「お伝えさせていただきます」はNG?電話で伝言を頼まれたらどう答えるべきか?

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……もしもし、誰だ?

あッ、じゃなかった……。

えっと、どちらさまでしょうか?

ふむふむ……ええ、はい、良いですよ。

そうお伝えさせていただきます。

……ガチャン!

カエデんちに固定電話があったことも驚きだけど……。

今、典型的にダメなことやらかしたね(タメ口なところはキャラ性だから、スルーするけど)。

それさ、カエデが会社とかでそんな電話対応したら、多分注意されるよ。

んあ? 

注意?

一体なんのことだ?

さて、カエデが何をまちがっていたのか、昔、仕事中の電話の話し方で、上司に注意された筆者が解説よろー。

こういうのってキチンと出来てる人の話より、失敗経験のある人が語った方がきっと説得力ある気がするし(気がするだけね)。

なんなら筆者の実体験の話も盛り込んで良いよ!

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お伝え・させていただきますは二重まちがい

person using phone leaning on wall in silhouette photography
Photo by Warren on Unsplash

敬語の用法で失敗経験(今でも度々ある)のある私こと、筆者が話を引き継ぎます。

まずカエデの最後のセリフ「お伝えさせていただきます」がまちがい。

正しくは「申し伝えておきます」もしくは「申し伝えます」となる。

冒頭の会話は、電話の相手(相手先)が、誰かへの伝言をカエデに頼んだことになり、かつカエデが相手に敬語を使っているため、相手先を一般的な目上として扱ったことになる。

したがって※謙譲語Ⅱの「申す」を使用するのが適切(お伝え〜だと、相手ではなく伝言を伝える相手を敬っている)。

※謙譲語Ⅱは相手(敬う対象)に対して、自分の行為行動などを丁重に述べる敬語表現の1つ。申すのほか、参る、いたすなどが属する

つまり「申し伝えておきます」や「申し伝えます」であれば、伝言を引き受けたことを、相手にへりくだって言っているため正しい。

次に「させていただきます」も実は不適切。

させていただきます、の適切な用法は、相手や第三者から許可や断りをもらって自分が何かをする「許可」と、それを行った(行ってもらった)ことで、自分が何か得する気持ちや事実がある「恩恵」の2つ。

こちらも伝言を頼まれた時すでに「許可が完了」しているため、わざわざ使う必要がない。

恩恵に関しても、伝言を「させていただく」ことで、彼女が何か得するワケでもない。

つまり許可と恩恵の2つの条件が満たされておらず、これも誤用となる。

敬語の用法は多岐に渡り、大人でも使い分けが難しいが、この敬語のパターンは覚えておいて損はない(筆者自身の覚え書きも兼ね)。

謙譲語Ⅱがあるから当然、謙譲語Ⅰってのもあるけど、これは相手や第三者の人を立てて使う敬語表現だよ。

伺うや、差し上げるなんてのがそうだね。

Ⅱは相手だけに対して、Ⅰは「相手だけじゃなくて、別の人⦅目上の第三者⦆」にも使われるんだ。

たとえば「今から○○さんのところへ伺おうと思っています」っていえば良いのか……?

〇〇が目上の人間だとして。

(今回カエデの敬語まちがいから発展した話だから、テンション下がってるな)

それで良いはずだよ。

目の前の人じゃない、別の人(目上の人)に対して使っているからね。

「ガチャンぎり」もNGなほか……(固定電話の場合)

さっきの電話って向こうから掛けてきたんだよね?

うむ。

ふーん……。

それはそれとして、キミさ、最後に受話器を「ガチャン!」って切らなかった?

アレ、乱暴だよね。

……そうなのか?

うん、傍目(はため)に見ても。

カエデが先に切ったの?

うむ。

そうか、乱暴だったか。

ま、今度からは出来るだけソッと受話器を置けば良いし、もしくは電話器のフックを指でそっと押すとかでも良いよ。

あと、自分からじゃなくて相手側から切るのを待つのが、一般的なマナーだよ(っても、コレって常識の範囲内だけどね)。

特にビジネスシーンとか。

身内や友達とかの間柄だったら、そこまで気にすることもないけど。

電話の切り方に一つにも気を配らねばならないとは……。

ちゃんとしたいならね。

※自分から掛けた場合、状況に応じて自分から切るというマナーもある。その場合は「お忙しいところすみませんでした、では失礼します」など、一言そえるのがベター。先に切ることにどうしても抵抗があれば、やはり相手が切るのを待つ方が良い。

敬語だけではなく作法もまちがっていたワケか……。

シュン……。

(カエデを凹ますのをワリと楽しむボクは悪い子かも)

ってか、アレだけガチャンって鳴らしたら、多分相手の耳に残るだろうなー。

キーンって。

そこまで軽快な音だったか?

