ハロウィンのカボチャ、実は元々○○

ハックのすがたを かしてもらいました

※上記の謎文の元ネタはスクウェアのトムソーヤというファミコンソフトの、ある裏技的なイベントシーンより。

興味のある方は上記タイトルと「ハロウィーン」というワードでお調べください。

意味不明でちょっぴりホラーなイベントに思えるので閲覧注意かもしれません(しかも最後には……)。

さて秋も終わりを迎える頃、カレンダーの上では10月31日。

日本の暦・24節季では霜降(そうこう)から、冬のはじまり立冬(りっとう)までの中間あたりとなる。

つまりこの10月31日をめがけて世間では否応なしにハロウィン熱が高まる。

この時期になると街中のスーパーや量販店でもハロウィン特設コーナーが設営されていたり、お店の商品ポップもハロウィン色のものが多くなる(早いところで10月上旬にはハロウィン関連の品々が並ぶところも少なくない)。

くわしく調べたわけではないが、企業も多くの費用をこのイベントに向けて投資しているのだろうし、期待する経済効果も相当なものと思われる。

それもそうで、元は海外のお祭りだったものが近年では一大コスプレイベントと化しているところだ。

現在では魔女やゾンビなど西洋のお化けのみならず、様相は和洋中折衷でもはや異文化交流のごとく。

毎年のことだが流行のマンガ・アニメのキャラや、思い入れのあるコスに身を包んで楽しむ人も多い。

流行りは凄いとつくづく感心する。

むしろハロウィンでは主役級であるはずのアイテム・カボチャのランプがかすむ勢いだ。

ところでそのカボチャランプ。

そもそもなんでカボチャを使っているのか。

そこには大昔のヨーロッパの習慣から由来する、ある事情が存在していた。

意外なことだったが本来はカボチャではなく、カボチャに変わったのは後のことだという。

さらにその理由はワリと庶民的なものだったのだ。

元々はカブ!

a group of white mushrooms growing out of the ground
Photo by ran liwen on Unsplash

ハロウィンではカボチャをお化けの形にくり抜いて使うが、ハロウィンの本場ヨーロッパでは、元々カブを使用していたという。

現在でも一部地域ではハロウィンの時期になると、カボチャではなくカブを使用しているらしい。

いつ変わった?

19世紀頃。

ヨーロッパ移民がアメリカへと渡ってきた後、飾り付けに加工しやすい米国産カボチャが使われるようになったという。

「カブ、超かてーw超切っても超ボロボロになんだけどww」

「カボチャ超くり抜けるーwもう2つできたわww」

「マジで?…超やべー、カボチャ超やりやしー!wゲラゲラゲラww」

そんな会話があったかはともかく、加工しやすい方が良いのはもっともな話。

つまり意外に単純な理由から、カブのランタンはカボチャのランタンへと姿を変え浸透するようになったという。

そして移民たちによるハロウィンも最初はそこまでメジャーではなかったのが、徐々にアメリカ全土に広まり、大々的に子供たちのための楽しいイベントへと変貌する。

やがて日本にもハロウィンが伝わり、現在のように大人も子供も楽しめるイベントになった。

少し怖い祭り

ハロウィンのルーツだが、元々はアイルランド・スコットランドのサウィン祭が元になったという説がある。

このサウィン祭は古代ケルト人によるいわば収穫祭なのだが、側面では現在の楽しいイベントイメージとはかけ離れた少々ホラーなお祭りでもあるのだとか。

それはサウィン祭が行われる日、すなわち10月31日の夜に関係していた(なおサウィン祭は10月31日~11月1日の2日間に渡って行われ、31日はいわば前夜祭)。

まず古代ケルト人は一年をざっくり夏と冬のふたつの概念に分けて生活をしていたらしい。

そして夏と冬の切り替わりを10月31日の夜としていたという。

いわば夏の終わりの日に秋の収穫を祝うのがこのサウィン祭である。

しかし一方でこの日の夜には異界とこの世界とをつなぐ門が開き「死者が帰ってくる」とも伝えられていたそうだ。まるで日本のお盆と同じような考え方である。

31日の夜には古代ケルト人たちは魂を持っていかれない様、死者をモチーフにした仮面を被り、魔除けのかがり火を囲んで祭りを行った。

つまりこの祭りがハロウィン仮装の原型になったという説である。

また各人の家々でもかがり火を焚き、家の前には死者のためのお供え物もあらかじめ用意されていたそうだ。

しかしここで疑問がわいた。

ご先祖様や亡くなった身内が帰ってくるといった割と喜ばしい見方のお盆に対し、サウィン祭では魂を持っていかれないようにとしているあたり、死者の訪れをあまり歓迎していないように感じられる。

