージのものも、緊迫感や迫力が増し、殺陣(たて)を想像させるものになっているな。

そういう演出もニクイところというべきか。

総評 ☆☆☆☆+

思い付く限りの和の要素が、2Dアクション世界に深く深く落とし込まれた傑作。

複雑な操作は一切なく、アクションゲー初心者でも遊びやすい部類に入ると思います(ただし難易度は無双⦅簡単モード⦆での話)。

お金ではなく、魂と生気により刀を産み出していくシステムはユニークで、全108本の刀を収集するあたりは、ちょっとしたコレクション要素。

惜しいと思ったところは、色ちがいが多いだけで形状はほぼ一緒という刀の水増し感、敵のバリエーションの少なさ、同じような場所を何度も通ることによる作業感。

ただし、これらはほかのゲームでも往々にしてあることで、妥協範囲だと思っています。

これで各刀ごとにディテールをさらにこだわり、刀図鑑でもあれば脱帽だったのですが、さすがにそこまで求めるワケにはいきません(篭鶴瓶や大典太など村正以外の名刀もあるものの、仕様上見た目にそこまでの差が無いのは惜しい)。

ノーマルルートでさえ劇的な展開とオチが用意されている一方で、主人公同士が戦うアフタールートが用意されていたのも良点でした。

さらにトゥルーエンドというべき朧村正エンドは、時空をも越える力で、それまでの経緯をふき飛ばしてしまうド展開。

そこに至るまでのキーアイテムとなる刀の収集にもそこそこ手間がかかるため、トータルでのボリュームはなかなかです。

とはいえ、よほどの寄り道をしなければ、少なくとも初回のクリアタイムは片方のシナリオで10時間は楽に切れると思うので、片手間で遊ぶのにも手頃なところ。

なにより筆者にとってはグラフィック・BGMが好みど真ん中な作品でした。

いくつかの不満点を払拭するほどに。

結びとして、このゲームに出会えたことを今さらながら幸福に思っています。

まあ飯テロゲーでもあるよね。

夢に出てくるレベルで。

大きく否定は出来ないが、そこを強調すると別な種類のゲームだと思われるぞ。

了。

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