お役目中の私だ!
今回のラクガキはいつもよりも少し時間をかけたらしいぞ。
お絵かきあるあるだけど、毎回キャラが安定していなくてキミじゃないみたい!
筆者、墨絵とかそういうのが好きみたいだから、色の飛びちらせ方とかノリでそれっぽく描こうとしたんだね。
ラフから描き上げまで正味2日ほど、ダラけてロスした時間を合わせるともっと掛かっています。正確に時間を計っていたワケではないので大体。
ロス無しでも時間かかりすぎかと思いました。下手の横好きというやつで楽しく描いてはいますが、はてさて。
くノ一(女性忍者)は居たのか?
ここからは少し雑学話を(書き終わってみると、長くなってしまいました)。女性の忍者を「くノ一」と呼ぶことは多々あるかと思います。
それっぽい絵面をアップしておいていきなりですが、そもそもくノ一(女忍者)という存在はいなかったという話があります。
正確には「くノ一」の存在を確定付けるほどの情報や資料が見当たりませんでした(無学者ゆえの調査力不足なだけかもしれませんが)。
また忍者とは現代の造語であり、また、くノ一という言葉も造語といわれています。
さらに一説では、黒装束姿で手裏剣や煙玉を投げたり、印を結んで妖術を唱えたりな「忍者」そのものが存在しないともいわれています(前者は物理的にあり得そうですが、後者はファンタジーな存在なので当然でしょうけど)。
ただ忍者ではなく「忍び」であればどうでしょうか。
南北朝時代の「太平記」なる軍記によると、敵地へと文字通り忍び込んだ者が、火を放って同地に混乱を起こしたという話が記されているようで、このことから忍びの存在は完全否定出来るものではないと考えられます(なお⦅忍び⦆という語の記載が見られる現在最も古い史料はこの太平記とのことです)。
参考資料 山田雄司 忍者の虚像と実像 2022 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/39/3/39_121/_pdf/-char/ja PDF2ページ12行目 参照日2025.6.07
「それはそれ」として、架空の存在らしきくノ一が、なぜ女忍者として現代で認識される存在になったのか。
色々調べてからの推察に過ぎませんが、小説・時代劇・マンガやゲームといった後世の創作物によって存在が定着したと考えられます。
さらにくノ一=女忍者のイメージを強くさせたのは、山田風太郎氏が創作した長編小説「忍法帖シリーズ」による影響というユニークな話があります。だとするなら「くノ一」という呼び名も、小説が世に広まる以前までは一般的に浸透している言葉ではなかったのかもしれません。
近年よりの小説の影響を受けたのであれば、くノ一とは、わりと現代的な存在ともいえます。
またほかの創作でも「現代のくノ一像」が出来上がったことに、一役買ったと思われるものが見受けられます。
パッと思い当たるのは、人気時代劇・水戸黄門に登場する女忍者の「かげろうお銀」
彼女は黄門様の命を受け、色々な場所に潜入したり、町民にまぎれて情報を集めたり、色目を使って悪い人たちを惑わせ?たりもしているため「見た目も行動も実にそれらしい」活躍をしている登場人物といえます(同作の名物?シーンである「お銀の入浴」も、時代劇ファンにはとてもなじみ深いものかと思われます⦅知らない方はググってみて下さいね⦆)。
また、こちらも人気時代劇の一つ・暴れん坊将軍にも「御庭番(おにわばん)」として、くノ一が登場しますが、こちらはお銀ほどスポットが当たらず派手なシーンがあまりないくノ一といったところ(と、いっても最後の殺陣では吉宗の助っ人として、斬り合いにしれっと加わっていることも。またシーズンにより配役の方も変わっています)
あくまで目立たず、地味目(それが本来の姿なのでしょうが)な諜報活動を行うことがメインで、より影の存在的な役割を果たしています。
なお筆者は時代劇好きの祖父の影響で、幼少からこれら作品を見る機会も少なくありませんでした。それもあってか、比較的有名な時代劇の登場人物を2名、創作のくノ一像の例としてあげさせてもらった次第です。