実はこの背景には、悪霊や魔女といった悪い存在も死者と一緒にやってくるという考え方があったことに関係していた。

そしてそれらから身を守るため、当時の人々は死者を模した仮面を被るようになったという話である。

要するに同じような格好をして悪い存在たちから仲間だと思わせるワケで、身を守る方法としても理にかなっている(ような気がする)。

よってこれらの存在をあざむくため仮面をかぶったという習慣が、現代のハロウィン仮装へと結びついたと推察も出来る。

魔女といった単語が出てくるのも、我々が良く知るハロウィンっぽく感じられるし、現代でも魔女のコスプレが見られるのもサウィン祭の名残だろう。

余談だがサウィン祭ではドルイドという祭司が祭りを執り行い、作物や動物なども捧げていたともいわれている。

なんでお菓子もらえんの

ハロウィンの合言葉、トリックオアトリートの意味は「いたすらか?お菓子か?」だ。

イメージでは仮装した子供たちが「お菓子くんねーといたずらすっからね」と家々を訪ね歩くところだろうか。

しかしお菓子をもらうという行為も、もともとはソウリングという古代ケルト人の習慣から来ているのだとか。

そしてソウリングとはお面を被った子供たちが家々を訪ねて歩き、干しブドウのケーキを家の人からもらう代わりに死者、いわばご先祖様に祈りを捧げるという習慣なのである。

このソウリング自体がすでにイメージどおりのハロウィンの文化に近くなっているように思える。

これらの話を知り受けるに、サウィン祭とこのソウリングの習慣が混じり合い、現実でのハロウィンイベントに発展したのではないかと考えられる(キリスト教の考え方もドッキングされたという話である)。

もっとも日本では子供たちが家々を訪ね歩いてお菓子をもらう習慣までは広まらなかったようだ。

※北海道の一部地域では、七夕に子供たちが家々やお店をまわってローソクとお菓子をもらう習慣が今でも存在している(該当地域ではメジャー)。ハロウィンのお菓子をもらう文化と似ているように思うが、双方関係あるのかは未調査にて不明。

ずっとさまようなんて可哀想な

なぜカブからカボチャに変わったかの謎にはこれまでふれていなかった。

その謎についてはあるヨーロッパの民話が関係しているのではと筆者は推察している。

そしてここでは謎の大本と思われる民話ジャック・オー・ランタンの話についてもふれていこうと思っている。

ともあれこの話を自身の記憶に残すこともかねて、若干おもしろおかしくコメディタッチに書いてみた。

なおこれまで民話をしらなかった筆者からすると、ジャック・オー・ランタンと聞けば「メガテンに出てくる炎属性の悪魔」な認識だったが、じつはこのジャック・オー・ランタン、もともとは人間だったらしい。

閑話休題、次よりその肝心な物語を。

台詞メインのSS調で少々長めだが、お付き合いのほどを。

では、はじまり。

村人1「またジャックにだまされた!!」

村人2「お前もか、俺なんて集めたら願いが叶うって玉7つも買わされたよ」

村人1「俺はこれで鬼〇隊に入れるぞとか言われて、サビサビのナイフ買わされたよ、しかも警官にソッコー没収されたし」

村人2「つか、そんなん買ったんかお前w」

村人1「お前だって、それビー玉じゃんw」

ジャック「www 人だますのクソ楽しいわ」

バサバサ!

悪魔「あーキミ、人をだましてばっかりいるから地獄行き、魂もらうね」

ジャック「ウソ!」

悪魔「マジ」

ジャック「そんなダイレクトに魂奪いにくんなよなー」

悪魔「すんませんw でも悪魔王様があまりにも目に余るってんで」

ジャック「あー…そしたらさ、最後にあそこの木になってるリンゴ食わしてよ、手届かないから取ってきて」

悪魔「(最後だし良いか)わかりー」

ジャック「バッカでー! そのスキに十字架くらえ!」

悪魔「ギャー、苦手苦手!」

ジャック「オレからは魂取らないって約束しろよ」

悪魔「あーそういう契約ですか…わかりましたよ、つか怖いんでサッサとそれ引っ込めてよ」

ジャック「そそ、契約契約、だからとっとと帰ってね」

悪魔「はいはい、でも後悔するよー…」

バサバサ!!