いや、照れんなよ、誉めてないし。

あと、ここまで固定電話での話だったけど、マナーはスマホでも同じことだからね。

ただ、スマホは画面上のボタンプッシュで通話も終了するから、受話器を置く音なんて聞こえないんだけどさ。

ただ切るタイミングとかは、固定電話の時とそう変わらないから「丁寧に接する」って気持ちをアタマの片隅にでも置いとけば、そうそう相手をイヤな気分にさせることも無いと思うよ(気持ちって意外と分かりやすく行動とか声に反映されるんだよね、コレが)。

「よろしかったでしょうか」もケースバイケース(余話)

筆者の仕事上での、かつての敬語まちがい話をここで語りたい。

それは、お客さん宅へ電話をかけ終えた際のやり取りからはじまる。

筆者「これからお伺いしてもよろしかったでしょうか?……以下略」

電話終了。

同行者の上司からすかさずツッコミ。

上司「……今の自分でおかしいと思わんかった?」

筆者「えっ? あの、なにかまちがっていたでしょうか……?」

上司「いや、でしょうかじゃなくて、おかしいと思わんところが、もうおかしいけどな」

筆者「あ、申し訳ありません……」

上司「『よろしかったでしょうか』って変でしょ、どう聞いても」

筆者「(どこが変なん……?)あの、本来はどういう風に言えば……?」

上司「今までどうやって電話してたんだよ……次から言葉の使い方気を付けて。それだけで機嫌悪くなる客も居るから」

筆者「……気を付けます(いや、正解教えてよ!?……自分で考えろってことかな?)」

終了。

昔の出来事につき記憶をたどりつつ、若干脚色を加えているが、さわりはこういう感じだった。

そして筆者が知りたかった肝心の答えは「よろしかったでしょうか」ではなく「よろしいですか」もしく「よろしいでしょうか」である(その後、この言葉に言い換えてツッコまれることはなかった)。

よろしかったでしょうか、はそもそも、相手に過去の確認を取るために使う言葉。

つまり現在・未来の物事に対しては不適切ということになるものの、シーンによってはケースバイケースとなり得る。

「よろしかったでしょうか」で調べると、使い方の正否を説明してるサイトって結構出てくるんだよね。

ちなみに飲食店の店員さんがいう言葉でさ。

「ご注文の品は以上でよろしかったでしょうか?」は「過去、自分がうけおった注文の確認」の意味で、用例にならうなら別にまちがいじゃないんだって。

なら「ご注文は以上でよろしいでしょうか」の方が、クドさもなく、響きも一般的っぽくて受け入れやすいが(人によるのだろうか)。

しかし今回私がツッコまれている話ゆえ、こういうことに発言権はないと思うが……。

まーいじけなさんな!

敬語のまちがいを気にしすぎるより、相手を不快にさせない気持ちを持つ方が正解だと思うよ。

まとめ

①相手から伝言を頼まれた時「お伝えさせていただきます」はNGで、本来は「申し伝えておきます」・「申し伝えます」が正解。なお「申す」は、敬語の一種・謙譲語であり、伝言を頼んだ相手をうやまっている形となる

②「お伝え~」は、伝言を頼む相手ではなく、伝言を伝える相手を立てているため誤用となる

③「させていただきます」も「許可を得て自分が何かをする」と「それを行うことで自分が何かしらの恩恵を授かる」の2つが満たされることが条件となり、伝言を頼まれた時点ですでに許可が完了しているため、こちらも誤った敬語の使い方である

※限定シーンでの敬語用法につき、ほかのシーンには当てはまらない可能性あり

ところでさ、さっき一体誰と会話してたの?

敬語の話に発展しちゃったけど、確かに伝言頼まれてたよね?

ああアレな。

……間違い電話だ。

はい?

ちょっとどういうこと?

ワケ分からないよ!

え? これで終わり?

ちょっと!! なんかスゲー気持ち悪いけど!

なんで間違い電話の相手の伝言引き受けちゃってんの!!

……たまにこういう不可思議な終わり方も新鮮で良いだろう?

誰も求めてないよ!

うわー! なんだ今回、ホント気持ちわりー!

了。

参考資料

文化庁 「敬語おもしろ相談室」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/keigo/index.html 参照日2024/12/26

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