サブカル作品でのくノ一をいくつかピックアップさせてもらうとすれば、漫画家・重野なおきさんの作品の一つ「信長の忍び」に登場する「千鳥」や、漫画家・吾峠 呼世晴さんの「鬼滅の刃」中でも、柱の一人・宇髄天元の3人のお嫁さんとして女忍者たちが登場しています。
テレビゲームでは「デッドオアアライブシリーズ」の「かすみ」や「あやね」も、現代イメージなくノ一像の一つといえるのかもしれません。マンガやゲーム好きの人には、もっぱらこうした作品群の方が「くノ一」をよりイメージしやすいのではと思うところ。
さて、ここまではイメージの定着についての長ったらしい前置きでしたが(というより、現代の創作やサブカルでのくノ一キャラが多すぎなので、挙げてもキリがない)先ほどの「くノ一が存在しなかった」という話に戻ります。
結論ですが、実在したとも言えないし、絶対にいなかったと決めつけることも出来ない。という考えにたどり着きました(結局、ハッキリせんのかい)。
そもそもくノ一とはもともと「※女忍者の隠語」ともいわれていて、それが現代の創作物の影響により、わかりやすく「女忍者そのもの」を指す言葉として定着したのかもしれません。意味合い的にも、その変化は自然だったように思えます。
※特定の人たちの間でのみ、通じる言葉
ただ、このような創作上の「くノ一」ではなく「女性で諜報活動を行う存在」が実在した可能性は、充分あると思っています。
そう思ったのは「望月千代女(もちづきちよじょ)」という戦国時代の人物の存在もあったからでした。そして、この千代女は女性忍者の始祖という説があります。
まず、千代女は武田家の武将「望月盛時(もちづきもりとき)」の妻で、歩巫女(あるきみこ)と呼ばれる人物です。また彼女は、民俗学者・中山太郎氏の著書「日本巫女史」の中で、千代女房という名で記載がされているようです。
ちなみに、ここでの歩巫女とは信濃巫(しなのふ)とも呼ばれ、神社の巫女さんとは異なり、各地を旅しながら諜報活動(スパイ活動)を行っていた集団らしいです。この信濃巫が女性の忍び、いわばくノ一の原型と言われています。
諜報活動というあたりが、忍者の仕事そのものですし。
もちろん、そのすべてが女性で構成され、まさしくくノ一像としてピタッと当てはまる存在。
さらに一説では、千代女が歩き巫女の頭領として、そのほかの歩き巫女の養成を、かの武田信玄から命じられていたとも。また、その養成機関は禰津村(ねつむら・現在の長野県、東御市)に存在していたと伝えられています。
そして、ここで育てられた歩き巫女たちは、信玄の命で各地へと派遣され、頭領の千代女もきっと自らお役目に携わっていたのでしょう。
ですが、この話も諸説ありで、千代女という人物、ひいては歩き巫女らが元祖くノ一として良いものかまでは、確証がつかめませんでした。
あくまで千代女という人物や、歩き巫女たちが居たという話に過ぎないのです。また、可能性があったとは言え、本当に諜報活動を行っていたかも定かで無かった様です。
ここまで書いておいてなんですが、なんなら千代女もただの巫女リーダーだったとも思えます。
筆者は彼女たちを完全に「忍び」と呼べるほどの情報が残されていないと判断しました。(本当に忍者と呼べるなら、謎が多い方が正解なのかも知れませんが)。
反面、考証を重ねて作り上げたであろう書物に、千代女や歩き巫女といった存在の話でも見られるというのは、まったく無視できることではないのも確かです。
なので「くノ一らしき女性たち」が居たかもと考えさせるには、充分に興味を引く話だと言えるでしょうし、むしろそう考える方がロマンがあると思っています。
さて、ここからは筆者が立てた「忍びが居たとすれば、女性の忍びも居たろうよ」的な仮説を、だいぶ変な角度から解釈しようと思います。
なお、簡単な算数をともなった話をメインとしていますが、筆者自身も書いていて少しややこしくなったので、面倒であれば最後の方まで飛ばして頂いて結構です。
まず、おおまかな室町幕府成立~江戸幕府成立までの日本人口の移り変わりは、約800万~1200万人とされています。これまで知りませんでしたが、当時の人口は現代よりもはるかに少なかったんですね!