ジャック「勝った」

それからさらに数十年後…。

ジャック「あーしんど……腰もいてーし、目もかすむし、オレもそろそろ寿命か……」

バサバサ!

悪魔「よっ! 久しぶり」

ジャック「げえっ、悪魔」

悪魔「げえっ、関羽みたいにいうなよな、それよりキミもう死んでるよ」

ジャック「ん、マジ?」

悪魔「マジ、証拠にキミの目の前にでっかい門があるじゃん、そこで天国行きか地獄行きか決めんの」

ジャック「あ、マジだ、気付かなかったぜ、まあアレでしょ、前に地獄行きっつってたからどうせ行先そっちなんだべ?」

悪魔「いんや、キミとはだいぶ前に契約して魂取らないことにしてたじゃん、だから天国にももちろん地獄にも行けへん」

ジャック「へ? んじゃどこ行きよ」

悪魔「どこにも行かれへん、現世とこの門の間をずっとウロウロするしかないよ」

ジャック「はあ! ふざけんなよ契約破棄だ! どうすれば破棄出来る!?」

悪魔「あー無理、悪魔との契約ってそんな軽いもんじゃないよ、この道ン万年なんで、そういう取り決めにはシビアなのよ、こう見えて」

ジャック「んじゃどうしろってよ、こんな暗くて長い道ずっとウロウロしてろってか! ぜってー職質されるって!」

悪魔「誰も来ないし、職質もされないから安心して、んじゃそゆことで!」

バサバサ!

ジャック「ちょ待てよ!!」

ジャック「…マジか…あー…せめて最後にこの変な形の実食ったら海賊王になれるって言って、誰かに売りつけたかったな」

それから途方もない時間が過ぎた。

ジャック「五億年スイッチ押した人の気持ちが超分かった、マジで終わんねーやつだコレ、エヘヘへへへへへへ!」

悪魔「…んー、ずっと見てたけど、流石にちょっと可哀想かな」

バサバサ!

悪魔「よっ久しぶり! ジャック!」

ジャック「げえっ、関羽」

悪魔「悪魔だよ、ちょっと気がおかしくなってるかな、なんにもならないかもだけどこれやるよ」

ボトッ!

ジャック「…ナニコレ?」

悪魔「地獄の火」

ジャック「おめ~頭おかしいのか! ダイレクトに火渡してくんじゃねえよ! 素手で持ったらアッチッチだろ!」

悪魔「あ、少し元気になった! でも明るいでしょ?」

ジャック「まーな、誰かだまして売りつけようと思ってたこの実をくり抜いてこうしてっと…ランタンにすりゃちょうど良いや」

悪魔「まだ持ってたんだその変な実(ホントに悪〇の実なんじゃ……)ま、その火を頼りにもう少しさまよっててちょーだい、こっちもなんとか地獄にでも行ける方法探してやるよ(地獄が今よりマシなところかは保証出来ないけど)」

ジャック「マジか! おめー割といいヤツだな!」

悪魔「なんか哀れに見えてさ、そもそも最初にキミが僕をだまさなかったらこんなことにはなっていないんだけどね」

ジャック「ヘヘヘ! なんにせよありがとうよ、後出来るだけ早く頼むなー!」

悪魔「わかりー」

それからもジャックはこの世とあの世をつなぐ道をランタンで照らしてさまよい続けた。

ジャックの持つランタンは魔除けとして後のハロウィンに用いられるようになったという。

後に悪魔がジャックを無事救えたかどうかまではわからない。

……終わり。

物語を大分脚色してしまったが、大体の筋は合っているはずである。

ただしここでの物語には大本の民話とちがう要素を少し入れている。

それは本来ジャックが地獄の火を入れたのは、暗闇の道で拾ったカブをくり抜いたものにというところ。

よってこの民話からランタンが元々カボチャではなく、読み物の最初でふれたカブの話に深く関係しているようにも考えられる。

古来の民話が元ならカブがやはりオリジナルのお化けランタンに使われていたとしても納得がいく。

ほか文内での最後に悪魔がらしからぬ優しさを見せたが、これも本来そういう話ではなく伝説上は今もジャックはランタン片手にさまよっているらしい(火をくれたというのはそのまま)。

筆者はこのままだと救いのない話だなと思ったので、少し希望があるような最後にさせていただいた。

では楽しいハロウィンをお過ごし下さいませ。

トリックオアトリート!

了。

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