男女の比率や平均年齢まではっきりと解りませんでしたが、老若男女問わず、忍者がその時代間あたりに居たものと仮定します(室町時代に含まれている南北朝時代以後に、忍びの存在を認めた資料もあるらしいので)。一番活躍してそうな戦国時代でもありますしね。
次に、先ほどの800万~1200万人の中をとって1000万人を、忍者が活躍してそうな時代の基準人口とします。
さて、その1000万人のうち、忍者は何人くらい居たかを考えますが、さらに筆者が憶測のみでその人数をアバウトに出します。
隠密などの特殊訓練を受けたレアな存在だとして……基準人口の0.01%くらいにしましょうか(もう適当です)。
0.1%だと1万人ですが、なんとなく多く感じたので1000万の0.01%(1000万×0.0001)の計算をしました。よって、忍者は日本に1000人居た事にしました。
そして女性の忍びは、この1000人の中にどのくらい居たか考えるとします。忍びの世界が男社会だとするなら、さらに少数になると思われます。これは1割(10%)くらいの狭き門としておきましょう(また適当)。
計算上は1000の10%(1000×0.1)結果、女性の忍者は100人存在していた事になります。もっとも、これは最初の1000万人から、かなり低く見積もっての勝手きわまる数字です。
根拠も、精密な計算材料もロクに考えていません。人口、忍者へのイメージと感覚で大雑把に出したものです(ただし室町幕府成立~江戸幕府成立までの人口数値だけは、公的な情報を参考とさせて頂きました、文末に記載しています)。
でも、こう考えてみたらどうでしょう。1000万人もいながら、戦国時代に諜報活動を行っていた女性という限定的な条件だったとしても、たった100人しかいなかったとは確率的にも考えづらくないでしょうか?(計算が合っていれば、1000万の内、0.00001%しか居なかったことにもなります)。
実際、忍者がどのくらいの数居たのかということについては、忍びらしい表現を使用するに「雲をつかむ」ような話で、はっきりしたことは判明しませんでした(もっともこの文自体、二・三次情報が参考のメインで、ろくすっぽ資料も記載せずのWebや書籍を浅く調べただけのコタツ記事or感想文以下ですし、今後リライトするにあたっては「もう少し読み応えが感じられる文」に……などと考えている次第です)。
ここで論点は変わりますが、判断や策略のわずかなまちがいですら、生死が分かれる乱世の時代。素性や性別を問わず「情報」をつかむことに優れた人材であれば、有力者からの引く手はあまたでは?という考えに至る程度は、無学な自分でも容易に分かることです。
諜報活動を生業とする者たち全てを「※忍者」と呼ぶなら、忍者の需要はなおさらかと思います。そして彼・彼女らが金銭を得ることや、立場(身分)の向上といった利益を目的とするなら、そうした存在を誰かが、より数多く生み出し、養育(供給)することも少なくなかったはず。
※なお忍者には、有名な伊賀忍・甲賀忍のほか、草の者・素破(すっぱ)・乱破(らっぱ)などさまざまな呼び名があったといわれています。
先ほどの千代女や歩き巫女の存在と合わせて考えると、こうした様々な忍者集団の中にも養育された女性の忍びがゴロゴロ居ても別におかしくないように思うのですが、いかに(こと情報収集においては女性特有の色気は十分な武器になったでしょうし、逆(男性からの誘惑)もまた然りでしょう⦅篭絡という意味では、ハニー〇ラップという言葉もあるくらいなので⦆)。
以上、忍者が居たという前提かつコタツ的な話につき、うすっぺらい戯言と思って頂ければ幸いです。
最後に、くノ一のプチトリビアを。
漢字の「女」を分解すると、くノ一になるんです。くわしくは「く+ノ+一=女」となります。
よく見ると、ひらがな、カタカナ、漢字の3種類で「女」の字を構成してますね。子供のころの筆者は、時代劇好きの祖父からこの話を聞いて目からウロコでした(知っている人には常識かもしれません)。
しかし、この場合のくノ一とは、シンプルに女性そのものを表していて、先に書いた隠語というものになります。よって女性の忍者を指す言葉ではなかったとも言われています。
この話からは忍法帖を始めとした、現代のフィクション作品がくノ一=女の忍びイメージを作り上げたと思えても、なんらおかしくない話です。
ただ、くノ一という呼び名は実際になかったにしろ、歴史の影を生きる者としての「忍び」は男女問わず実在したのだと考えたいところ。
なお筆者は、忍をテーマとしたゲーム「天誅シリーズ」や「忍道シリーズ」も好み、遊んできました。未プレイなのは、それぞれ4と散華くらいかな(4はファンからの評価が微妙らしいですが……)。
ちょっとマイナーなタイトルだと「戦国サイバー藤丸地獄変」とかもプレイしました。こちらは百地三太夫や服部半蔵など名だたる忍者たちも登場し、世界観もシリアスでシブいです。知っている人に共感してもらえれば嬉しいところです。
なので、こういう作品にも触れてきて「忍者ってカッコいい!」イメージが染みついたからこそ、忍びの存在を否定しきれないというのが本音なところです(子供の頃はなりたいレベルであこがれてたし)。
カエデー、キミ、やっぱりタダのコスプレ忍者じゃないの?
ホントの忍者って、そういうザ・くノ一的なカッコはしなかったって話もあるよ!
確かにこの装いは普段からよく着ているものだが、単純に動きやすいからだ。
もっとも、私を忍びとして育ててくれた人の装いを模したものだが。
別にこればかりではないし、お役目によって別な装いになることもある。
それはそうと、以前にこういうことを聞かれても、自分から話すまではといったはずなんだがな。
ごめん、ごめん。んじゃ、あまり核心にふれないようにするよ。
今回の話だと、くノ一どころか忍びの存在も結局あやふやみたいな感じに思えたけど、あえて実在したとして、カエデもやっぱり隠密的なことやってたの?
それこそ、色気とか出して悪者を惑わせることもした?
……隠密といってもまちがいではないが、諜報行動だな。それに付随する探索、運搬、潜入……そんなところか。
場合によっては少々手荒なことを行う時もある。
……色気というのは、わざとらしく肌を見せたり、甘えたりとかか?
私はないにしろ、そういうのを得意とする者も居たことは否定しない。
手荒ってところはカエデらしいね(前に体を触ってきた役人を叩きのめしたっていってたしな)。
誰かを「うっふーん」って誘惑しそうなキャラでもないしね。
あ、質問はこれで最後にするよ。
カエデの肩書はくノ一や女忍者とかじゃなくて、忍びってことで良いのかな?
好きに呼べば良い……と言いたいところだが、やはり忍びと呼ばれるのがしっくりくるかもな(それもやはり現代で根付いた呼び名なのだろうが)。
私も自分を指して便宜上でも「忍び」といっているし。
あまり知られていないことだが、この呼び名は野盗などの悪人を指すこともあって、そもそも良い意味ではなかったともいわれている。
そうなの?
もっとも狭い意味での話だから、あまり気にはならないが。
それと過去に、私は自分のことを「くノ一」といったことは一度もない。
諜報活動を行う存在を指してそもそもそう呼ばれることになったのは、時代の流れというほかない……といったところか。
でもまあ、カエデはカエデなワケだし、今じゃボクのお友達だし、呼び名もどうでも良くて、ホントは忍者でなくても別に良いんだ。
これまでの話的に、色々聞いちゃっけどごめんね。
気にするな、それに……嬉しいことをいってくれてありがとう。
私にとってもコチョンどのは大切な友人だ。
良かった。
後、コスプレってからかっちゃってごめんね。カエデのその格好は育ててくれた人からの影響だったんだね。
あ、ひょっとしてカエデを育ててくれた人って、話に出てきた元祖くノ一の望月千代女だったりして!
そうかも知れないぞ。
……えっ?
ん?
い、いやなんでもないよ(カエデへの疑問が増えちゃったよ……)
了。
参考資料
総務省 我が国における総人口の長期的推移 https://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf(参照2024/11/02)
山田雄司 忍者の虚像と実像 2022 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/39/3/39_121/_pdf/-char/ja 2ページ12行目 参照日2025.6.07
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